地域の高齢者やそのご家族をサポートする、地域包括支援センターについて
配信日: 2021.10.05
執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターは、地域の高齢者が住み慣れた場所で、健康で安心して暮らせるように、保健・医療・福祉の面から総合的に支援するための機関です。医療や介護の相談、福祉サービスの紹介、関係機関との連携などさまざまなサポートを行います。
全国に5221ヶ所設置され、市区町村の直営での運営が21.1%、市区町村により委託を受けた社会福祉法人等による運営が78.9%になっています(※)。
地域包括支援センターの主な業務
具体的に地域包括支援センターが行っている主な支援業務は以下のとおりです。高齢者が住み慣れた場所で、安心して暮らせるように、ケアマネジメントを総合的に行います。
【総合相談支援業務】
医療・介護・福祉の総合相談窓口となっています。高齢者等に関するさまざまな相談を受け、適切な機関や制度、サービスにつなぎ、必要な支援を行います。
【包括的かつ継続的なケアマネジメント支援業務】
高齢者の状況・変化に応じた包括的かつ継続的なケアマネジメントの環境を整える役割も担っています。地域のネットワーク基盤づくりや協力体制の整備、ケアマネージャーの日常的な指導、相談、助言を行います。
【権利擁護業務】
虐待被害の防止・対応、消費者被害や詐欺の防止・対応、成年後見制度の活用支援などを行い、権利侵害を受けている、または受ける可能性が高い高齢者の尊厳を守るための権利侵害の予防や対応を専門的に行います。
【介護予防ケアマネジメント業務】
要介護状態になることを予防するための支援を行っています。要支援者やこのまま何もしなければ介護が必要になるおそれの高い65歳以上の高齢者に対して、心身の状況や置かれている環境などを把握し、アセスメント、課題分析を行ったうえで介護予防ケアプランを作成し介護保険の介護予防サービスやその他の必要な福祉サービスを適切に受けられるよう、予防給付に関するケアマネジメント業務を行います。
地域包括支援センターを利用できる人
地域包括支援センターを利用できるのは、センターが所在する地域に住んでいる65歳以上の高齢者やその関係者(ご家族など)が利用できます。要介護度にかかわらず、65歳以上の高齢者であれば全員が利用できます。
設置の目安は中学校区域(人口2~3万人程度の規模)に1ヶ所、管理・運営は市町村から委託を受けた法人(社会福祉法人や社会福祉協議会など)が主に行っています。ご自身がお住まいを管轄する地域包括支援センターは、主に市区町村ではホームページや市区町村の窓口で確認できます。
まとめ
地域包括支援センターには、医療、福祉、介護の専門家である保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーなどのスタッフがいます。各得意分野の専門家が連携を取り、相談の内容に応じて、制度の概要の説明や相談窓口の紹介など、具体的な解決策の提案をしています。
また、必要に応じて介護サービスや、さまざまな支援が受けられるよう、手続きについてもサポートしています。ご自身やご家族の介護のことで不安なことがあれば、まずはお住まいの市区町村の地域包括支援センターにご相談してみてはいかがでしょうか。
(※)厚生労働省「地域包括支援センターについて」 令和2年4月末現在
(参考)
厚生労働省「地域包括支援センターの業務」
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント