更新日: 2021.10.24 その他老後

後期高齢者保険料の減額が認められるケースとは?

後期高齢者保険料の減額が認められるケースとは?
75歳になると、今まで加入していた国民健康保険や社会保険などの医療保険制度から、「後期高齢者医療制度」に切り替わることになります。
 
後期高齢者医療制度は、各都道府県に設置された「広域連合」が運営しており、74歳までの健康保険とは別物の制度です。
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

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高齢者の医療保険制度の主な変遷

 

・1973年 老人医療費無料化

それまで自己負担割合3割でしたが、老人福祉法の改正により老人(70歳以上)医療費の自己負担分を無料としました(自治体レベルでは先行して無料化もあり)。
 

・1983年 老人保健法制定

老人医療費が急増し、国民健康保険の運営が厳しくなったため、自己負担が外来1ヶ月400円、入院1日300円となりました。その後、負担額は徐々に引き上げられていきます。
 

・2002年 70歳以上の自己負担を1割に定率化

対象年齢を5年かけて70歳から75歳に引き上げることが決定。
 

・2006年 健康保険等一部改正法案が成立

75歳以上の高齢者を対象に後期高齢者医療制度を創設し、2008年度から施行。
 
高齢者の医療費が増加していく中で、1983年以降、自己負担が徐々に増えていきました。2008年度からは75歳以上を別枠の医療保険制度の被保険者として、都道府県ごとの医療費水準に応じた保険料を高齢者全員で公平に負担することとしました。
 

後期高齢者医療制度の概要

 
(1)被保険者
75歳以上の人と、65歳~74歳で寝たきりなど一定の障害の認定を広域連合から受けた人
 
(2)医療給付費
公費(税金)約5割、後期高齢者支援金(若年層の保険料)約4割、被保険者の保険料1割
 
(3)運営主体
都道府県単位の広域連合が運営するが、各種手続きの受け付けは市区町村
 
(4)自己負担
外来、入院とも窓口負担1割(現役並み所得者および、その人と同一世帯の被保険者は3割)
 
(5)保険料
所得にかかわらず一律の「均等割額(応益分)」と、所得に応じて決まる「所得割額(応能分)」の合計で、上限は年額64万円となっています。


・均等割:令和2・3年度の全国平均は年額4万6987円(月額3915円)
・所得割=(総所得金額等-基礎控除)×所得割率(令和2・3年度の全国平均は9.12%)

保険料の徴収については、公的年金が年額18万円以上の場合は公的年金からの天引き(特別徴収)が原則です。公的年金が年額18万円未満の場合や、介護保険料との合計額が年金額の2分の1を超える場合は、天引きはされず普通徴収(口座振替や納付書による支払い)となります。
 

保険料の軽減

「同一世帯内の被保険者と世帯主の総所得金額等の合計額」が基準額を超えなければ、均等割の部分が軽減されます(手続き不要)。国民健康保険の低所得者の均等割軽減と同様、収入に応じて7割、5割、2割の軽減があります。
 
なお、後期高齢者医療制度の被保険者となる資格を得た日の前日において、被用者保険(健康保険組合や船員保険、共済組合等)の被扶養者だった方の保険料については、所得割が無く、資格取得後2年間は均等割額のうち5割が軽減されます。
 

保険料の減免など

災害などにより重大な損害を受けたときや、特別な事情(コロナ禍による影響など)により保険料を納めることが困難になった場合には、保険料が猶予・減免されることがあります。
 
保険料の減免は、各都道府県が条例に基づき行うものです。前記の均等割の軽減と違い自身での申請が必要となり、内容や手続きの方法も各都道府県によって異なります。保険料の納付が困難な場合は、早めに市区町村役場の窓口で相談してください。
 
後期高齢者医療制度は、都道府県ごとの医療費水準に応じた保険料を高齢者が公平に負担するために、都道府県に設置した広域連合が運営しています。都道府県独自のルールも存在しますので、詳細は市区町村の担当窓口やホームページなどで確認してください。
 
ただし、後期高齢者が自分で情報収集や手続きをするのは困難なケースもあるかと思うので、家族や周囲の方の協力も大切でしょう。
 
出典
厚生労働省 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し
 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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