更新日: 2022.05.30 介護

老人ホーム?高齢者向け住宅?老後の住まいの選択肢と費用を解説!

執筆者 : 木元泰徳

老人ホーム?高齢者向け住宅?老後の住まいの選択肢と費用を解説!
「将来、介護が必要になったらどうしよう」ふと、このように思ったとき介護施設のことを調べるとその種類の多さに驚いてしまうのではないでしょうか。
 
本記事では、介護施設の種類と特徴、費用について解説します。施設ごとの特徴を理解して、老後への早めの備えを始めましょう。
木元泰徳

執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

介護施設の6類型と費用まとめ

入居して施設で生活するタイプの施設には6つの類型があります。ひとつずつ解説していきましょう。
 

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

「常に介護が必要な人」を対象としており、入浴・食事など日常生活上での支援や身体機能維持のための訓練を行う施設です。原則として要介護度3以上の認定を受けた人が入居の対象になります。月々の費用は「施設サービス費+居住費+食費」の合計金額です。
 
例として、要介護度3で1割負担の人が入所する場合の費用をまとめてみました。施設サービス費は厚生労働省の「介護サービス概算料金の試算」から、居住費と食費は厚生労働省の定める基準費用額から算出しています。
 

施設サービス費 居住費 食費 合計
毎月要する費用 2万7168円 3万5650円 4万2780円 10万5598円

 
この費用に加えて、毎月の散髪代金や教養娯楽費など、その他生活費が加わります。また、要介護度や部屋のタイプによっても金額は異なるので、一度実態に合わせてシミュレーションサイトで試算することをおすすめします。
 

・介護老人保健施設

入所者が自立した日常生活を送れるよう、リハビリや医療・介護を提供する施設です。要介護度1以上の認定を受けた人が入所できます。月々の費用は特養と同じく「施設サービス費+居住費+食費」の合計金額です。
 
厚生労働省のシミュレータおよびデータを参考にすると、月々の費用例は12万4627円になります。特別養護老人ホーム(特養)と比べて高額になる理由は、介護老人保健施設の場合リハビリに特化しているので設備費に費用を要するためです。
 

施設サービス費 居住費 食費 合計
毎月要する費用 3万1237円 5万40円 4万3350円 12万4627円

 

・介護療養型医療施設

医療ケアを中心に提供する施設で、機能訓練や関連する医療、介護を行います。今後高まる医療・介護ニーズに対応するため、後述する介護医療院に移行されます。厚生労働省による毎月要する費用は下記表のとおり。毎月継続してかかる費用は12万7592円です。
 

施設サービス費 居住費 食費 合計
毎月要する費用 3万4202円 5万40円 4万3350円 12万7592円

 

・特定施設入居者生活介護

指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームが対象です。入居者の介護状態に合わせて、食事や入浴などで介護サービスを受けられます。月々の費用の参考例は下記表のとおりです。
 
民間業者が事業主体となっている特定施設入居者介護は、介護保険の対象となる施設サービス料以外は施設によって異なるので、問い合わせが必要です。ほかの介護サービスの料金を基準にしつつ、家計に負担のない範囲で利用できるサービスを決めましょう。
 

施設サービス費 居住費 食費 合計
毎月要する費用 2万2748円 施設による 施設による 施設による

 

・介護医療院

介護療養型医療施設を引き継ぐ形で運用される制度です。長期的な医療ケアおよび介護が受けられます。介護と同時に生活施設としての役割も期待されているため、1人あたりの面積増やプライバシーの確保が図られています。
 
厚生労働省によると、施設サービス費は3万7245円。その他の費用は施設によって異なるので、ホームページでの確認や問い合わせが必要です。
 

施設サービス費 居住費 食費 合計
毎月要する費用 3万7245円 施設による 施設による 施設による

 

・サービス付き高齢者向け住宅

「常に介護が必要な人」を対象としており、入浴・食事など日常生活上での支援や身体機能維持のための訓練を行う施設です。原則として要介護度3以上の認定を受けた人が入居の対象になります。高齢単身者・夫婦世帯が居住できる賃貸などの住まいを指します。
 
バリアフリー構造などハード面、および安否確認サービスなどのソフト面が基準に合致することで事業者は登録を受けられます。賃貸借契約になるので、入居一時金や敷金・礼金がかかり、毎月の賃料も物件によって大きく変わります。
 
例をあげると、初期費用は敷金として数10万円、月額費用は数万から数10万と開きがあります。
 

介護施設入所の準備は早くに始めよう

厚生労働省が公表している、施設に入所するタイプの介護施設の特徴と費用を解説しました。介護サービスの利用には介護保険が適用されますが、居住費と食費は基本的に利用者負担となるので金額が高く感じた方が多いかもしれません。娯楽費や散髪代など、豊かに暮らすための費用も追加されるので、早めに準備して安心して暮らせる老後を実現しましょう。
 

出典

厚生労働省:厚生労働省が公表する介護サービスについて
厚生労働省:サービス付き高齢者向け住宅について
厚生労働省:介護サービス概算料金の試算
厚生労働省:サービスにかかる利用料(居住費・食費の試算)
 
執筆者:木元泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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