更新日: 2022.03.23 その他老後

貯蓄なしの高齢貧困層はどれくらいいる? 今から備えられることって?

執筆者 : 柘植輝

貯蓄なしの高齢貧困層はどれくらいいる? 今から備えられることって?
増税や物価上昇、思うように上がらない給与と、現役世代にとってつらい状況が続いています。この打撃はわれわれ現役世代だけではなく、既に現役を引退した高齢者層にも及んでいます。かつて高齢者は裕福といわれた時代もありましたが、現在では貯蓄なしの高齢者も一定数存在しており、現役世代の老後への不安は増すばかりです。
 
現役世代にあるわれわれが知っておくべき、高齢者層の貧困についての現状と今から老後に備えてできることについて解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

貯蓄なしの高齢者層は決して少なくはない

高齢者といえば貯蓄や退職金、年金によってそれなりに裕福な生活を送っているとイメージしている方もいらっしゃるかと思います。もちろん、想像どおり老後を豊かに暮らしている高齢者も存在しています。その一方で貯蓄が一切なく、毎月ギリギリの生活を送っているという高齢者も少なからず存在しています。
 
2019年に調査があった「国民生活基礎調査の概況」によれば、貯蓄の一切ない高齢者世帯がなんと全体の14.3%も存在しています。
 
数にするとおよそ7世帯に1世帯の高齢者世帯に貯蓄がないということになります。これは決してひとごとといえる数値ではありません。今後年金の支給額が引き下げられたり、受給開始時期が引き上げられる、物価の上昇や各種税金、それに準ずる保険料などの金額が増加すれば、この割合は6世帯に1世帯、5世帯に1世帯とどんどん割合が増加する可能性もあります。
 
参考までに2010年に調査があった「国民生活基礎調査の概況」によれば、世帯主が65歳以上で貯蓄のない世帯は11.2%と、2019年よりも若干少なくなっていることから、近年貯蓄のない高齢者層が徐々に増加してきていることが分かります。
 

現役世代が貯蓄なしのまま老後を迎えないためには?

私たち現役世代が貯蓄なしのまま高齢者を迎えないようにし、老後の生活で貯蓄が尽きることを防ぐためには現役時代からの備えが重要になります。基本的に備えが早ければ早いほど有利に老後を迎えることができます。
 
老後への備えでできることといえばもろもろありますが、主に次のようなことについて始められる部分から始めていってください。
 

家計を見直す

老後は現役世代の延長上にあります。若いうちはなかなか想像がつかないかも知れませんが、現在のお金の使い方や貯蓄の意識(金銭感覚)は老後が近づいてから直そうとしても簡単に変えられるものでもありません。
 
家計を見直し、コンビニでの買い物を減らす、自炊中心にして支出を減らしつつ健康を保ち、現在と未来の医療費を減らせるようにするなど、負担にならない範囲で無駄な支出を減らし多く貯金できるようにすると共に、キャリアプランの変更や副業の検討など収入を増やすことなどを通じて家計の見直しを実施してみてください。
 

貯蓄のうち一部を資産運用に回す

貯蓄だけしていても老後が安泰とは限りません。貯蓄にも物価上昇における相対的な貯金の目減りなど一定のリスクがあるからです。

そこで必要となってくるのが経済成長に合わせて資産を増やすための投資です。何もFXや個別株の購入といった本格的な投資は必要なく、iDeCoやつみたてNISAなど節税効果のある制度を通じた資産運用の実施です。毎月5000円や1万円でも20年など長期間実施すれば老後の備えとなります。
 

老後に向け、現役世代から少しずつ準備が必要です

今や高齢者のうちおよそ7世帯に1世帯が貯蓄なしのいわゆる貧困層と呼べるような状況にあり、この数は今後も増えていく可能性があります。貯蓄なしのまま老後を迎えると老後ふとしたことで生活が破綻することもあり得ます。
 
私たち現役世代は、貯蓄なしのまま老後を迎えないで済むよう、家計の見直しや資産運用を通じて老後への備えを少しずつ実施していくことが必要でしょう。
 
出典
厚生労働省 2019年 国民生活基礎調査の概況
厚生労働省 平成22年国民生活基礎調査の概況
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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