更新日: 2022.05.25 セカンドライフ

【検証】目指せ80%!「電子マネー」はどれだけ浸透したの? 使用割合や金額の推移を解説

執筆者 : 川辺拓也

【検証】目指せ80%!「電子マネー」はどれだけ浸透したの? 使用割合や金額の推移を解説
電子マネーは近年、現金にかわる決済手段として定着しつつあります。経済産業省は2025年までに、キャッシュレス決済比率を40%程度に引き上げることを目標にしています。
 
国を挙げて普及が推し進められている電子マネーは現状、どこまで浸透しているのでしょうか。本記事は、電子マネーの普及率や利用金額について解説します。
川辺拓也

執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)

2級ファイナンシャルプランナー

電子マネーは全世帯のおよそ70%が保有

電子マネーを保有している世帯は2020年で69.2%と、2010年から約1.9倍に増えています。図表1にあるように、2019年と比較しても6.8ポイント増加して過去最高の伸び率です。
 
【図表1】

図表1

 
出典:総務省統計局「家計消費状況調査年報(令和2年)」
 
消費税率の引き上げに合わせた電子マネーによるポイント還元が追い風となり、2019年から翌年にかけて普及が加速したと考えられます。また、今回の表には入っていない最新の統計では2021年に69.1%とやや足踏み状態が伺えますが、高水準を維持していると言えます。
 
世帯主の年代別で割合を見ると、50代の利用率が最も高くなっています。また、70歳以上を除けば、世代を問わず半分以上の世帯で電子マネーが利用されていることがわかります。
 
【図表2】
図表2

 
出典:総務省統計局「家計消費状況調査年報(令和2年)」
 
電子マネーが私たちの暮らしの中で、既に各世代で一定の存在感を示していることがわかります。
 

電子マネーの利用金額も大幅に増加

電子マネーを利用した決済金額は、2020年に1世帯あたり月額2万4790円と前年に比べ20.5%増加しています。図表3で示す通り、調査方法を変えた2015年から利用金額は右肩上がりに推移している状況です。
 
また、この表に入っていない最新のデータでは2021年に月額2万6568円となり、引き続き上り調子が続いています。
 
【図表3】

図表3

 
出典:総務省統計局「家計消費状況調査年報(令和2年)」
 
次に、利用金額を世帯主の年代別に見てみましょう。
 
【図表4】
図表4

 
出典:総務省統計局「家計消費状況調査年報(令和2年)」
 
最も増加率が高い年代が70歳以上を含め、どの世代でも増加していることがわかります。
 

日本の普及率、世界水準では見劣り

電子マネーの利用率や決済金額の増加基調が続いている一方、現金を含めた決済全体に占めるキャッシュレス決済の比率は24.2%。この水準を他国と比較してみましょう。
 
【図表5】

主要国 韓国 中国 英国 米国 日本
キャッシュレス
決済比率
94.7% 77.3% 57.0% 47.0% 24.2%

出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ 2021」より筆者が作成
 
経済産業省は世界最高水準の決済比率80%を最終目標として掲げていますが、世界的に見れば日本は電子マネーの普及率が高いとは言えません。
 

キャッシュレス文化はどこまで浸透するか今後に注目

ここまで、電子マネーの普及率や利用金額の推移について各国との比較をまじえて紹介しました。
 
電子マネーによる決済比率が他国より低いとはいえ、足元で着実に普及が進んでいることは確かです。今後、電子マネーのメリットをより見えやすくすることや、加盟店手数料の高さで導入に二の足を踏んでいる事業者の背中を押すような工夫を推し進めることで、まずは欧米など他国と同じレベルまで引き上げられるかが課題となります。引き続き電子マネーの普及度合いに注目しましょう。
 

出典

経済産業省 キャッシュレスの現状及び意義
総務省統計局 家計消費状況調査年報(令和2年)
e-Stat 政府統計の総合窓口 家計消費状況調査 / ICT関連項目 詳細結果表
一般社団法人キャッシュレス推進協議会 キャッシュレス・ロードマップ 2021
 
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー

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