更新日: 2022.05.30 介護
親の介護にどのくらい費用がかかる? 子供世代はどのくらい負担している?
その多くは貯蓄や年金などで親自身が負担しているようですが、子供世代が負担するケースも考えられます。本記事では、親の介護に関する基礎知識と平均的な介護費用などを紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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介護に関する基礎知識
親の介護費用を見ていく前に、介護に関する基礎知識を紹介します。
・介護とは何か
老齢や心身の障害によって日常生活の営みが困難な人の、食事・入浴・排せつといった生活行動支援を介護と呼びます。老齢の親の場合には、自宅での在宅介護と老人介護施設へ入居する2つのパターンがあります。
・介護保険制度の概要
日本には、公的介護保険制度が設けられています。本制度の目的は、65歳以上の介護が必要な人を社会全体でサポートすることです。40歳以上の被保険者による保険料と税金による折半で運営されていて、各種介助に必要な費用の7〜9割分が給付されます。
ただし、在宅介護・施設入居に関係なく、居住費・食費・日常生活費は要介護者の自己負担です。また、受けられるサービス内容は、要介護認定制度によって判定される要介護度によって異なります。
・要介護度とは
要介護度は、被介護者の心身の状態によって、要支援1〜2と要介護1〜5に区分されています。本区分によって、月々の介護給付の上限額は異なります。
平成26年4月1日以降の上限額は、要支援1が5万30円、要支援2が10万4730円、要介護1が16万6920円、要介護2が19万6160円、要介護3が26万9310円、要介護4が30万8060円、要介護5が36万650円です。
・要介護認定までの流れ
要介護認定を受けるには、まず市町村窓口に相談した上で案内に従って申請します。その後、市町村の認定調査員による状況調査と主治医の意見書を基にしたコンピューター判定が行われます。
これが1次判定です。その上で、医療・福祉・保険分野の学識経験者による審査判定が行われます。これが2次判定です。最後に、2次判定に基づいて市町村が要介護認定を行います。
介護費用の平均と子供の負担額
自己負担分を含む公的介護保険制度における介護費用全体の平均は、住宅改修などの一時費用の平均が74万円程度、介護費用は月額8万3000円程度です。本項目では、在宅介護と老人介護施設に入居した場合の平均費用などを紹介します。
・在宅介護の平均費用
デイサービスや訪問介護などの公的介護保険サービスの自己負担分と、それ以外に必要な費用を合わせた平均は月額4万8000円程度です。
なお、要介護度別の平均額は、要介護度1が5万3000円程度、要介護度2が6万6000円程度、要介護度3が9万2000円程度、要介護度4が9万7000円程度、要介護度5が10万6000円程度となっています。
・老人介護施設の平均費用
老人介護施設には、公的の特別養護老人ホーム(特養)と、民間の介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などがあります。
平均費用は施設によって異なり、特養が入居一時金無しで利用料が月額5〜15万円程度、介護付き有料老人ホームは入居一時金が数十万〜数億円で利用料が月額10〜40万円程度、サ高住は入居一時金がなしまたは家賃の数ヶ月分で利用料が月額8〜25万円程度となっています。
・子供世代の負担額
公的介護保険の自己負担分を、多くの人が貯蓄や年金で賄っています。そのため、親に貯蓄や年金がないか、あっても低額の場合は、子供が介護費用の全額や不足分を負担しているケースが少なくありません。
介護費用について親と話し合っておこう
日本には公的介護保険制度があるため、親の介護費用の大部分を軽減できます。とはいえ、在宅介護で平均4万8000円程度、施設入居では平均12万2000円程度の自己負担が必要です。
また、一時費用の給付額は18万円までとなっているため、平均56万円程度が自己負担となります。このような金額を子供世代が捻出するのは簡単ではありません。そのため、介護費用の自己負担分はなるべく自分で支払ってもらえるように、親が現役の頃から話し合っておくことが大切です。
出典
厚生労働省 介護保険制度の概要
公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査
公益財団法人生命保険文化センター リスクに備えるための生活設計
Sankei Biz 親自身で賄えるか知っておきたい介護施設の費用
一般社団法人公的保険アドバイザー協会 介護保険の給付内容
厚生労働省 区分支給限度基準額について
厚生労働省 介護保険における住宅改修
NIKKEI STYLE 介護費用、月平均7万9000円子供に負担かけないで
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部