更新日: 2022.04.19 セカンドライフ

我が子に負担をかけないための老後資金の目安とは?

執筆者 : 菊原浩司

我が子に負担をかけないための老後資金の目安とは?
子どもの教育資金・住宅取得資金・老後資金の3つは人生における三大支出といわれています。
 
このうち老後資金は労働により収入を稼ぎ出す力が減少する人生の最終盤で使われる資金であり、準備不足のまま老後を迎えてしまうと資金計画を立て直すことが難しくなって最終的に子どもへ負担が及んでしまい、子どもの人生設計に悪影響が生じてしまう恐れがあります。
 
子どもに負担をかけないためにはどのような点を意識して老後資金の準備をすればいいのでしょうか?
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

平均額から必要見込み額を算出

必要な老後資金の金額を把握する基本的な方法として、各種平均額から見込額を算出する方法があります。
 
総務省統計局が作成している「家計調査報告(2人以上世帯)」では、2021年の無職(老後)世帯の消費支出は月額約28万円で、老後生活の重要な収入源となる公的年金の老齢給付は夫が厚生年金と国民年金を受給し、妻が国民年金のみを受給する場合では月額約22万円が標準額となっています。
 
年金の収入額から消費支出の額を差し引くと、毎月約6万円の赤字となります。この状態が65歳から女性の平均寿命の約90歳まで25年間続くと仮定した場合、
 
6万円 × 12ヶ月 × 25年
 
となり、およそ1800万円が老後資金の平均的な必要見込額となります。
 

自分だけの老後資金計画を立てよう

平均額を用いた見込額の算出は、統計上のモデル世帯を対象としているため、平均とは異なる年金収入・世帯支出となっている世帯も多くあります。
 
こうした個別の条件を反映させずに老後資金の目標額を定めてしまうと金額が不足していたり、あるいは過剰となってしまったりするなどさまざまな問題が生じる恐れがあります。
 
また、老後生活では病気や入院のリスクも高まるため、老後の資金計画に必要な医療費を組み込むことも重要なポイントです。
 
万が一、老後資金不足の発覚が遅れた場合、老後で収入が減少した状態では計画の立て直しが難しくなってしまいます。自身の年金収入の見込額と世帯の支出額をねんきん定期便や家計簿などで把握して、より具体的な老後資金計画を立てることをおすすめします。
 

老後資金計画は定期的な見直しや問題への対策が必要

老後資金は長期的な資金計画のため、計画を実行に移した後も定期的な見直しが必要です。
 
資金計画の変更が必要となる主な要因には、インフレや増税など社会情勢の変化による支出額の増加、少子高齢化の深刻化などによる老齢年金の給付水準の変動や平均寿命の変化などの社会的要因のほか、各個人の個別事情が変化の要因もあります。
 
資金計画の見直しで貯蓄額の不足が明らかとなった場合、貯蓄の強化、家計支出の見直しや貯蓄だけでなく投資による資産形成を進めるなどの対策も必要となります。
 

まとめ

老後を安定的に過ごすための老後資金の目安は、統計・平均からおよそ1800万円程度と見込まれます。
 
しかし、実際には平均通りの世帯収入・支出をとなっていない場合も多いため、自身の年金収入・世帯支出を把握したオリジナルの老後資金計画を立てることが重要です。
 
また、老後資金の計画はインフレや少子高齢化などの社会情勢の変化に影響を受けるため、計画の進捗を定期的に確認することが必要です。
 
仮に1800万円を40年間で準備する場合、毎月3万7500円を貯蓄に回す必要がありますが、貯蓄のほかに投資活動の併用も選択肢に入れるとよいでしょう。
 
老後資金計画は長期間に及ぶため、さまざまな変動要因を分析し、問題に対する対策も検討する必要があるため、万が一にも子どもに負担がかからぬようファイナンシャルプランナーなどの専門家の利用も検討してみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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