更新日: 2022.03.13 定年・退職
退職前に考えたい3つのこと。退職後の生活を充実させるためにできる準備とは?
そこで、間もなく定年をむかえる人向けに、退職までに考えておきたい3つのことについて見ていくことにしましょう。
執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
退職後の生活のイメージをふくらませる
退職後の生活をどのようにイメージしていますか。当たり前ですが、退職前の平日は、決まった時間に起きて決まった時間に出勤して決まった時間に退社する、という流れだったと思います。一方で休日は遅くまで寝たり趣味に明け暮れたりと、平日と休日とでは180度異なる生活を送っていた人もいるでしょう。ところが退職後は毎日が休日です。
退職後すぐは「毎日が休日」ということが楽しいかもしれません。ところが、これが1ヶ月以上続くと暇をもてあますことにつながるかもしれません。
まずは、退職後の生活を想像して、1週間をどのように過ごしてみたいのかを想像してみましょう。意外と時間に余裕があったり、反対に時間に余裕がなかったり、と退職後の生活がイメージできます。そのうえで、退職後の生活に向けてやっておきたいことを見ていきましょう。
保険の必要保障額を見直す
保険は生活スタイルが変更になるタイミングで見直すのが一番有効となります。その中でも「退職」というタイミングは、生活スタイルが180度変わる人が多いので、見直さない手はありません。
(1)夫婦2人暮らしの人で子どもが独立している人
子どもが独立している人にとって一番の見直しポイントは、死亡保険の必要保障額の見直しです。死亡保険は子どもの教育費の保障という概念が強いことが多いです。そのため、極論を言えば、子どもが独立している人にとって死亡保険は不要となります。
しかしながら、人が亡くなるとすべてが終わるわけではなく、お葬式やさまざまな死後の手続きが必要となります。そのため、自分が亡くなると残された家族にその手間がかかります。
その手間のお礼の意味も込め、お葬式代は残すということで300万円程度は準備しておくと良いのではないでしょうか。預貯金で準備しても、保険で準備してもよいでしょう。どちらにしてもひとりにつき500万円以上の準備は不要と考えられます。
(2)おひとりさま
おひとりさまは退職後のことが不安で、多くの保険をかけている傾向にあります。
そのため、一番の見直しポイントは、保険料の総額を減らすことです。退職年齢にもよりますが、仮に65歳で退職すると公的年金は入ってきますが、今までの給料の金額と比べると少ないでしょう。
また、退職年齢が60歳だと仮定すると、原則65歳までは公的年金が入ってこないので、収入がないのに支出(保険料)がある、という状況になり、家計に負担となります。そのため保険料を減らすことを意識し、必要な保障(死亡保険300万円程度、ご自身のお葬式代と死後処理のお礼などとして)を充実させるようにしましょう。
保険を見直すときのポイントは、「保険はお守り」だということを意識することです。保険は保険事故(死亡、入院、ガンになる等)が起こらない限り使いません。預貯金や投資でその万一が備えられるのであれば、保険は不要です。そこを忘れにようにしてください。
投資をしている商品を使うものと残すものに分類する
投資をしている人にとって、この投資商品をいつ解約したらよいのか、ということは悩みの種の1つです。お持ちの投資商品について、「これは家のリフォームに使う」「これは数十年後も安定した伸びが期待できるので子どもに遺(のこ)す」と決めている場合は、特に問題はありません。ただ、使用方法を決めていない場合には、どうしよう、となってしまうでしょう。
投資は原則「長期分散投資」と言われるように、時間を味方につけてお金を増やすことを目的にしています。そして多くの人が漠然とお金を増やしたいということで投資を始めています。
そこで、人生の1つの区切りである退職を控えて考えてほしいのは、今の商品を解約して現金化するのか、投資商品のまま次の世代に渡すのか、ということを決めることです。投資商品は現金化しないとすぐに使えません。また認知症等、正しい判断ができなくなると現金化できないこともあります。そのため、使うものと残すものの分類をしてください。
退職後の生活を充実させるために今からできることをやりましょう
退職後の生活は今までの生活でできなかったことを経験できるチャンスでもあるので、めいっぱい楽しんでほしいものです。退職後の生活が充実したものになれば、人生そのものが楽しくなります。
人はいつまで生きられるという保証はありません。そのため第二の人生と言われる退職後の生活のために今からできることを実践し、少しでもお金の不安を解消しておきましょう。もちろんこれだけでは充実した生活が送れるとは言えません。この準備を後半の人生を楽しむためのはじめの一歩として、まずは踏み出してみてください。
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士