更新日: 2022.02.09 老後

最多の2万人超え! 介護保険料の滞納による資産の差し押さえ。差し押さえられる前にすべきこと

執筆者 : 新美昌也

最多の2万人超え! 介護保険料の滞納による資産の差し押さえ。差し押さえられる前にすべきこと
厚生労働省の資料(※1)によると介護保険料の滞納による資産の差し押さえが2019年度は最多の2万1578人になりました。65歳以上の高齢者数は、2025年には3657万人となり、2042年にはピーク(3878万人)を迎える予測ですので、滞納はこれからも増えるでしょう。
 
滞納が長期にわたると最悪資産が差し押さえられてしまいます。そうならないように、65歳以上の保険料徴収の仕組み、滞納のペナルティー、保険料を払えなくなった場合の対処法について確認しておきましょう。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

65歳以上の介護保険料徴収の仕組み

介護保険料は,65歳以上の方(第1号被保険者)は個別に介護保険料を納付します。会社員の方も65歳になると給与からではなく、原則、年金からの天引きにより介護保険料が徴収されます。
 
納付方法は、(1) 年金から天引きされる「特別徴収」と、(2) 金融機関などの窓口で現金で納めるか、もしくは銀行口座からの引き落としで納める「普通徴収」(特別徴収に該当しない人が対象)の2種類があります。なお、令和2年4月1日現在、特別徴収対象者数は約3201万人、普通徴収対象者数は約355万人います(※1)。
 
年額18万円以上の公的年金を受給している場合は、「特別徴収」になります。「特別徴収」と「普通徴収」のどちらかの納付方法を選択することはできません。
 
「特別徴収」のほうは、介護保険料の滞納は考えにくいのですが、年度途中で65歳になった場合や年度途中で他市町村から転入した場合などは、一時的に「特別徴収」の対象とならないので、滞納に気を付けましょう。
 

介護保険料を滞納したらどうなる?

滞納の背景には介護保険料の値上がりが背景にあります。65歳以上の方の介護保険料(全国平均月額)は2000年度2911円でしたが、2021年度は6014円となっています。市区町村によって格差が大きく、最も高いのが東京都青ヶ島村の9800円、最も低いのが北海道音威子府村と群馬県草津町の3300円となっています(※2)。
 
介護保険料を滞納すると、滞納していた期間に応じて保険給付が制限される場合があります。
 

▽滞納期間が1年以上

利用した介護サービス費用は通常1~3割負担ですが、全額(10割)自己負担です。申請により、後で保険給付額(介護サービス費用の9~7割)が払い戻されます(償還払い方式)。
 

▽滞納期間が1年6ヶ月以上

利用した介護サービス費用が全額(10割)自己負担になります。さらに、滞納している保険料を納めるまで、申請しても保険給付(介護サービス費用9~7割)が差し止められます。滞納を放置しておくと、差し止められている保険給付額から滞納している保険料が差し引かれます。
 

▽滞納期間が2年以上

未納期間に応じて介護サービス費用の自己負担額が本来1割または2割の方は3割に、本来3割の方は4割に引き上げられます。また、高額介護サービス費の払い戻しをはじめ、居住費や食費の負担軽減なども受けられなくなります。
 
納付期限から2年を過ぎた場合には時効により、滞納分を支払うことが不可能となってしまいます。さらに、未納が長期間にわたる場合については、財産や資産の差し押さえが行われたりします。
 
なお、年金・給与等を差し押さえる場合には、本人につきひと月10万円、生計を一にする配偶者等1人にひと月4.5 万円分については差押禁止財産となっています(国税徴収法第76 条等)。
 

介護保険料の納付が困難な場合

災害や新型コロナウイルス感染症の影響により一定以上収入が減少した等などの特別な事情があると認められたときは、保険料の減免や徴収猶予を受けられる場合があります。介護保険料や国民健康保険料の納付が困難になったときは、お住まいの市区町村の窓口にすぐに相談してください。
 
「普通徴収」の場合は子どもに納付してもらうという方法もあります。支払った介護保険料は全額「社会保険料控除」できますので子どもの節税にもなります。安心して介護保険サービスを受けるためには、介護保険料の滞納には気を付けましょう。
 
出典
(※1)厚生労働省「介護保険最新情報掲載ページ/介護保険最新情報vol.1017」
(※2)厚生労働省「第8期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。

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