更新日: 2022.05.28 その他老後

5つ当てはまると「老後破産」に!? 原因と対策をFPが解説

5つ当てはまると「老後破産」に!? 原因と対策をFPが解説
老後破産は、「現役時代に収入が低かった人が陥る」と思っている人も多いのではないでしょうか。しかしある程度の収入を得ている人や、貯蓄が十分にある人でも老後破産に陥る可能性があります。
 
本記事では、老後破産の原因を紹介し、その対策を解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

老後破産の原因とは

老後破産とは、定年を迎えて年金生活をする中で破産状態になり、家計が苦しくなる状況のことです。老後破産は収入が低いからなるわけではありません。主な原因は5つあります。
 

生活水準が現役のまま

定年退職を迎えると年金生活が始まります。現役時代の収入よりも減少してしまうため、生活水準が現役時代と変わらなければ老後破産に陥ってしまいます。
 

住宅ローンが残っている

早くて20代後半から住宅を購入する人がいるものの、全体としては住宅ローンを組む平均年齢が上昇しています。とくに30歳代の割合が減少し50歳以上の割合が増加していることが特徴です。
 
住宅ローンを組む多くの人は、35年の長期ローンを組むため、定年退職を迎えた後にもローンが残っていることがあります。定年退職を迎えて、住宅ローンが残っていると老後の生活を圧迫してしまいます。
 

子どもの教育費が残っている

定年退職を迎えて、子どもが大学に進学するなど教育費が残っている場合や、就職をしていても子どもが家に生活費を入れることなく同居している場合、老後の生活を圧迫することになります。
 

医療費や介護費の増加

60歳を過ぎると病気になるリスクや介護が必要になるリスクが高まるため、医療費や介護費が増加することがあります。60代の医療費負担は現役時代と同じく3割負担であり、70歳から74歳以下が2割負担、75歳になると後期高齢者となり1割負担となります。
 

年金額の不足

老後の生活費を年金収入のみとしてしまうと、生活が苦しくなることがあります。老後生活については、金融庁から「老後2000万円問題」が報告されたことでも話題となりました。これは老後の収入を年金のみとした場合、20~30年間の老後資金として2000万円が不足するという試算です。年金収入のみを頼りにした場合、老後破産に陥る可能性があるでしょう。
 

老後破産の対策

老後破産を未然に防ぐには、現役時代のうちに対策をしておく必要があります。主な対策は5つあります。
 

家計の収支を見直す

現在の家計の収入と支出のバランスを見直しておくことが必要です。どのような項目に支出しているのか、無駄遣いしているものがあるのかを把握し、老後生活を迎える前までに見直しをしておきましょう。
 

老後の貯金を増やす

老後に必要な資金を貯金するには、銀行への貯金や、財形貯蓄制度、つみたてNISAなどの貯金方法があります。貯金をするには、銀行で貯蓄する方法が一般的です。
 
しかし財形貯蓄制度であれば毎月の給与天引き、つみたてNISAであれば専用口座を使って運用することから、どちらの場合も生活費で全てを使ってしまうという状況が生まれにくいため、貯金がしやすい仕組みとなります。
 

老後の働き方を考える

これまでは60歳を定年としていた企業が多く、定年退職後は働かないという選択が当たり前でした。しかし、近年では定年退職後も働く人が増え、65歳まで再雇用する企業も増えています。
 
2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業側に65歳から70歳までの就業確保措置の努力義務が課せられることになりました。今後は定年後も就職を希望する人が、より働く環境を得やすくなっていくでしょう。
 

年金額を増やす

年金額を増やすには、確定拠出年金を活用する方法があります。確定拠出年金は個人型と企業型に分かれ、個人型は、個人や個人事業主であればiDeCo(個人型確定拠出年金)、企業型は、企業に勤めている従業員などが加入できる企業型確定拠出年金があります。
 
将来の年金額を増やすために、毎月の拠出できる金額を設定し、実際の運用方法を決めます。どちらの確定拠出年金も、拠出した金額よりも上回ることもあれば下回ることもあります。
 

健康に気を付ける

医療費や介護費の負担を減らすためには、何より健康でいることが一番です。健康的な生活には、適度な運動とバランスのとれた食事が不可欠となっています。また過度なストレスを溜め込まないようにリラックスした環境に身を置くことも効果的です。
 

老後破産のまとめ

老後破産の原因と対策を解説しました。老後破産は現役時代に何もしなければ、年収にかかわらず誰でも起こりうる可能性があります。老後の生活に備え、未然に対策を講じていくようにしましょう。
 

出典

独立行政法人住宅金融支援機構 2020年度フラット35利用者調査
厚生労働省 国民皆保険制度の意義
金融庁審議会 市場ワーキング・グループ報告「高齢社会における資産形成・管理」
厚生労働省 財形貯蓄制度
金融庁 つみたてNISAの概要
厚生労働省 70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

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