更新日: 2021.04.12 その他老後
年金受給額のシミュレーションから見える老後のための準備とは?
老後のシミュレーションをして、必要な準備は今からでもしておくようにしましょう。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
老後の生活のシミュレーション
老後の生活をイメージするためには、現状の生活費などを把握しておく必要があります。現在の生活において、以下の費用がどれくらい掛かっているのか、イメージしてみてください。できれば年単位で把握するようにしてみてください。
・食費
・住居費
・水道光熱費
・通信費
・生活用品費
・保険料
・教育費
・医療費
・交通費
・その他
「住居費」は住宅ローンや固定資産税、家賃が該当します。
「水道光熱費」は電気・ガス・水道代が該当します。
「通信費」は携帯・スマートフォン・インターネット通信料などが該当します。
「生活用品費」は衣類用洗剤やティッシュ・トイレットペーパーなどの消耗品や、生活雑貨などの費用が該当します。
「保険料」は生命保険料、医療保険料、介護保険料、火災保険料、地震保険料などが該当します。
「教育費」は、学校や塾などに掛かる費用が該当します。
「医療費」は通院費、入院費、薬代などが該当します。
「交通費」は、駐車料金やガソリン代などが該当します。
「その他」には、上記に含まれなかったものや年単位で支払うものなどを含めておきます。
現在の状況が把握できたら、次は老後の生活をシミュレーションしてみます。老後の生活をイメージしてみてください。現在の生活から変化する部分はどこでしょうか。
生活が変化するということは、先ほど挙げた項目の金額も変わるということになります。
例えば、子どもが独立して老後は夫婦2人で暮らす場合、「食費」「水道光熱費」「生活用品費」「教育費」が減少する可能性があります。住宅ローンを支払っている方は、住宅ローン完済により「住居費」が減少するでしょうし、賃貸の方でも住み替えにより家賃が減額、つまり「住居費」が減少する可能性があります。
一方、「医療費」や「その他」の費用が増加する可能性があります。自宅をバリアフリーにリフォームするのであれば、その費用も見積もっておくと良いでしょう。
老後の生活費を試算する際には、どのような生活を送りたいかをイメージしながら行うと良いと思います。
年金受給額のシミュレーション
年金受給額のシミュレーションには、毎年誕生日近くに送られてくる「ねんきん定期便」や日本年金機構のホームページ内にある「年金見込額試算」を利用すると良いでしょう。
「ねんきん定期便」は、50歳以上の方には将来の受給見込額が記載してありますので、その金額を基に老後の資金計画を立てるのが妥当です。
一方50歳未満の方は、支払実績に応じた受給額が記載してありますので、そのままの額を老後のシミュレーションに使うわけにはいきません。その場合には、日本年金機構のホームページ内にある「年金見込額試算」を利用して、老後資金をシミュレーションしてみるのが良いでしょう。
もちろん、どちらの場合でもあくまで「見込額」なので、その金額が将来そのまま使えるというわけではありませんが、1つの目安としては有効だと思います。
まとめ
老後資金のために押さえておきたいポイントは、以下のとおりです。
(1)将来の費用はいくらなのか
(2)将来の収入はいくらなのか
(3)今のままで足りるのか足りないのか
(3)でもし足りないという結果になった場合でも、悲観することはありません。まずは落ち着いて「あといくら必要なのか」「準備する時間はどれくらいあるのか」を考えてみましょう。その後、どのように準備するかを考えましょう。
準備をする段階で、取り得る手段は以下のとおりです。
(1)支出(費用)を減らす
(2)収入を増やす
(3)貯蓄額を増やす
(4)老後の期間を減らす
(1)が、シミュレーションを行う上では、最も取り組みやすいかもしれません。しかし、あまり数字を削りすぎるのは危険です。ただの数字合わせになってしまっては、せっかくのシミュレーションの意味がなくなってしまいます。
公的年金の場合、(2)は現実的ではありません。年金受給額は現在の給与が反映されるためです。現在の給与が大きく増額しない限り、年金受給額が大きく増額されることもないといえます。
(3)は、確定拠出型年金や「NISA(つみたてNISA)」を活用することで、ある程度は期待できるでしょう。ただし、これらの制度を活用する場合には、元本割れのリスクがあることも見逃してはいけません。
(4)は、現役期間を延ばすともいえます。現役期間を延ばせば、(3)にも影響があるでしょう。健康寿命が延びていることを思えば、現実的といえるでしょう。
どのような選択をするかは人それぞれです。あなたに合ったライフプランを立てて、充実した暮らしを送れるようにしてください。
出典・参考
日本年金機構 「年金見込額試算」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー