最終更新日:2019.07.22 公開日:2019.07.21
老後

定年過ぎて働き続けたら、社会保険が適用されない可能性があるって本当??

わが国の主たる社会保険制度は、医療保険、介護保険、年金保険になります。ここでは、60歳以降に定年を迎えた人(国民年金の第2号被保険者)がさらに働き続けた場合に、これらの社会保険がどのようになるのか考えてみましょう。
 
辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

詳細はこちら
辻章嗣

執筆者:

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

詳細はこちら

定年後の働き方によっては、現役時代と同じ社会保険制度が適用されることも

定年後に働く勤務先の規模と一週間の勤務時間によっては、下表のとおり現役と同様の社会保険が適用されます。
 

(※1を基に筆者作成)
注:従業員数が500名以下でも勤務時間が20時間以上であれば、現役と同様の社会保険が適用される事業所があります。
 

現役と同様の社会保険制度が適用される働き方をする場合は

現役と同様の社会保険制度が適用される働き方をする場合の、社会保険について見てみましょう。
 
【医療保険・介護保険】
医療保険は、雇用先の企業が加入している健康保険組合の被保険者となります。この際、加入手続きは雇用先の企業が行い、保険料は雇用先と折半で支払います。この場合、扶養している配偶者等は、被保険者の被扶養者としてこの健康保険が適用されます。
 
一方、介護保険を運営する保険者は住居地の市町村になりますので、働き方が変わっても特別の手続きをする必要はありません。
 
介護保険料は、65歳未満の介護保険の第2号被保険者は、加入している医療保険を通じて徴収されます。なお、65歳以上の第1号被保険者は、原則として老齢年金から徴収されるようになります。
 
【年金保険】
年金保険は、厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号被保険者)となります。この際、加入手続きは雇用先の企業が行い、保険料は雇用先と折半で支払います。この場合、扶養している配偶者が60歳未満である場合は、国民年金の第3号被保険者となります。
 
また、働きながら老齢厚生年金を受給する場合は、在職老齢年金制度が適用され、年金の基本月額と総報酬月額相当額に応じて、年金額の一部または全部が支給停止されることがあります。
 
基本月額(60~64歳):加給年金を除いた特別支給の老齢厚生年金の月額
基本月額(65歳以降):加給年金を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額
総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
 

(※2を基に筆者作成)
 
したがって、60~64歳の場合は基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下のとき、65歳以降の場合は47万円以下のときには、年金は全額支給されます。
 
なお、在職老齢年金を受けていた人が退職した場合には、退職して1ヶ月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から以下の通り再計算された年金が支給されます。
 
・年金額の一部または全額の支給停止がなくなり全額支給
・年金額に反映されていない退職までの厚生年金に加入していた期間を追加して年金額を再計算
 

おすすめ関連記事

現役とは異なる社会保険制度が適用される働き方をする場合は

それでは、現役とは異なる社会保険制度が適用される働き方をする場合の社会保険はどのようになるのでしょうか。
 
【医療保険・介護保険】
医療保険は、以下の3つの方法から選択することになります。
(1)原則として世帯単位で国民健康保険に加入します。この際、加入手続きは退職後14日以内に世帯主が市町村役場に届け出て、世帯の人数分の健康保険税を納付します。
 
(2)退職後2年間に限り現役時代に加入していた健康保険組合の任意継続被保険者になることもできます。この際には、退職後20日以内に健康保険組合に申請します。この場合、被扶養者は引き続き被扶養者とすることができますが、保険料は、個人が全額負担します。
 
(3)年間の収入が180万円(60歳未満は130万円)未満であるなど一定の要件を満たす場合は、配偶者や子供の被用者健康保険の被扶養者となることができます。
 
介護保険は、現役と同様の社会保険制度が適用される働き方をする場合と同様です。
 
【年金保険】
本人は60歳を超えていますので特段の手続きは必要ありませんが、60歳未満の配偶者があれば、国民年金の種別変更届を退職してから14日以内に市町村役場に提出し、第1号被保険者として保険料を納付する必要があります。
 
なお、本人は、収入の多寡に関わらず、在職老齢年金制度の適用を受けることはありません。
 
60歳以降に定年を迎えた後も働き続けた場合、その働き方によって適用される社会保険が異なります。特に、現役とは異なる社会保険が適用される働き方をする場合、医療保険と60歳未満の配偶者に関する国民年金保険の手続きを期限内に済ませるように注意しましょう。
 
出典
(※1)厚生労働省「平成28年10月1日から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています! 」
(※2)日本年金機構「在職中の年金」
 
※2019/07/22 内容を一部修正させていただきました。
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
 

商品比較
商品比較


▲PAGETOP