更新日: 2022.05.25 介護

介護破産とは? 後悔しないために知っておくべきポイントや知識を紹介

介護破産とは? 後悔しないために知っておくべきポイントや知識を紹介
介護破産という言葉をご存じですか?
 
親などを介護する負担が大きく、将来に向けた貯蓄どころか、日々の生活を送ることもできなくなる状況を意味します。
 
厚生労働省による「 2019年 国民生活基礎調査」によると、介護が必要な人のうち40.3%は核家族世帯で、配偶者または子どもと同居しています。

高齢化、核家族化が進めばこの割合がさらに増え、介護の負担が生活を圧迫する世帯も増加すると考えられます。介護破産は決して他人ごとではないのです。

本記事は、介護破産を取り巻く現状はどうなっているのか、そして介護破産に陥らないためにどのような対策を取るべきかについて解説します。
川辺拓也

執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)

2級ファイナンシャルプランナー

介護破産が起こりやすい危険な時期とは?

介護破産が起こりやすいタイミングは、「親が80歳以上で介護が必要な場合」といわれています。
 
図表1の通り、要介護者の年齢が80歳未満の場合、介護の担い手は60代、70代が中心です。ところが80歳を超えると、担い手のボリュームゾーンが50代に若返っていることが分かります。
 
図表1

    

要介護者の年齢
介護の担い手 40~64歳 65~69歳 70~79歳 80~89歳 90歳以上
40歳未満 1.8 7.4 1.8 1.1 0.6
40~49歳 16.0 4.4 9.5 4.3 2.5
50~59歳 24.4 5.7 9.6 31.6 10.3
60~69歳 29.5 59.3 12.7 21.6 58.2
70~79歳 18.8 21.6 56.0 16.2 18.4
80歳以上 9.5 1.6 10.2 25.1 10.1

出典:厚生労働省 国民生活基礎調査(2019年)より筆者が作成
 
これは、介護の担い手が80歳前後を境に、パートナーから子どもの世代へと転換が進むためと考えられます。想定していなかった規模の介護負担が子ども世代のライフプランを揺るがし、介護破産リスクの増大につながります。
 

別居している子どもが親の介護を担う割合は増加

もちろん介護破産の問題は、別居している場合でも無関係ではありません。
 
離れて暮らす家族が介護を担う割合は、図表2の通り2013年から6年間で4%増加しています。
 
図表2

調査年 2013年 2016年 2019年
別居家族が
介護をしている割合
9.6% 12.2% 13.6%

 
別居している場合でも、介護の問題は避けて通れません。それどころか、離れて暮らしていると介護について真剣に考える機会が少なく、つい対策を先送りにしてしまいがちです。予期せぬ介護生活の始まりで、急速に介護破産に陥る危険さえあります。
 

必要な費用を把握して介護破産を回避

それでは、介護破産に陥るリスクをできるだけ抑えるため、どのような対策を取ればよいのでしょうか。
まずは、介護に必要となる費用をしっかり把握しておきましょう。
介護に必要な費用は「初期費用」と「月々の費用」に分けられます。図表3の通り、平均で初期費用は234万円、月々の費用は15万8000円ほど掛かります。
 
図表3

50万円未満 50~100万円未満 100~200万円未満 200~300万円未満 300~500万円未満 500~1000万円未満 1000~2000万円未満 2000万円以上 平均
初期費用 16.1% 10.9% 26.1% 11.2% 9.0% 7.9% 4.7% 1.0% 234万円
5万円未満 5~10万円未満 10~15万円未満 15~20万円未満 20~25万円未満 25~30万円未満 30~35万円未満 35万円以上 平均
月々の費用 3.7% 12.0% 29.5% 11.3% 17.7% 1.4% 6.2% 3.2% 15万8000円

出典:公益財団法人生命保険文化センター 2021年度生命保険に関する全国実態調査より筆者が作成
こうした費用水準と比べ、現在の収入や貯金とのバランスがどうなっているか、前もって家族や親族と話し合う機会を設けておくことが重要です。
 

事前の対策で介護破産を防ぐ

今回は、介護破産に陥る身近なリスクやその対策について解説しました。
高齢化が進む日本では、介護の問題は今後ますます大きくなります。始まってから悩むのではなく、前もって必要な知識と対策の方針を家族で共有しておきましょう。
また、介護破産に陥らないよう、今後必要となる費用を計算し、事前に資金面の計画を立てておくことが大切です。
 

出典

厚生労働省 国民生活基礎調査 2019年
厚生労働省 国民生活基礎調査 2016年
厚生労働省 国民生活基礎調査 2013年
公益財団法人生命保険文化センター 2021年度生命保険に関する全国実態調査
 
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー

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