更新日: 2021.11.09 その他老後
公民館や集会所にある「地域包括支援センター」って何をしているところ?
実際にどのようなところで、何をしているのか見ていきましょう
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
地域包括支援センターとは
地域包括支援センターの目的は、「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設」(介護保険法第115条の45)です。
地域包括支援センターは、保健師・看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が連携をとりながら、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるように、介護だけではなく、福祉・健康・医療など、さまざまな分野から総合的に高齢者とその家族の生活を支える地域の窓口です。
高齢者本人はもちろん、家族、地域住民、ケアマネジャーなどから受けた悩みや相談を、適切な機関と連携して支援する機関で、市区町村が設置主体となっており、令和2年4月末時点で全国に5221ヶ所、ブランチ等を含めると7335ヶ所設置されています。
どのような人が利用できるの? 費用はかかるの?
地域包括支援センターは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、またはその支援のための活動に関わっている方が利用できます。もし、離れて暮らす親について家族が相談したい場合は、支援対象者となる親が住んでいる場所の地域包括支援センターに問い合わせることになります。
また、相談は無料です。ただし、紹介されたサービスを利用するときは費用がかかる場合があります。
どのような業務をしているところなの?
地域包括支援センターの主な業務は、介護予防支援および包括的支援事業で下記の4つが主な業務です。
1.介護予防ケアマネジメント業務
2.総合相談支援業務
3.権利擁護業務
4.包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
それぞれの業務の内容を見ていきましょう
1.介護予防ケアマネジメント業務
介護予防ケアマネジメント業務は、介護が必要な状態にならないように「健康づくり」や「介護予防」を支援するもので、高齢者が健康で暮らせるように生活の仕方やサービスの利用などについて助言・紹介するなど適切なサービス計画を立て、本人自らの選択に基づき、介護予防事業その他の適切な事業が包括的かつ効率的に実施されるように、必要な援助を行うものです。
2.総合相談支援業務
総合相談支援業務は、地域の高齢者やその家族が、暮らしや介護の関するさまざまな問題を解決するための相談窓口で、どのような支援が必要かを把握し、地域における適切なサービス、関係機関、制度の利用につなげる等の支援を行うものです。業務内容としては、総合相談や地域包括支援ネットワーク構築、実態把握などがあります。
3.権利擁護業務
権利擁護業務は、高齢者が不当な扱いを受けて権利を侵害されている、あるいは受ける可能性が高いと考えられる場合に、地域で安心して尊厳のある生活を行うことができるよう、権利侵害の予防や対応を専門的に行うものです。事業内容としては、成年後見制度の紹介、高齢者虐待の防止および対応、悪質商法の被害の防御および対応などの支援があります。
4.包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、高齢者が住み慣れた地域で暮らすことができるよう必要なサービスが受けられるように、地域のケアマネジャーへの指導・支援、医療機関や関係機関等との連携を行い、高齢者にとって住みやすい地域となるようネットワークをつくる業務です。
困ったときはまず相談してみよう
高齢者の方にとって困ったことが起きた場合に、身近に相談できる公的機関の1つです。また、核家族化が進み親世代と別に暮らしている現役世代も、離れて暮らす親の様子が気になりだしたときは、親が住む場所の地域包括支援センターに相談できます。
高齢者自身にしてもそのご家族にしても、何か困ったことがあった場合早めに相談することによってより良い対策が講じることができるかもしれません。また、トラブルを予防する可能性が高くなりますので、気になる方はご利用を考えてみてはいかがでしょうか。
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表