更新日: 2021.11.16 セカンドライフ

“老いじたく”を進めるヒント

“老いじたく”を進めるヒント
65歳以上の、年代的にはシニアと呼ばれる人たちのなかには、自身の親の介護を通じて、自分たちの“老いじたく(終活)”の必要性を感じるという方もいらっしゃるでしょう。“老いじたく”をどのように進めるのか、そのヒントを探ります。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

“老いじたく”をチェックしてみよう

「終活にはまだ早い?」その一方で、身のまわりの整理は気になります。「いつかやろう」とか、「どこから手をつけて良いのか分からない」とちゅうちょしていると、なかなか前に進むことはできません。締め切りを明示されていませんので、先送りにしてしまうことが終活の遅れる原因です。
 
「おおた社協だよりNo,89 2021年10月秋号」(編集 発行:社会福祉法人 大田区社会福祉協議会)に、『今から始めよう!自分らしい老いじたく』という記事を見つけました。参考になりそうなので、紹介したいと思います。
 
ここでは、“老いじたく”の目的はモノや資産を整理することにとどまらず、「これからの人生をより豊かに生きること」が真の目的と位置付けています。“老いじたく”を4つに分類し、それぞれのチェックリストを設けていますので、考えの整理に役立ちそうです。これを参考にどれか1つでも済ませると、ちょっとスッキリした気持ちになり、2番目に進むことにつながるかもしれません。

【身のまわりのモノ】

□衣類、写真、手紙、本、趣味で集めたものの整理
□自分名義の預貯金、有価証券、生命保険など分かるようにしている
□使っていない銀行口座やクレジットカードがある

【もしもに備える】

□かかりつけ医やお薬手帳、アレルギーなどの情報を分かるようにしている
□自分にもしものことがあった時に連絡してほしい人がいる
□認知症などで判断能力が低下しても自分の意思を尊重してほしい
□元気なうちから財産管理や資産運用を信用できる家族・人に任せたい

【住まいのこと】

□将来、不動産の承継・賃貸・売却などを考えている
□自分が相続した不動産で名義変更(不動産登記)していないものがある
□自分名義で誰も住んでいない家(空き家)がある
□遺産分割協議の済んでいない不動産がある

【亡くなった後のこと】

□自分の遺産をどうしたいか考えている
□お墓に関すること(場所、承継、墓じまい)を決めてある
□亡くなった後の手続きをしてくれる人がいる
□大切なペットの世話について考えている

 

まずは、自分ひとりでできることから

いかがでしょうか。「やることがたくさんあって余計に心配が増えた」という場合もあるかもしれません。そこで提案があります。次のステップに沿って、ご自身の「やることリスト」を整理してみましょう。
 

<Step1>

「自分ひとりでできること」と「家族で話すこと」に分ける
 

<Step2>

「自分ひとりでできること」から始める
 
 衣類や写真などの思い出の品は数も多く時間がかかります。むしろ預貯金や生命保険などの書類整理を優先して片づけることがお勧めです。ひとまとめにしてファイルを作成し下記のような一覧表を作っておくと、後々便利です。
 

 
「その他」の欄には、担当者や電話番号などを記しておくと良いです。パスワードや暗証番号なども忘れがちなので、ここで整理しておくと分かりやすいですが、一覧表の保管には注意してください。
 

 
保険関係もこのようにしておくと整理できます。何か事故がおきた時、どこの保険会社と契約しているのかが一目で分かります。この機会に使っていない銀行口座を解約したり、送られてくるお知らせ類の整理をしたりすると、一気に書類の片づけが進みます。
 

<Step3>

「家族で話すこと」には、「家族に伝えておくこと」と「家族で話し合うこと」があります。伝えておくことはメモ書きにして、誰に何を伝えるのかを整理します。なるべく家族全員と情報を共有しておくことがお勧めです。家族で話し合う課題は、話し合う前に自分の希望をまとめておくことが大切です。
 

子どもサイドから見た実家の片づけ

実際に実家の片づけを行った人は、どのような点で苦労したのでしょうか。
 
片づけコンサルタントをしている方に取材をしたところ、この方自身が現在実家の片づけに奮闘中とのことです。彼女いわく、「母親ひとりでは前に進まない。でも一緒に片づけると、親子でも価値観が違うしケンカが絶えない」。さらに「遺品整理となったら、そちらのほうが難しいと思う。親の気持ちを考えると処分しにくいしね」。
 
片づけのプロでもそうなのか、と思いました。遺(のこ)された家族が悩まないように自身で整理することは、終活の中でも優先順位は高そうです。
 
これまで受けた相談者さまの中には、「土地・家屋の購入契約書が見つからなかった」「金庫の暗証番号が分からなかった」ということがありました。FPとしては、こちらがよりいっそう深刻です。親が亡くなって相続となれば、相続財産を棚卸しする必要があります。
 
経験した人は「相続は大変」と言います。これは相続財産について、相続人の間で話し合って期限内に決める必要があるからです。せっかく書類を整理したのに保管場所を家族が知らない、このようなことにならないように注意が必要です。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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