更新日: 2021.08.24 セカンドライフ

お一人さまの老後に備える! 必要資金は老後の住まいを考慮しよう

執筆者 : 福島佳奈美

お一人さまの老後に備える! 必要資金は老後の住まいを考慮しよう
一生結婚しないという選択をする方はどのくらいいるのでしょうか。
 
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2021年)」によりますと、2015年時点での「50歳時の未婚率」は、男性が約23%、女性だと約14%ということです。
 
この割合は、将来的にはさらに増える可能性があります。そこで今回は、おひとりさまの老後資金について、住居費を中心に解説します。
福島佳奈美

執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)

【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。

おひとりさまの老後生活にかかるお金は?

おひとりさまの老後生活にかかるお金はどのくらいなのでしょうか。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」の、65歳以上の単身無職世帯の家計収支を見てみましょう。
 
上記調査結果によりますと、収入は13万6964円、そのうち公的年金などの社会保障給付は12万1942円、可処分所得は11万5423円だということです(月平均額)。
 
一方で、月の消費支出の平均額は13万3146円です。主な支出は、食料が3万6581円、住居が1万2392円、光熱・水道が1万2957円、交通・通信が1万2002円、保健医療が8246円、教養娯楽が1万2910円、交際費1万5253円となっています。
 
毎月の収支は、可処分所得から消費支出を差し引いて7723円が不足するということです。高齢者といっても、生活に不可欠な食費、水道光熱費、交通・通信費はそれなりにかかりますし、交際費や教養娯楽費にもお金を使って、生活を楽しんでいることがうかがえます。
 

老後の施設入居も考慮しておきたい

上記の調査結果での支出項目のうち、住居費が1万2392円というのは、少なく感じるのではないでしょうか。調査結果はあくまでも平均額ですので、持ち家か賃貸かでも住居費は大きく変わります。
 
賃貸住宅の場合の必要な資金は、現役時代に確保しておきましょう。また、必要に応じて家賃の少ないところに住み替えることも含めて考えておくとよいでしょう。さらに、いずれは施設に入るかどうかも考慮する必要があるでしょう。
 
老後施設には、介護保険3施設といわれる介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(介護医療院)があります。
 
これらは、月額数万円から10数万円程度の費用で入居できるところもありますが、要介護度や療養の必要性などの条件がありますので、だれでも入居できるわけではありません。
 
他にも民間施設である有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、認知症高齢者グループホーム、軽費老人ホームなどがあります。
 
民間施設は、施設によって料金が大きく違います。有料老人ホームは高額な入居費が必要なところもあれば、比較的低料金で入居できるところもあります。
 
とはいえ、一般的には公的な施設より料金は高めですし、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)や有料老人ホームでは見守りサービスや介護相談サービスなどの料金が別途必要になる場合があります。
 
軽費老人ホームは、地方自治体や国が助成金を出しているため、比較的低料金で利用できる場合が多いようです。
 

老後をどのように過ごすかも考慮して老後資金を準備!

公的介護保険があるとはいえ、おひとりさまで老後を迎える場合、病気や介護状態になった時の不安もありますので、施設入居を検討する方もいらっしゃるでしょう。施設入居を視野に入れるなら、老後資金は具体的にいくらになるか、施設ごとの料金を考慮しておく方がよいでしょう。
 
自宅で老後を過ごす場合も、付き添いをお願いして自由に外出したい、住まいをきれいにしたいというような公的介護サービスでは対応できないものは、民間の「介護保険外サービス」を使うことで生活の質を上げることも可能です。
 
これらに必要なお金は、公的年金だけでは不足する方が多いと思われます。老後に必要な資金を準備しておくことで、少しでもおひとりさま特有の不安を減らせるなら、早めに対応したいものです。
 
今後、家計を見直して生活費を減らすこと、どのように働いて収入を確保していくのかも重要です。さらに、預貯金だけでなく確定拠出年金やNISA、つみたてNISAなど、税制メリットがある制度も活用して老後資金を準備することも検討していきましょう。
 
出典
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2021年)」
総務省「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」
厚生労働省「施設・住居系サービスについて」
 
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー

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