更新日: 2021.06.15 その他老後

今後、年金受給額は少なくなる? 老後資金は結局いくら必要?

執筆者 : 柘植輝

今後、年金受給額は少なくなる? 老後資金は結局いくら必要?
令和3年度分から若干ではありますが公的年金の支給額が前年度より減少し、老後の生活に不安を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
今回は年金受給額が今後も少なくなっていくのか、老後資金は結局いくら必要となるのか、年金と老後資金に目を向けていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後の生活資金は結局いくら必要なの?

総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕 2020年(令和2年)平均結果の概要」によれば、2020年における65歳以上の年金暮らしの夫婦の平均的な生活費は約22万4000円、それとは別に保険料などの租税公課が約3万1000円となっています。
 
それに対し、夫が厚生年金に40年平均的な収入で加入し、妻は専業主婦であったという家庭の年金収入は月額で約25万7000円となっており、年金の給付や物価変動、社会制度などの条件が今後も大きく変わることがなければ、政府のいう平均的な夫婦であれば公的年金だけでも老後生活送っていくことができそうです。
 
しかし、これは生活費のみであり、病気やけが、その他突発的な支出の存在、子や孫への援助なども考えていくと、できればもう少し上乗せ額が欲しいと誰もが考えるはずです。実際、生命保険文化センターが行った意識調査によると最低の生活費に上乗せして14万円程度が必要となるとの調査結果が出ました。
 
それを考えると、月々の生活に40万円程度、すなわち公的年金収入に上乗せして15万円程度は用意していた方がよさそうです。65歳で退職し、85歳まで生きるとしたら、その間の20年間ゆとりある生活を送るのであれば、公的年金以外に3600万円程度は確保しておきたいところです。
 
また、持病があったり、家のリフォームなどいずれ大きな出費が発生することが予想されている方は、今の考察に加えてその金額分も上乗せして用意しておかなければなりません。
 

公的年金の今後はどうなる?

令和3年4月分以降、夫婦2人の平均的な年金額は、1月当たり、国民年金のみの世帯では66円減少、厚生年金の夫と国民年金の妻との家庭では228円減少しました。
 
さらに、過去には年金の受給開始年齢は60歳から65歳へと後ろ倒しになり、定年も60歳から65歳へと後ろ倒しにされてきたという事実があります。これは今後少子化と高齢化が進むにつれて、どんどん年金制度の改悪が続いているとも言い換えられます。
 
2021年4月からは70歳までの雇用が企業の努力義務となるなど、年金の給付に関しては確実に今後も悪化していくだろうと予想できる制度の変更が続いています。
 
加えて国自身もiDeCoやNISAといった自分で老後資金を用意するような制度を優遇して推進していることから、今後年金制度に過度な期待はできません。
 
年金制度は国が運営しており、私たちから集められた保険料だけでなく税金をも投入されて維持されている以上、今後もなくなることはないでしょうが、現在の水準は維持されないものとして行動するべきでしょう。
 

老後は公的年金に頼らないつもりで自助努力を

公的年金は今後も支給金額の増加は望めず、むしろ下がっていくなどわれわれ現役世代にとって不利となる方面に変化していくと予想されます。現段階では平均的な夫婦であれば公的年金以外に3600万円ほどあれば夫婦で85歳までゆとりある生活を送れると想定できますが、今後年金制度がそのように維持がされていくとは限りません。
 
年金制度がなくなることはないでしょうが、それを頼りにせずとも自分らしい老後を迎えられるよう、現役世代の早い段階から準備しておいてください。
 
出典
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕 2020年(令和2年)平均結果の概要
公益財団法人 生命保険文化センター 日本人の平均寿命はどれくらい?
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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