更新日: 2022.03.28 その他老後

70代でも働いている人はどのぐらいいる? 年収はどれくらい?

70代でも働いている人はどのぐらいいる? 年収はどれくらい?
老齢厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へと段階的に引き上げられ、受給開始を遅らせることで毎月受け取れる金額を増やせる「繰下げ受給」の上限年齢も、2022年4月以降は70歳から75歳への引き上げが決まっています。70代でも働いている人は増えていますが、実際にはどのくらいいるのでしょうか。
 
70代で働いている人の年収はどのくらいあるのか、収入を得ることでもらえる年金に影響があるのかも、あわせて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

70代で働いている人はどのくらいいる?

70代で働いている人は、実際にどのくらいいるのでしょうか。全体の人口と働いている人の割合や、どのような仕事についているかを解説します。
 

・70代の就業者数と就業率

総務省統計局が発表している「労働力調査」の基本集計によると、2021年に70代(70~79歳)で、自営業や会社などに雇われて働いている人の数は、男女合わせて438万人です。229万人だった2009年以降、2021年まで13年連続でゆるやかに増え続けていますが、特に2017年以降は「団塊の世代」が70歳を迎え始めたことなどにより増加しています。70代の人口全体は1644万人のため、70代の就業率は26.6%です。
 
70代全体のうちで4分の1以上の人が、何らかの形で働いていることになります。働く理由や勤務時間などの働き方は人それぞれですが、70代までは、4分の1の人々に働く先や働ける体力がある、ともいえるのではないでしょうか。
 
なお、70代の中でさらに詳しく見てみると、70~74歳で働いている人は、全体の人口965万人の32.6%である315万人、75~79歳で働いている人は、全体の人口679万人の18.1%である123万人です。70代の中でも前半年齢の人のほうが、後半年齢の人よりも働いている人の割合が高いことがわかります。産業別に見ると、農業や林業で働いている人が56万人、そのほかの産業で働いている人が382万人です。
 

・どのような仕事についている人が多い?

総務省が2021年9月に発表した『統計トピックスNo.129 統計からみたわが国の高齢者』から、どのような仕事についているのかを、さらに詳しく見てみましょう。このデータは、高齢就業者という区分のため65歳以上全体となることと、2020年のものとなる点にご注意ください。
 
最も多いのは「卸売業、小売業」、次いで「農業、林業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「製造業」、「医療、福祉」という順番です。各産業で働く人のうち高齢就業者が占める割合は、「農業、林業」が53.0%と最も高くなっています。
 
全体的に見ると、農業・林業以外の仕事をしている人のほうが多いのですが、職業中で高齢者の占める割合が高い農業・林業には、高齢になっても働く人が多い仕事、というイメージが持たれやすいかもしれません。
 

70代で働いている人の平均年収はどのくらい?

それでは、70代で働いている人の平均年収はどのくらいあるのでしょうか。また、年金の受給資格がある人が70代で働くと、支給される年金はどうなるのかについても、あわせてお伝えします。
 

・70代で働いている人の平均年収は?

厚生労働省が発表した令和2年度の「賃金構造基本統計調査」によると、70代以上で働いている人の平均年収(1年間で受け取った賃金の総額)は、男性が260.5万円、女性が217.3万円となっています。また、男女をあわせた平均年収は247.9万円です。
 

・70歳以上で働く場合、もらえる年金は減ってしまう?

国民年金や厚生年金などの公的年金をもらっている人が70歳以上で働く場合、収入に応じて、受給できる年金額は減ってしまうのでしょうか。1つめのポイントとして、収入に応じて減額されるのは、厚生年金保険に加入していた人の「老齢厚生年金」(共済組合などの年金も含む)だけです。
 
「老齢厚生年金」は、国民年金保険の加入者も含めて受給する「老齢基礎年金」に、上乗せして支給される年金部分をいいます。「老齢基礎年金」部分が、収入に応じて減額されることはありません。
 
2つめのポイントとして、老齢厚生年金の減額や支給停止は、厚生年金保険の加入事業所で働いた場合、収入に応じて行われます。具体的には、もらえる老齢厚生年金の基本月額と、働いて得る賞与を含めた報酬の月額相当額の合計が47万円以下なら、老齢厚生年金もそのまま受給可能です。47万円を超えた場合は、収入に応じて減額や支給停止となります。
 
また、厚生年金保険の加入事業所に勤めるのではなく、自営業者として働いた場合は、収入がいくらであっても、受給している老齢厚生年金が減額や支給停止となることはありません。
 
このため、年金を満額受け取りたい場合は、報酬との合計額が47万円を超えないように気をつけましょう。超えてしまう場合は、可能であれば業務請負などの形をとって自営業者として働くと、もらえる年金が減ることはありません。
 

70代では4分の1以上の人が幅広い業種で働いている

70代で働いている人は全体の4分の1以上いること、平均年収は247.9万円であることがわかりました。高齢者が働いている印象のある農業・林業以外でも、実際には幅広い業種で働く人がいます。70代でも働けるほど健康を維持しているのは素晴らしいことですが、収入によってはもらえる老齢厚生年金が減ってしまうこともあるため、覚えておくと良いでしょう。
 
出典
総務省 労働力調査
厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集