更新日: 2022.04.12 老後

成年後見制度とは? できること・できないことについても解説

執筆者 : 新井智美

成年後見制度とは? できること・できないことについても解説
成年後見制度とは、認知症や精神障害、知的障害などといった判断能力に不安がある人に対し、その人の財産の管理や各種契約行為などを法的に保護し、支援する制度です。
 
成年後見制度には、「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があり、それぞれで手続きや掛かる費用などが異なります。また、成年後見人になったとしても、すべての行為が代わりに行えるわけではありません。
 
成年後見制度ではどのような行為が認められているのか、また、認められていない行為にはどのようなものがあるのかについて解説します。
 
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症、精神および知的障害などによって判断能力が低下している場合に、成年後見人を選定し、その人の財産管理や身上保護などの法的行為を代わりに行う制度をいいます。
 

■任意後見制度

任意後見制度と法定後見制度の違いは、任意後見制度の場合、あらかじめ本人が結んでおいた任意後見契約に基づいて、成年後見人が選任される点です。つまり、任意後見制度は、本人にまだ判断能力があるうちに任意後見契約を結んでおく必要があります。
 
任意後見手続きは家庭裁判所に対して申し立てることで行われますが、申し立てができるのは本人のほか、「配偶者」「4親等内の親族」「成年後見受任者」に限られます。そして、本人が判断能力に不安を感じた際に、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任され、任意後見契約の効力がそこから発生します。
 

■法定後見制度

法定後見制度とは、障害や加齢によって、本人がさまざまなことを決めることに不安が生じる場合、家庭裁判所によって成年後見人などが選ばれる制度です。そして、その対象となる人によって、以下の3つの区分に分類されます。
 

1.補助

補助とは、判断能力が不十分な人に対して、補助人を選任する制度です。本人が行う行動について、同意や取り消しのほか、代理を行うこともできます。保佐と異なり、同意や取り消し、代理が行える範囲をあらかじめ決めておく必要があります。
 

2.保佐

保佐とは、判断能力が著しく不十分な人に対し、保佐人を選任する制度です。保佐人は、本人が行う行動について同意を行うほか、同意を得ないで行った行為について取り消すことが認められています。また、代理権を持つことで本人の代わりに契約を結ぶといったことも可能です。
 

3.後見

後見とは、通常の状態において判断能力が欠けているとみなされる場合に、成年後見人を選任する制度です。
 
「補助」や「保佐」においては、補助人や保佐人は「本人が日常生活を送るのに困らないよう配慮する」役割を持ちますが、「後見」の場合、本人を援助するという立場から、本人に代わって契約締結もしくは解除を行うほか、財産管理の役目を担うこともあります。
 

成年後見人の役割

成年後見人には、本人の心身状態を考慮しながら、必要な代理行為を行うことと合わせ、財産管理を行うといった役割があります。
 
例えば、本人の預貯金の管理や、保有している不動産の管理、さらには介護サービスや福祉サービスなどを利用する際の契約を結ぶことです。そして、成年後見人に選ばれた人は、年に一度、本人の財産の管理状況や契約手続きなどの状況を報告することになっています。
 

■成年後見人ができること

成年後見人ができることには、上で述べたように「その人の財産管理」や「契約締結」などです。具体的には以下のようなものが当てはまります。


・預貯金の出し入れ
・不動産の管理や処分(本人[成年被後見人]の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可を得る必要あり)
・賃貸借契約の締結や解除
・車などの動産の管理や処分
・遺産分割協議への参加
・病院への入院手続き
・介護および福祉サービスの契約手続き
・老人介護施設への入居手続き
・介護認定申請

 

■成年後見人ができないこと

逆に以下の行為は成年後見人であってもできないとされています。


・介護などの身のまわりの世話
・養子縁組や婚姻、離婚などの届け出

また、本人の保証人となることもできないとされています。
 

まとめ

成年後見制度は、判断能力に不安がある人にとって非常に助かる制度ですが、成年後見人だからといって、その人の代わりにすべての行為ができるわけではありません。介護以外にも、洗濯や買い物などを代わりに行うことも認められていません。
 
成年後見人は家庭裁判所に申し立てることにより、家庭裁判所が決定した報酬を受け取ることができます。報酬を受ける以上は、きちんと決まりを守って後見人としての役割を遂行しなければなりません。
 
もし、不正な行為を行って、本人に対して損害を与える結果となった場合には、損害賠償を行わなければならないほか、刑事責任を問われることもあります。これは、任意後見契約によって子どもや親が後見人に選任されていた場合でも同じです。
 
成年後見制度は、あくまでも本人を守るための制度だということをしっかりと理解し、成年後見人に選任された場合は、決まりを守って財産管理や契約締結などを行うことが大切です。
 
出典
※1厚生労働省 成年後見制度とは?(ご本人・家族・地域のみなさまへ)
※2厚生労働省 任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
※3厚生労働省 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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