更新日: 2021.12.29 セカンドライフ

ゆとりある老後の生活費。夫婦2人で月いくら必要?

ゆとりある老後の生活費。夫婦2人で月いくら必要?
老後に必要な資金の総額は、老後どのような生活をするかで異なります。ただ、それまでの生活レベルを下げられない方もいらっしゃいます。
 
では、実際にゆとりのある老後を考えるにあたって、夫婦2人で必要な額はいくらなのでしょうか。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

老後の生活費の実態

総務省の資料によると、2020(令和2)年の65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の年代別家計収支については、以下のとおりとなっています。
 

 
収支を見ると、黒字になっているのは75歳以上で、それまでは毎月約1万円(年間12万円)の赤字となっています。
 
(出典:総務省統計局「家計調査報告(2020年(令和2年)平均結果の概要)」(※))
 

老後における最低限必要な生活費は?

また、2019(令和元)年の生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人が毎月生活していくうえで最低限必要な額については、平均22万1000円であることがわかります。最低限必要だと答えた金額とその割合については、以下のとおりです。
 

 
分からないと回答した割合を除くと、もっとも多いのは20万円以上25万円以下です。ただし、この生活費は実収入から税金などを引いた可処分所得ですので、前述の総務省の家計調査の結果と比べると、上で述べた65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の年代別家計収支結果における65歳以上のすべての年代で当てはまっています。
 
ただ、30万円以上40万円未満と回答した割合が2番目に多く、全体の17%を占める点も見逃せません。
 
(出典:生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」)
 

ゆとりある老後の生活のための資金

では、ゆとりのある老後を暮らすためにどのような資金使途を考えているのでしょうか。同調査によると、ゆとりのための資金使途の中でもっとも多いのは「旅行・レジャー」となっており、次いで「趣味・教養」となっています。
 

(出典:生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」)
 
気になるのは、「日頃の生活費の充実」と答えた人が半数以上いることです。老後の生活において、よりゆとりのある生活スタイルを望んでいる人が多いことが分かります。ちなみにゆとりのある老後を送るための上乗せ額については、平均14万円となっており、上の最低限必要な生活費と合わせると約36万円となります。
 

ゆとりのある生活を夫婦2人で送るには?

では、夫婦2人でゆとりのある生活を送る場合、いくらくらいが必要と考えているのでしょうか。必要金額とその割合については以下のとおりです。
 

(出典:生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」)
 
もっとも多いのは30万円以上35万円未満となっていますが、次いで多いのが50万円以上となっています。ゆとりある生活のレベルは人それぞれですが、2人でゆとりある生活を送るには50万円以上が必要だという方が多いということは、その後の医療や介護に備えた家計収支を考慮している人が増えているともいえるかもしれません。
 

■実態との差は

調査に1年のずれはあるものの、老後の生活費の実態である約23万円(月額)と比較すると、ゆとりある毎月の生活費(約36万円)との差はひと月当たり約13万円です。年額に換算すると156万円、もし現時点で65歳の方が85歳まで生きるとしたら20年間で約3100万円が必要ということです。
 
この額は実際に受け取れる公的年金以外で用意する必要があるため、ゆとりある老後を送りたいと考えているのであれば、現役時代から老後に向けた資産形成を行うことが必須といえます。
 

まとめ

実際に2人で36万円も使わないと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、年々物価は上がっていきます。現在の物価と将来の物価を考えると、余裕を持って準備しておいたほうがよいかもしれません。
 
年金額は物価スライド制を採用しているのでインフレが来れば上昇していきますが、厳密に物価の上昇に追い付いているとは到底いえません。年々ものの値段は上がっているのにもかかわらず、2021(令和3)年の年金額が前年よりもマイナスとなったことからも、その実態がお分かりいただけるのではないでしょうか。
 
ゆとりある生活とは、目的をどこに置くかによって必要な金額も異なります。実際に自分が老後にどのような生活を送りたいかを考えながら、資産形成を行っていく姿勢が大切です。
 
出典
(※)総務省統計局「家計調査報告(2020年(令和2年)平均結果の概要)」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集