「2割」しか知らない!? 親の介護で「共倒れ」になる前に知っておくべきこと
配信日: 2022.06.06
特に介護保険制度は、介護を経験したことのない方においては2割程度しか知られていないようです。いざ親の介護が始まったときに共倒れとなってしまわないよう、知っておきたいことについて解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
介護は時間もお金もかかる
介護が始まる前に絶対に知っておきたいのが、基本的に介護はお金と時間がかかるものだということです。
生命保険文化センターの調査によれば、介護費用は月平均8.3万円、介護期間は5年1ヶ月となるようです。また、総務省の就業構造調査によれば、直近1年で介護・看護を理由に離職された方は約9万9000人も存在しています。
介護が始まる前はなかなか想像がつかないかも知れませんが、介護にはお金と時間がかかること、場合によっては離職せざるを得なくなったり、最悪共倒れしてしまったりする可能性もあることを知っておいてください。
親の介護で共倒れをしないために
親の介護で共倒れにならないためには、親の介護はひとごとだと思わず、介護が始まる前から知識を身に付けておくことが大切です。具体的には次のような事項を知識として知っておきたいところです。
親とのコミュニケーションの重要性
介護中はもちろん介護が必要となる前、平時から親とのコミュニケーションは重要です。親とのコミュニケーションが取れていなければ親の異変や体調不良に気付くことができず、本来予測できたはずの介護であっても、それが突然の出来事になってしまうことがあるからです。
介護保険制度について
介護保険制度を利用すると、3割から1割の負担で訪問介護や通所介護(デイサービス)、老人ホームへの入居などが可能になります。ただ、介護保険制度を利用するには、各市区町村の窓口での申請が必要となります。申請の手続きは公的手続きに不慣れな方では時間がかかることもあるため、介護が始まる前にある程度介護保険の知識についても身に付けておくべきです。
育児介護休業法に基づく制度
国は今、介護離職を減らすために、育児介護休業法にてさまざまな制度を定めています。例えば、一定の要件の下、介護が必要な家族1人につき最大93日を上限として休業前の賃金の67%を受けながら休業できる介護休業制度や、家族1人につき1年度につき5日まで通常の有給などとは別に取得できる介護休暇制度などがあります。
制度の詳細については、都道府県労働局雇用環境・均等部などへご相談ください。
市区町村などへ相談できること
多くの市区町村役場には介護についての相談窓口が設置されています。また、多くの市区町村には社会福祉協議会や地域包括支援センターなどが設置されており、介護について相談できる機関が存在しています。
いざ介護が始まると初めてのことや不慣れなことが起き、平時と違う環境となることからどうしたらいいか分からなくなるということも少なくありません。そういったとき、相談できる場所があることを知っておくと、介護に関する悩みを相談できたり、アドバイスを受けたり、利用できる制度について情報を効率よく収集することができます。
親の介護で共倒れを防止するには事前の知識収集も大切
親の介護はこれから多くの人が経験するであろう出来事で、ある日突然起こるということも珍しくはありません。介護は通常大きな負担が生じるものですが、事前の準備や知識の収集をしておくことで、いざそのときが訪れても慌てることなく最小限の負担で介護を始めることができます。
将来介護による共倒れを防ぐためにも、まだ介護は先だと思っている人でも、介護について諸制度を中心に知識を身に付けておいてください。
出典
厚生労働省 介護休業制度
厚生労働省 介護保険制度について
第一生命 家族の介護の経験と介護に関する不安・知識
公益財団法人生命保険文化センター 介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?
総務省 就業構造基本調査 / 平成29年就業構造基本調査 / 結果の要約・概要・主要統計表
執筆者:柘植輝
行政書士