風呂もレンタル? 介護保険で利用可能な生活用品あれこれ!
配信日: 2022.04.29
実は、介護保険を利用して介護用品をレンタルすることが可能なのです。ここではどのような介護用品がレンタル可能なのか、また、どれくらいの費用が必要なのかなどについて説明します。
執筆者:宮本建一(みやもと けんいち)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
介護用品のレンタル
介護用品のレンタルは介護保険法では「福祉用具貸与」と呼ばれています。どのような用具を貸与できるといわれているのでしょうか。
介護用品貸与とは
介護保険法第8条第12項で、「福祉用具貸与」とは、「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等の日常生活の自立を助けるためのもの」と定義されています。
福祉用具にはどのようなものがあるのか
厚生労働大臣告示において、図表1の通り、給付対象種目を定めています。原則貸与ですが、例外として販売もあります。また、要介護度によっては貸与できない福祉用具もあります。
図表1
【福祉用具貸与】<原則> | 【特定福祉用具販売】<例外> |
---|---|
・ 車いす(付属品含む) ・ 特殊寝台(付属品含む) ・ 床擦れ防止用具 ・ 体位変換器 ・ 認知症老人徘徊(はいかい)感知機器 ・ 移動用リフト(つり具の部分を除く) (以上、対象介護度:要介護2~5) ——————————————————- ・ 手すり ・ スロープ ・ 歩行器 ・ 歩行補助つえ (以上、対象介護度:要支援1・2、要介護1~5) ——————————————————- ・ 自動排せつ処理装置 (尿のみを自動的に吸引するものは除く) (以上、対象介護度:要介護4・5) |
・腰掛け便座 ・自動排せつ処理装置の交換可能部 ・排せつ予測支援機器 ・入浴補助用具 (入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内 いす、入浴台、浴室内すのこ、浴槽内 すのこ、入浴用介助ベルト) ・ 簡易浴槽 ・ 移動用リフトのつり具の部分 |
※厚生労働省 介護保険における福祉用具 より筆者作成
なお、貸与になじまないもの(例えば他人の使ったものの再利用に心理的抵抗感のあるもの、使用によりもとの形態・品質が変化するもの)については福祉用具の購入費を保険給付の対象としています。
住宅改修
在宅介護を重視、そして高齢者の自立を支援するため、福祉用具導入において必要な住宅改修(例:段差の解消、手すりの備え付けなど)についても介護給付で対応が可能となっています。支給額は支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となります。
介護保険での福祉用具貸与・販売に至る流れについて
介護保険で介護用品を借りたり、買ったり、住宅改修するにはどのような手順が必要でしょうか。
ケアマネジャーと相談
ケアマネジャーは利用者と面談し、本人の希望や心身機能状況、また家族の希望などを把握し、課題の整理を行います。
計画書の作成
利用者の情報などをもとに、福祉用具専門相談員が利用者の状態に応じた福祉用具の貸与・販売計画書を作成します。福祉用具専門相談員とは、介護が必要な高齢者が福祉用具を利用する際に自立支援の観点から適合や助言を行う専門職です。
福祉用具専門相談員の説明と合意
福祉用具専門相談員は、作成した計画書を利用者やその家族へ説明し、同意を得ます。同意が得られればサービスの提供を開始します。
介護用品のレンタル料金は
福祉用具のレンタルにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
図表2
レンタル料金(1ヶ月) | |
---|---|
手すり | 2,060~5,780円 |
歩行器 | 2,000~7,800円 |
歩行補助つえ | 1,000~1,600円 |
車いす | 3,000~15,200円 |
介護用ベッド | 4,700~18,140円 |
床擦れ防止用具 | 1,960~11,500円 |
※株式会社ダスキン、フランスベッド株式会社ホームページより筆者作成
介護保険利用において、原則1割負担となります。また、要介護度により貸与できない福祉用具をレンタルする場合、実費となる可能性がありますので、利用を検討する際にはケアマネジャーに相談されることをお勧めします。
まとめ
介護において使用される福祉用具の貸与や販売に介護保険が適用されることについて解説しました。購入するより借りる方が費用が抑えられるケースもあるので、ケアマネジャーと相談されることをお勧めします。
出典
e-Gov法令検索 介護保険法
厚生労働省 福祉用具
株式会社ダスキン
フランスベッド株式会社
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士