50代で親の介護にいくらかかる?足りないときはどうすればいいの?
配信日: 2022.02.07
仮に親の介護が必要になった場合、どれくらい介護費用がかかるのでしょうか? また、介護費用が不足する場合の対応はどうするべきなのでしょうか? 50代からの親の介護について費用の面から考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
介護期間と介護費用はどれくらいかかる?
公益財団法人 生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護費用(公的介護保険サービスの自己負担分を含む)のうち、一時的にかかった費用(バリアフリー工事など住宅のリフォーム費用や介護ベッドなどの購入費用)の平均は74万円となっています。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 「2021年(令和3年)度生命保険に関する全国実態調査」
そして、実際に介護を行った期間の平均は61.1ヶ月(約5年1ヶ月)で、介護費用の平均は1ヶ月当たり8万3000円です。この調査結果から、介護にかかる平均的な費用は一時的な費用を含め、581万円程度であることが想定できます。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
出典:公益財団法人 生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
しかし、介護費用として581万円程度あれば安心というものでもありません。介護期間は長い方で10年以上という場合もありますし、介護費用も金額帯では不明を除くと月額15万円以上が最も多くなっています。
また、介護を行う場所によっても大きく費用が増減するため、自身が50代で親も高齢という状況であれば、今はまだ親が元気でも介護を自宅で行うか、それとも施設で行うか考えておく必要があります。
介護費用は自宅(在宅)で行う場合の月額平均4万8000円に対し、施設の場合の平均は在宅の2.5倍近い、12万2000円もかかってしまうからです。
出典:公益財団法人 生命保険文化センター 「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
介護期間がどれくらいとなるのかは、親の健康状態など個別の事情によって大きく異なりますが、介護を行う場所を自宅か施設か決めておけば、月々の費用についてある程度は目安となる金額を計算することができ、今後の計画を立てやすくなります。
50代という自身の老後も近づいている状況で親の介護費用について考える場合、在宅介護と施設での介護のどちらにするか、まずは検討してみてください。
介護費用が足りない場合は?
自分の老後の準備もあり、親の介護費用をどうしても全額は捻出できない、あるいは費用が不足するという場合は、介護の態様について考える必要もあるでしょう。
特に施設での介護を在宅介護に切り替えると、月額費用が平均で7万4000円抑えられます。その他にも、助成金や補助金を利用するという方法もあります。
例えば、介護保険サービスなどにかかった介護費用が高額で、1ヶ月の利用者負担額が一定の上限を超えた場合、申請により超えた分の金額が支給される「高額介護サービス費等」といった制度も利用できます。
負担上限額は収入などによって異なりますが、市民税課税世帯で課税所得が380万円未満に相当する方のいる世帯の方で、月額4万4000円となっています。地域によっては独自の支援をしている自治体もあります。
横浜市では収入や資産が一定の基準に該当する場合に、在宅介護サービスや介護施設の利用料の自己負担額が軽減される「横浜市介護サービス自己負担助成制度」を設けています。
また、介護について利用できる制度の紹介や、相談機関のあっせんをしている自治体もあります。介護に関する悩みや介護費用についての不安がある場合、まずは自治体に相談してみてください。
介護費用の平均は約581万円! 困ったら自治体へ相談を
介護にかかる費用の平均は約581万円となっており、これから自身の老後も控えている50代の方にとって、親の介護は大きな負担になり得ます。
親の介護費用が足りない、あるいは自分が捻出できそうにないという場合、介護の仕方について考え、助成や支援制度を利用するほか、自治体に相談するなどして早めに対応を取るようにしてください。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
横浜市 高額介護サービス費等について
横浜市 Q&Aよくある質問集より「横浜市介護サービス自己負担助成制度とはどのようなものですか。」
執筆者:柘植輝
行政書士