更新日: 2022.04.29 介護
同じじゃないの?訪問介護と訪問看護との違い、サービスを徹底解説!
執筆者:宮本建一(みやもと けんいち)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
訪問介護と訪問看護の違い
訪問介護と訪問看護。似た言葉ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
訪問介護の特徴
訪問介護とは、訪問介護のサービスの利用を受ける契約を交わした事業者から訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者宅に直接訪問して、入浴や排せつ、食事や着替えなどの身体介護、買い物や清掃、調理に洗濯、薬の受け取りなどの生活援助を行うことで要支援、要介護認定を受けた高齢者の生活をサポートするサービスです。
しかし、訪問介護員は医療行為(例えば血糖値測定の血液採取のために針を刺すなどといった行為)を行うことはできません。ただし、爪切りや血圧を測るなどといった医療行為でない行為は行うことが可能です。
訪問看護の特徴
訪問看護とは、看護師や理学療法士などが利用者宅を訪問して、身体介護および主治医の指示による看護を行うサービスです。看護師や理学療法士などは、病院・診療所または指定訪問看護ステーションより訪問しサービスを提供します。
主な看護サービスとして、病気の状態の管理および血糖値や脈拍などの測定、床擦れを防止するための指導や手当て、またターミナルケア(がん末期や終末期の人でも安心して過ごせるよう家族の方へアドバイスなどをすること)も行います。
訪問看護は介護認定の有無にかかわらず赤ん坊から高齢者まで利用することができます。
訪問介護・訪問看護における基本料金
訪問介護の料金
訪問介護では、要介護1~5と要支援1・2とでは料金システムが異なります。
・要介護1~5
要介護1~5については図表1のように定められています。
※厚生労働省 介護報酬の算定構造 より筆者作成
・要支援1・2
要支援1・2については各自治体により異なります。注意点として、要支援1に関しては週2回を超える訪問介護の利用はできません。
図表2(例:大阪市)訪問介護の料金
訪問介護の料金 | |
---|---|
週1回の利用(要支援1・2) | 1,176円/月 |
週2回の利用(要支援1・2) | 2,349円/月 |
週2回を超える利用(要支援2) | 3,727円/月 |
※大阪市 大阪市介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード表 より筆者作成
訪問看護の料金
訪問看護については、図表3のように定められています。
※厚生労働省 介護報酬の算定構造 より筆者作成
訪問介護のメリット・デメリット
訪問介護、訪問看護のサービス内容や料金について説明しましたが、それぞれのメリットやデメリットにはどのような点があるのでしょうか。まずは、訪問介護から説明します。
メリット
・利用者が外出する必要がないため、道中での事故などを気にせず自宅でサービスを受けることができる
・老人介護保健施設などを利用するより費用がかからずリーズナブルである
・家族の介護負担がホームヘルパーの訪問により軽減できる
デメリット
・あらかじめサービス内容が決められているため、利用者が思っている以上のサービス(家族分の衣類の洗濯など)が受けられない可能性がある
・家に入っての作業であるため、利用者の中には抵抗を感じる人がいる
・1人暮らしの場合、デイサービス利用時と比べ他人と触れ合う時間が少なく、心身のリフレッシュが図りづらい
訪問看護のメリット・デメリット
訪問看護のメリットやデメリットにはどういった点があるのでしょうか。
メリット
・看護師など医療従事者による専門的なサービスを受けることができる
・通院の回数を減らすことが可能となる
・退院後に利用することにより自宅療養への移行がスムーズとなる
デメリット
・買い物や掃除などの生活援助サービスを受けることができない
・利用者が介護保険内で1ヶ月に利用可能な回数などが決まっているため、それ以上のサービスは実費となる
・病院または診療所から訪問する看護師などの場合、日曜日、祝日など曜日によってはサービスが受けられないケースがある
まとめ
訪問介護、訪問看護はともに自宅で受けられる大変便利なサービスです。サービス内容を理解し、自立に向けた訪問ケアを受けることをお勧めします。
出典
厚生労働省 介護報酬
大阪市 介護予防・日常生活支援総合事業
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士