更新日: 2022.03.09 セカンドライフ
持ち家のない高齢者は全体の何割?家賃はどのくらいのところに住んでいる?
しかし、現実問題として賃貸住宅に頼らざるを得ない高齢者は存在します。実際に賃貸住宅に住んでいる高齢者はどのくらいいるのでしょうか。その家賃相場についても解説します。
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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高齢者の生活環境
令和3年版高齢社会白書(※1)によると、65歳以上の世帯のうち、持ち家でない借家住まいの割合は約18%となっており、公営の借家が6.5%、民間の借家が約11%となっています。
つまり、65歳以上の世帯の約2割弱が賃貸住宅に住んでいることが分かります。また、家賃については高齢者に限らず全体の平均となりますが、住宅の種類別に以下のようになっています。
(出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」)(※2)
公営の借家は比較的安い家賃で入居できますが、入居できる条件が限られています。また、民間の借家でも木造と非木造では約1万2000円の差があることが分かります。保証人なしで入居できる都市再生機構などは住宅の種類の中でも一番高く約7万円となっています。
公営住宅とは?
公営住宅とは、国と地方公共団体が協力して用意しているもので、住宅に困窮する低所得者のために、低価格で提供しています(※3)。したがって、入居するためには要件をクリアする必要があります。
■公営住宅に入居できる人
公営住宅に入居するためには、以下の基準を満たさなければなりません。
・月収25万9000円(収入分位50%)を上限として、政令で規定する基準(月収15万8千円:収入分位25%)を考慮したうえで、条例により決められた基準以下であること
(ただし、その人の個々の事情を考慮し、居住の安全を図ることが必要と認められた際はこの基準以上でも入居可能)
・現に住宅に困窮していることが明らかなこと
■公営住宅に入居するためには
公営住宅への入居は公募で行われます。そして、地方公共団体の判断により、特に居住の安全の確保が必要と判断した場合は、優先的に入居できます。
ただし、公営住宅に3年以上入居しており、入居基準である収入を超えた場合は、明渡義務(努力義務)が発生します。さらに5年以上入居し、最近2年間の月収が31万3000円を超えている場合についても、地方公共団体は明け渡しを請求することができるようになっています。
■公営住宅の家賃
公営住宅の家賃は、入居する人の家賃負担能力に応じて、地方公共団体が決定します。
そして、入居基準である収入を超えた収入超過者の家賃については、その度合いと超過収入者になってからの期間を考慮し、遅くても入居5年目からは市場家賃と同等の家賃が適用されることになります。
さらに高額収入者となった場合は、直ちに市場家賃と同等の家賃が適用されます。
■公営住宅の現状
公営住宅に入居している人のうち、60歳以上の割合は年々増加しており、高齢化が進んでいます。さらに、入居している人の中でも月収が約10万円以下の割合が増加傾向にあり、低所得化が進んでいる実態が浮き彫りになっています。
最近注目されているUR賃貸住宅
最近、高齢者の賃貸住まい先として「UR賃貸住宅」が注目されています。
■UR賃貸住宅とは?
UR賃貸住宅は、UR都市機構が提供している賃貸住宅で、以下の点が特徴となっています。
・仲介手数料不要
・保証人不要
・礼金不要
・更新料不要
入居の際は敷金(2ヶ月分)と日割りの家賃、そして日割り共益費を支払えばよく、引っ越し費用を合わせても、民間の賃貸住宅に入居するよりも初期費用を抑えることができます。
また、高齢者が賃貸住宅を借りる際にネックとなる保証人の悩みもありません。
■UR賃貸住宅に住める人
UR賃貸住宅に住める人にも、収入基準が設けられていますが、公営住宅とは異なり、家賃額によって基準が異なります。
例えば世帯で入居する場合、8万2500円未満の住宅に入居したいと思った際は、家賃の4倍の収入がなければなりません。仮に7万円の家賃の住宅に入居したいと思った場合は、28万円の月収が必要となります。
そのほか日本国籍であることや、継続して住む住宅を希望していることなどが条件となっています。
まとめ
持ち家のない高齢者にとって、住宅の確保は死活問題です。低所得向けの公営住宅は希望者が多く、なかなか入居できないという問題があります。
とはいえ、民間の賃貸住宅への入居を希望しても、保証人などの問題で断られることもあるでしょう。保証人不要で入居できるUR賃貸住宅など、都市再生機構が提供している住宅は、一定の基準を超える収入がなければなりません。
ただし、UR賃貸住宅の中でも「高齢者向け優良賃貸住宅」は、一定の所得以下の場合に家賃負担軽減措置が設けられていることから、候補の1つに入れることができるのではないでしょうか。
出典
(※1)内閣府 令和3年版高齢社会白書より「生活環境」
(※2)総務省 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要
(※3)国土交通省住宅局住宅総合整備課 公営住宅制度について
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員