更新日: 2022.02.07 その他老後

親の老後のために、子どもはいくら貯めておくべき? 国の補助金とともに紹介!

執筆者 : 柘植輝

親の老後のために、子どもはいくら貯めておくべき? 国の補助金とともに紹介!
親がいつまでも元気で、老後資金に余裕があるとも限りません。親が自分で老後資金を準備できない場合に備え、子どもはいくらためておくべきなのでしょうか。
 
補助金や給付など、その費用を賄うことができる制度についても併せて紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

親の老後のためにためておくべき金額は?

親の老後のために子どもがためておきたい金額は、多ければ多いほど安心はできますが、個別の事情などにもよるため、一概に「これだけあれば大丈夫」と言い切ることはできません。
 
例えば介護が必要になった場合の参考としては、公益財団法人 生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」の結果による、平均的な介護費用の一時金74万円、1ヶ月当たりの介護費用として8万3000円程度を支出できるくらいの貯蓄があると安心です。
 
なお、平均的な介護期間は61.1ヶ月となっているため、介護の内容にもよりますが、費用の総額は581万1300円という見込みを計算できます。
 
また、介護費用だけでなく別居している親の生活費も支援するのであれば、総務省の「家計調査報告」(令和2年)の「65歳以上の単身無職世帯の平均支出」を基にした試算によると、月額15万円ほどが必要となります。
 
親が自身の年金だけでは生活費が足りないという場合、その不足分についても考える必要があるでしょう。
 

親の老後に利用できる制度や補助金は?

親の老後のためのお金を、子どもが全て賄うのは大変です。
 
親のために毎月何万円、場合によっては何十万円と支援をしつつ、自分の生活や老後資金の準備もするとなればなおさらです。
 
しかし、老後資金の全てを子どもが賄わなければならないわけでもありません。なぜなら、親の老後にかかる一部の費用については、親自身の年金に加えて給付制度や補助金が存在しているからです。これらを利用することで、子どもが支援する際の負担が軽減されます。
 

介護休業給付と居宅介護(介護予防)住宅改修費

親の老後と介護は切り離せない問題の1つともいえます。
 
当然、介護に付随する費用なども負担としてのしかかりますが、介護や介護のために必要な費用として受けられる補助金や給付に、「介護休業給付」と「居宅介護(介護予防)住宅改修費」があります。
 
介護休業給付とは、雇用保険に加入しているなど一定の要件を満たす方が家族の介護のために仕事を休んだ場合、93日を限度に最大3回まで、休業開始時の賃金日額の67%相当の給付を受けられるものになります。詳細については勤務先やハローワークにご確認ください。
 
また、介護休業給付とともにチェックしておきたいのが、居宅介護(介護予防)住宅改修費です。
 
居宅介護(介護予防)住宅改修費とは、要介護・要支援と認定された方を対象とし、自宅での一定のバリアフリー工事を行う際に最大20万円の給付を受けられる補助金です。詳細についてはお住まいの自治体やケアマネジャーにご相談ください。
 

年金生活者支援給付金制度

年金生活者支援給付金制度とは、老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金を受給している方の所得が一定額以下の場合に、生活の支援を目的とした給付金を年金に上乗せして支給する制度です。
 
例えば、65歳以上で老齢基礎年金を受けている方は、同一世帯の全員が住民税非課税であり、前年の公的年金等の収入とその他所得の合計が88万1200円以下の場合、月額5030円を基準に、保険料納付済期間などに応じた給付金を受け取れます。
 
親が年金だけでは生活できないというケースでは、こういった給付金制度も活用することで親への仕送りなどの負担が軽減できます。詳細については最寄りの年金事務所へお問い合わせください。
 

まとめ

親の老後のためにお金をためるのであれば、生活費相当額のほか、介護費用なども考慮して準備をしておくと、ある程度は安心できます。
 
また、親の老後の支援は自己資金だけでなく、補助金や給付金によって負担を軽減することができるため、積極的に活用していくべきです。
 
例えば、介護サービス利用時の自己負担額が一定の限度額を超えた場合、超えた分について払い戻しを受けられる「高額介護サービス費等」など、今回紹介した以外の制度も用意されています。
 
親の老後のために利用できる制度や補助金などについて知りたい場合、お住まいの自治体などへ問い合わせて相談してみるといいでしょう。
 
出典
公益財団法人 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要
厚生労働省 Q&A~介護休業給付~
杉並区 介護保険 よくある質問より「居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給について教えてください。」
厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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