年金暮らしで知っておきたい。夫婦とおひとり様、生活費はどう違う?
配信日: 2021.05.22
それを夫婦の場合、おひとりさまの場合で比較して違いを見ていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
夫婦で年金暮らしをする場合の生活費は?
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果」によれば、2020年における65歳以上の年金暮らしの夫婦の平均的な収入は月約25万7000円で、健康保険料などを除いた可処分所得は約22万6000円となりました。
そこから生活費(消費支出)を支払っていくことになるのですが、生活費は約22万4000円となっています。つまり、平均的な夫婦なら毎月25万円程度の収入があれば、年金暮らしでも生活を維持していけるようです。
生活費の内訳は?
夫婦2人の生活費の内訳(消費支出の割合)は下記のようになっています。夫婦2人での年金暮らしとはいえ、交際費や娯楽、教養など人生を豊かにするための支出をしっかり確保しているようです。
平均的な年金暮らしの夫婦の生活費の内訳(消費支出の割合) | |
食料 | 29.3% |
住居 | 6.5% |
水道光熱費 | 8.8% |
家具・家事用品 | 4.6% |
被服費 | 2.1% |
保健医療 | 7.2% |
交通費・通信費 | 11.9% |
教養娯楽 | 8.8% |
交際費 | 8.8% |
その他 | 12% |
※総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果」より筆者作成
おひとりさまが年金暮らしをする場合の生活費は?
2020年における65歳以上のおひとりさま(単身世帯)の年金等の収入は月約13万7000円であり、そのうち健康保険料などを差し引いた可処分所得は約12万5000円でした。
それに対して生活費は約13万3000円であり、可処分所得に対して生活費が8000円近くも不足しているという状況です。この赤字分は、年金収入が1人分で少ないという点が原因として考えられます。
生活費の内訳は?
おひとりさまの生活費の内訳(消費支出の割合)は下記のようになっています。分かりやすくするために、夫婦の場合と比較して支出の割合が増えているものを赤、減っているものを青としています。
夫婦2人の場合と比較すると、食費や保健医療、交通費・通信費といったような項目が少なくなっている反面、居住費や水道光熱費、交際費や娯楽費などが増えているようです。
平均的なおひとりさまの生活費の内訳(消費支出の割合) | |
食料 | 27.5% |
住居 | 9.3% |
水道光熱費 | 9.7% |
家具・家事用品 | 4.0% |
被服費 | 2.4% |
保健医療 | 6.2% |
交通費・通信費 | 9.0% |
教養娯楽 | 9.7% |
交際費 | 11.5% |
その他 | 10.7% |
※総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果」より筆者作成
夫婦とおひとりさま、なぜ生活費に違いが出ている?
夫婦とおひとりさまとで生活費に違いが出ている理由は、夫婦2人で生活しても生活費は単純に倍にはならないということです。例えば、2人で暮らしても家賃や水道光熱費の基本料が倍になることはないですし、食費などについてもまとめ買いをすることで支出を抑えられるからです。
一方、おひとりさまは1人の時間を楽しむため、教養娯楽などにかかる支出の割合が高くなっていると想定できます。逆に夫婦の方が食費や家具・家事用品費の割合が高くなっているのには、2人の時間をよりよいものにしようという観点から日常生活に関する支出が高くなっているとも考えられます。
このように夫婦とおひとりさまとでは、それぞれのライフスタイルが生活費に色濃く反映されているのではないでしょうか。
同じ年金暮らしでも夫婦とおひとりさまでは生活費が異なる
夫婦とおひとりさまとでは、生活費の額自体はもちろん、その支出の割合も異なっています。夫婦は食費や家具・家事用品費、交通費・通信費の割合が高くなっているのに対し、おひとりさまは居住費や教養娯楽費、交際費といった支出の割合が高くなっています。
生活費そのものは基本的には夫婦の方が多くかかるのですが、おひとりさまは単純にその半分というわけではなく、6割程度になりそうです。同じ年金暮らしでもライフスタイルが異なることを理解し、自身にとって理想とする老後を迎えられるよう準備しておいてください。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要
執筆者:柘植輝
行政書士