更新日: 2021.09.17 セカンドライフ

年金の不足分を補うなら<リバースモーゲージ vs リースバック>どっちにするべき?

年金の不足分を補うなら<リバースモーゲージ vs リースバック>どっちにするべき?
金融庁のレポート(※)で、老後、安心して暮らすには年金以外に2000万円が必要と指摘し話題になりました。
 
年金の不足分を補う方法として、「リバースモーゲージ」や「リースバック」があります。この2つは、どのような仕組みなのかについて見てみましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージは、自宅を保有する主にシニア世帯(おおむね55歳以上)を対象としたローン商品です。自宅を保有したまま、その自宅を担保に金融機関からお金を借り、死後にマイホームを売却してローンを返済するのが基本的な仕組みです。
 
お金は一括で受け取ることも、年金のように定期的に受け取ることも可能です。
 
ローンの返済方法は、利息のみ毎月返済、元利均等返済、死亡後元利一括返済などさまざまです。繰り上げ返済も可能です。
 
使い道は、投資目的や事業目的以外であれば、基本的に自由です。生活費の補てん、医療・介護への備え、レジャー資金、リフォーム資金、高齢者施設への入居一時金、月々の住宅ローンの返済額を減らしたい場合などさまざまな用途に利用できます。
 
リバースモーゲージの対象は、基本的に土地付き一戸建て住宅です(一部の金融機関ではマンションも対象にしています)。
 
一般的に、土地の時価の70%が、その土地の「担保評価額」になります。この「担保評価額」の50~70%の範囲で融資金額が設定されることがあります。例えば、時価3000万円の土地であれば、「担保評価額」は2100万円となり、融資金額は1050万~1470万円で設定されます。
 
土地の時価は時々の市況によって変化します。金融機関は定期的に担保評価額を見直し、その時々の担保評価額に応じて融資金額を調整します。
 
地価が下落し、担保評価額よりも借りた金額が大きくなった場合、超過額の一括返済か、追加の担保を求められます。長寿で借入額が融資限度額を上回った場合も同様です。
 
追加の担保などを提供できない場合、生前に自宅を売却しなければならないケースもあります。また、売却時にローンが残っている場合には、基本的に相続人がローンを引き継ぐことになります(契約時、相続人の同意が必要)。
 
ただし、返済時、自宅の売却代金が借入金額を下回っても、不足分が請求されない商品もあります。
 
担保となる不動産が建つエリアの範囲、マンションなども対象となるか、売却時にローンが残っている場合の取り扱いなどについて、金融機関ごとに内容が異なりますのでよく比較検討しましょう。
 

リースバックとは

リースバックは、自宅を不動産事業者に売却して代金を受け取るも、そのまま賃貸として自宅に住み続けることができる手法です。
 
リバースモーゲージと異なり、利用条件の制約が少なく、基本的に自宅の所有者であれば大半の方が利用できます。住宅ローン残高があっても利用できます。ただし、ローン残高が多いと、受け取る売却代金は少なくなります。
 
リバースモーゲージの対象不動産は基本的に一戸建て住宅です。マンションを対象とする金融機関は多くありませんが、リースバックはマンションであっても利用できます。
 
売買代金の資金使途は基本的に制限がありません。事業資金、老後の蓄え資金、ローンの返済、教育資金等必要とされる用途で利用できます。所有権が不動産会社に移りますので、不動産を所有することで発生する、固定資産税等の支払いや老朽化、自然災害による修繕費用がかからなくなります。
 
一方、これらランニングコストを上回る家賃を払う必要があります。
 
自宅を売却し現金化することで、遺産分割でもめるなどの相続トラブルを防ぐことが可能です。リースバック開始後に買い戻すことができる場合がありますので、相続人に不動産を残すことも可能です。
 

まとめ

リースバックとリバースモーゲージの仕組みを見てきました。大きな違いは自宅の所有権が本人のままか不動産業者に移るかという点です。それぞれメリット・デメリットがありますので、よく比較をして活用するようにしましょう。
 
出典
(※)金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
 
(リバースモーゲージについて、参照)
三井住友銀行 ホームページ
東京スター銀行 ホームページ
湘南しんきん ホームページ
 
(リースバックについて、参照)
SBIスマイル株式会社 ホームページ
センチュリー21 ホームページ
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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