老後破産をしないために、60歳までにどれくらい資金を貯めておくべき?

配信日: 2022.02.14

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老後破産をしないために、60歳までにどれくらい資金を貯めておくべき?
かつては多くの企業が60歳を定年としていたこともあり、60歳は定年退職を考える方が出始めてくる年齢です。また、仮に60歳以降に働いたとしても、それまでと同水準の給与が得られるとは限らないという点も背景にあります。
 
つまり、60歳という年齢は老後の資金について考える際、ポイントとなる年齢だといえます。老後破産をしないためには、60歳時点でどれくらいの資金を貯めておくべきなのでしょうか。今一度考えてみます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後破産をしないために60歳時点で貯めておくべき老後資金の目安は?

老後破産をしないために60歳時点で貯めておくべき老後資金の具体的な金額は、正直なところ、個別の事情によって異なります。
 
老後2000万円問題として、老後資金には2000万円が必要だといわれたこともありますが、実際にはライフプランや家族構成などによって、それ以上の金額が必要となる方もいれば、少ない金額で済む方もいらっしゃいます。
 
とはいえ、最低限いくら必要なのかというおおよその金額をシミュレーションすることはできます。
 
総務省の「家計調査報告」(令和2年)の結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯が1ヶ月に支出する金額は、非消費支出と消費支出を合わせて平均25万5550円、65歳以上の単身無職世帯の場合は平均14万4687円となっています。
 
この数値を基に60歳で定年退職した場合で、女性の平均寿命である88歳(87.74歳)までの28年間の老後資金を考えると、夫婦で8586万4800円、単身でも4861万4832円が必要という計算になります。
 
老後破産を防ぐために、60歳時点で用意しておくべき老後資金の金額としては、上記が1つの目安になるといえます。
 

年金の存在も考えて老後資金を準備

夫婦で約8586万5000円、単身でも約4861万5000円が老後資金の目安としましたが、この金額はある程度、年金によってカバーされます。
 
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、令和2年度の厚生年金(第1号)の平均支給額は国民年金部分の給付を含み、月額約14万6000円、国民年金では約5万6000円となっています。
 
仮に年金を65歳から88歳までの23年間で受け取った場合、年金制度が現在から大きく変わらないことが前提ではありますが、厚生年金では約4029万6000円、国民年金では約1546万6000円と、老後資金の一部は年金収入でも賄えるようになっています。
 
つまり、年金によってある程度は老後資金がカバーできていることを知った上で、残りの部分を何らかの手段で定年退職までに準備していく必要があります。
 
具体的には預貯金はもちろん、つみたてNISA、iDeCoといった資産運用で準備することが有効です。ただし、先に説明した老後資金の目安は統計上の平均的な数値によるものです。
 
老後に病気を患った場合にも備えておきたい、家のリフォームを計画している、旅行や趣味など余暇も楽しみたいと考えるのであれば、それらを踏まえて上乗せした金額が必要であることも忘れないでください。
 
また、年金制度は今後変更されることもあり得るため、年金について過信し過ぎず、余裕を持って老後資金を準備するようにしましょう。
 

まとめ

老後破産を防ぎたい場合、将来の年金の受給額のほか、自身のライフスタイルや生活費を踏まえて、必要な金額を大まかに計算して老後資金を用意するべきでしょう。
 
65歳から年金を20年ほど受給し、平均的な生活費の範囲で老後を過ごすと考えた場合、60歳時点において夫婦で約8586万5000円、単身でも約4861万5000円を目安に、年金でカバーできる部分を考慮した老後資金があれば、よほど想定外のことが起きない限りは老後破産を防ぐことができると思います。
 
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要
厚生労働省年金局 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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