子どものいない夫婦。老後資金はどう考えればいい?

配信日: 2021.08.24

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子どものいない夫婦。老後資金はどう考えればいい?
一般的に、時間やお金に余裕があるといわれる子どものいない夫婦ですが、老後のお金についてはしっかり考えておきたいところです。
 
そこで今回は、子どものいない世帯の老後資金の考え方について詳しくお伝えしたいと思います。
藤丸史果

執筆者:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

子どものいない夫婦の老後

あえて子どもを持つことを選択しない、希望しても授からないなど、事情はさまざまですが、子どものいない夫婦は増える傾向にあるようです。
 
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、1977年には3%程度でしたが、2015年には6%超になり、その要因として晩婚化や不況の影響も大きいといわれています。
 
学費や教育費などの支出がないため、お金が貯まりやすいように見える夫婦2人の生活ですが、趣味など好きなことにお金を使い過ぎてしまう傾向も指摘されています。
 
特に共働きの場合は、お互いにお金の使い方を干渉しないという人も多いようです。気が付いたときには「全く貯金ができていなかった」という事態だけは避けたいですね。
 
厚生労働省が発表した簡易生命表では、2020年の日本人の平均寿命は女性が87.74歳、男性が81.64歳となり、ともに過去最高を更新しています。
 
つまり、老後を60歳以降と考えた場合、平均で女性は約28年、男性は約22年という長い時間を、子どもの援助を受けずに自分たちだけで生活していくことになりますが、医療費や介護費もかかりますし、どちらかが先に亡くなった後、1人で暮らすことも想定しておかなくてはなりません。
 

必要な資金を知っておく

では、夫婦2人だけの老後を安心して迎えるためにはどうすればいいのでしょうか。
 
総務省の2019年の調査によれば、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、1ヶ月の実収入のうち、可処分所得が平均20万6678円となり、消費支出は23万9947円でした。つまり、平均して毎月3万3269円が不足していることになります。
 
老後の主な収入となる年金については、会社員や公務員、自営業、あるいは共働きかどうかなど、現在の働き方によってもらえる年金額が異なるため、まずは自分たちの老後の収入額を早めに調べておくことをおすすめします。
 
その上で、老後に必要な資金を計算し、足りない分を計画的に貯めていかなくてはなりません。
 
また、夫婦のどちらかが病気や介護が必要な状態になった場合、公的な医療保険や介護保険制度で自己負担額に上限はあるものの、少しシビアに考えておく必要があるかもしれません。貯蓄や保険を見直しておくことはもちろん、公的制度をしっかりと理解し、今後の制度改正にも注意しておきましょう。
 
そのほか、老後の住まいについても考えておかなくてはなりません。例えば現在の住まいに住み続けるのか、あるいは住み替えをするのかなど、その費用を事前に調べ、計画を立てておくと安心です。
 
そのまま住み続ける場合でも、建物の老朽化や、高齢者が住みやすくリフォームする可能性もあり、やはりそのための費用が必要になります。
 

老後資金を増やすには

では、老後資金を増やすにはどうしたらいいのでしょうか。
 

長く働き、年金受給額を増やす

まずは、健康であるうちは夫婦ともに老後も長く働き続けることを検討したいですね。
 
会社員の方は、厚生年金の加入要件は70歳までなので、再雇用の制度があれば活用し、定年退職後も働くのもいいと思います。もちろん勤めている会社の企業年金を確認して備えておくようにしましょう。
 
自営業やフリーランスなどで国民年金のみに加入している方は、保険料を納付していない時期があれば、任意加入制度を利用して満額受給を目指しましょう。
 
月額400円をプラスして納付すると基礎年金に付加年金が上乗せされる「付加保険料」制度や、加入する口数によって受け取る年金額を増やすことができる「国民年金基金」といった制度もあります(ただし「付加年金」か「国民年金基金」はどちらかしか選べません)。
 
また、多くの女性は出産を機に退職したり、仕事をセーブしたりする時期がありますが、子どもを持たなければ、妻も家庭と仕事のどちらを優先すべきか悩むことが少なくなります。
 
バリバリ働いてキャリアアップし、給料と将来もらえる年金額を増やすのもいいですし、専業主婦の方も、家でできる好きなことを仕事にするなどして、継続して老後資金を貯めることができます。
 

相続について知っておく

子どもを持たない夫婦の場合、相続のことも頭に入れておいたほうがいいかもしれません。子どもがいる夫婦のどちらかが亡くなったときは、相続の第1順位は子どもなので、遺産の2分の1を子どもが、配偶者は残りの2分の1を必ず相続することになります。
 
しかし、子どもを持たない夫婦については、相続の第1順位が不在となり、亡くなった人の親兄弟にも相続分があります。配偶者は常に相続人ではありますが、他の相続人と同順位です。配偶者に全ての財産を残したい、と思うのであれば、そのように遺言をする必要があります。
 

投資に関心を持つ

最近は、老後に備えるために投資に関心を持つ人が増えているようです。
 
投資は余剰資金で行うことが鉄則ですが、夫婦2人の生活であれば、当面の生活費もさほど多く必要ではなく、教育費などがかかりません。iDeCoに加入したり、つみたてNISAを始めるのはもちろん、その他の投資にも目を向けて、やや積極的な投資を検討してみてもいいでしょう。
 
もちろん、しっかり知識を得て、リスクをよく知った上で行うことは言うまでもありません。
 

まとめ

今回は、子どもを持たない夫婦の老後資金の考え方についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
 
夫婦2人だけの生活だからこそ、将来について自由にライフプランを考えることもできます。夫婦でよく話し合い、それぞれに合った資産形成をしていけるといいですね。
 
出典
国立社会保障・人口問題研究所 第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査) 第II部 夫婦調査の結果概要
厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況を公表します
総務省 家計調査報告(家計収支編) 2019年(令和元年)平均結果の概要
 
執筆者:藤丸史果
ファイナンシャルプランナー

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