更新日: 2022.05.30 介護

高齢の親の家計管理を親族が行う場合、どのような注意点がある?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

高齢の親の家計管理を親族が行う場合、どのような注意点がある?
日本人の平均寿命が延び、年を取っても健やかに暮らす人もいる一方で、加齢による心身の問題を抱える人もいます。高齢の親の介護や家計管理が必要になった人もいるでしょう。とはいえ、高齢の親に対するケアとして、家計管理という概念は介護に比べるとなじみが薄いかもしれません。
 
この記事では、高齢の親の家計管理における注意点や、知っておきたい制度などを紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

高齢者に起こりやすい金銭トラブルの例

「お金」「健康」「孤独」の3つに不安を抱いている高齢者は多いのではないでしょうか。それにつけ込んだ詐欺や、悪徳業者による金銭トラブルは後を絶ちません。高齢者を狙った詐欺には、身内を名乗ってお金をだまし取るオレオレ詐欺や自治体職員をかたり医療費が戻ってくると言って逆に口座の金をだまし取る還付金詐欺などがあります。
 
強引な勧誘や虚偽の説明をして半ば無理やり商品やサービスを販売する電話勧誘販売や訪問販売も、詐欺やそれに近い手法です。パソコンに不慣れな高齢者を狙ったワンクリック請求、裕福な高齢者を狙ったリスクリターンの見合わない投資勧誘など、あの手この手で高齢者が狙われているのが現状です。
 
特に、認知症などで判断能力が著しく低下している場合は金銭トラブルが起こりやすく、家族や知人にお金をとられたと思い込んでしまうケースもあります。現在では銀行の本人確認手続きが煩雑化しており、家族でも代理で預金を引き出すことはできないため、本人によって預金が引き出せなくなれば、その口座および預金は使えなくなったも同然です。
 
また、高齢になると病気やケガのリスクが高まるため、医療費が増加する傾向にあります。このような金銭トラブルおよびそのリスクが顕在化しているのであれば、家計管理を考えましょう。
 

高齢の親の家計管理をする際の注意点

家計管理を親族が行う場合、何よりも接し方が大切です。自分のお金を自分で使えない状況は、自尊心の崩壊につながりかねません。
 
特に、自分が育てた子による財産管理は、気の知れた親族と捉えるか、子どもに面倒を見られると捉えるかによっても、本人の心情は異なります。無理やり財布を取り上げるような乱暴な対応はせず、本人の希望や心情をくみ取った言動を心がけましょう。家族全体が家計管理や本人の状態についての理解を深め、方針や対策を共有しておけば、状況が変化しても落ち着いて行動できます。
 

成年後見制度

認知症などで判断能力が不十分になり、自身での財産管理が難しくなった場合、成年後見制度という法的な保護支援制度があります。親が未成年の子の代わりに携帯電話などを契約できるように、成人の被後見人に対して代理で契約などの法律行為をしたり、被後見人が行った法律行為を後から取り消したりできる制度です。
 
成年後見制度には、本人の判断能力があるうちに自ら将来の後見人を決めておく任意後見制度と、すでに判断能力が不十分な被後見人に対して家庭裁判所が後見人を選任する法定後見制度の2種類があります。家族間での取り決めによる対応が難しくなった場合は、法的な制度の利用も検討しましょう。
 

理解を深めて親の状況に合わせた家計管理方法を採ろう!

判断能力の低下によって不利益なお金の使い方をしたり、詐欺に遭ったりなど、高齢の親の家計管理が必要となるケースが発生しています。家計管理を親族が行う場合は、本人の状態について理解したうえで、本人の希望や心情をくみ取りながら対応しましょう。認知症などでより厳密な家計管理が必要な場合は、成年後見制度や信託契約など法的制度もあります。
 

出典

独立行政法人国民生活センター高齢者の消費者被害
厚生労働省成年後見制度とは(ご本人・家族・地域のみなさまへ)
法務省成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A 
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
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