更新日: 2022.05.27 セカンドライフ

老後の生活はいくらお金がかかる? 年間支出はどれくらい?

老後の生活はいくらお金がかかる? 年間支出はどれくらい?
老後の生活を考えたときに最も気になるのは、生活費はいくら必要なのかということではないでしょうか。
 
老後にゆとりをもって暮らしたいのであれば、まずはどれくらいの年間支出が必要なのかを確認しましょう。そうすれば、おのずと余裕をもった暮らしに必要な収入の目安が分かるかもしれません。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

高齢者の生活資金はいくらかかる?

総務省統計局では家計調査を毎月実施しています。この統計には年齢(年代)別のデータもあるので、高齢者の生活資金も確認できます。
 
実際に老後の生活をしている人の生活資金を知ることで、自分の老後の生活費をどれくらいに見積もったらよいかが分かるでしょう。また、事前に生活費が分かれば、それまでに対処すべきことも確認できます。
 

生活に必要な最低限度の支出は?

2021年度の総務省による家計調査のデータによると、世帯主が65歳以上で2人以上の無職世帯は、実支出が月間26万247円です。
 
実支出とは「消費支出(生活費)」と「非消費支出(税金、社会保険料など)」の合計金額なので、必要最低限度の支出と考えられます。つまりこの調査によると、老後の生活では月間約26万円、年間支出としては約312万円の支出が必要となります。
 

余裕のある生活にはどれくらい必要?

余裕のある生活費をいくらと考えるかは人によってそれぞれです。老後の余裕のある生活には、最低限度の生活費に加えて趣味など好きなことに費やせる収入も十分見込める金額が必要でしょう。
 
最低限度の年間支出を上記の312万円として、自分の趣味・嗜好(しこう)に年間どれくらい使えれば余裕のある生活といえるのかを、自分で決めておきましょう。例えば、それが毎月10万円であれば、年間で432万円(312万円+120万円)が老後の余裕のある生活費の目安となります。
 

実際の収入とのギャップはどれくらい?

老後の余裕のある生活費の目安を立てることができたとしても、現在の高齢者世帯が実現できているのかは気になるところです。
 
総務省の家計調査には、収入と支出のデータもあります。これらを比較することで実際の高齢者世帯ではどれくらい余裕のある生活をしているのかを図ることができます。それでは、高齢者世帯を勤労世帯と無職世帯に分けて、それぞれ収支を比較してみましょう。
 

勤労世帯の収支

世帯主が65歳以上で勤労世帯の収支は図表1のとおりです。
 
【図表1】

世帯主の年齢65歳以上
2人以上の勤労世帯
収支金額
実収入(年間)※1 44万2592円×12ヶ月=531万1104円
実支出(年間)※2 34万589円×12ヶ月=408万7068円
差額(実収入-実支出) 122万4036円

※1 実収入: 税込収入で世帯員全員の現金収入を合計した金額
※2 実支出: 消費支出(生活費)と非消費支出(税金、社会保険料など)を合計した金額
 
出典:総務省統計局 e-Start 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2021年より 筆者作成
 
このように、年金以外に給与などの勤労による収入がある世帯では、毎月約10万円、年間では122万円以上のプラス収支となっています。このことから、65歳以上でも勤労世帯であれば、十分に余裕のある生活を送っている人は多いかもしれません。
 

無職世帯(年金のみ)の収支

一方、世帯主が無職の高齢者世帯の収支は図表2のとおりです。
 
【図表2】

世帯主の年齢65歳以上
2人以上の無職世帯
収支金額
実収入(年間) 24万7768円×12ヶ月=297万3216円
実支出(年間) 26万247円×12ヶ月=312万2964円
差額(実収入-実支出) -14万9748円

出典:総務省統計局 e-Start 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2021年より 筆者作成
 
無職の高齢者世帯では実支出が実収入を上回り、年間約15万円、毎月1万2000円以上の赤字が発生していることがうかがえます。
 
老後に余裕をもって生活するためには、少なくても勤労世帯と同程度の収入が必要です。このことから、年間122万円の余裕をもって余生を過ごせるくらいの蓄えか、国の年金以外の年金収入があれば、働かなくても余裕のある暮らしができることが分かります。
 

老後を働かずに生活するには事前準備が不可欠

老後でも働くことで余裕のある生活ができますが、いつまでも働けるわけではありません。
 
働かずにゆとりのある老後を過ごすためには、国の年金以外に毎年約122万円の収入が必要という目安がついたかもしれません。そのためには、いわゆる企業年金や個人型年金(iDeCo)に早めに加入するなど、公的年金以外の対策をすることも大切です。
 
老後に余裕をもって生活するための資金が不足している金額を補えるよう早めに準備しましょう。
 

出典

総務省統計局 e-Start 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2021年
総務省統計局 家計調査 用語の解説
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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