更新日: 2022.06.07 介護

その介護費用、戻ってきます! 知ってお得な制度について

執筆者 : 柘植輝

その介護費用、戻ってきます! 知ってお得な制度について
介護を受けている家族が高齢になったり病状が進行したりして、介護を必要とする度合いが重くなると、介護費用も高額になっていきます。日々生じる高額な介護費用に、頭を悩ませている方もいることでしょう。
 
そんなとき、一定の要件の下で手続きすることで、介護費用の一部が戻ってくることがあります。今回は知ってお得な介護サービス費などの制度について紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

高額介護サービス費

現行の介護保険制度においては、介護を要する人の年齢や体の状態によって、利用した介護サービスの9割から7割が支給され、自己負担が1割から3割になるようになっています。
 
とはいえ、介護サービスを利用する頻度が上がれば、月々の介護にかかる費用は大きなものになっていきます。
 
そこで知っておきたいのが、高額介護サービス費です。高額介護サービス費とは、1ヶ月で利用した介護保険サービス費などの自己負担額が上限額を超えたとき、その超えた部分が払い戻されるという制度です。
 
自己負担額の上限額は収入に応じて1万5000円から14万100円となっています。
 
図表1

 
出典:横浜市 高額介護サービス費等について
 
例えば、課税所得が380万円未満の方がいる世帯であれば、月々の上限負担額は4万4400円となります(現役並み所得者Ⅰに該当)。
 
この世帯において6万円の介護サービスを利用した場合、上限額を超える1万5600円が、後から戻ってくることになります。
 
ただし、高額介護サービス費によって払い戻しを受けるには、市区町村から送られてくる申請書を、所定の添付書類と共に提出しなければなりません。
 
詳細については自治体ごとに異なる可能性があるため、市区町村役場にてお問い合わせください。
 

高額介護サービス費の対象となるもの

介護保険サービス費には、対象外となる支出もあります。どのような範囲のものが対象となる支出に該当するのか、そして何が対象外になるのかは、分かりづらい部分でもあります。
 
具体的な例を挙げると、高額介護サービス費の対象となるのは次のようなものです。

●自宅に訪問してもらい、掃除や入浴の介助を頼んだ費用
●施設に通って食事や入浴の介助をしてもらい、リハビリをするための費用
●施設にショートステイした際の費用
●車いすなど介護に必要なものを借りた費用

 

高額介護サービス費の対象とならないもの

介護に関連する費用とはいえ、高額介護サービス費の対象とはならないものもあります。具体的には次のようなものです。

●リフォームに要した費用
●介護用品の購入費用
●施設における居住費や食費部分

介護に関連する費用であるため、一見すると高額介護サービス費の対象になるかと思ってしまいますが、上記のような費用は対象外となります。
 
上記以外にも対象外となる費用もあるため、詳細については、お住まいの市区町村役場などへご確認ください。
 

高額介護合算療養費制度

介護が必要な状況であるときは、同時に医療機関で治療するなど、医療費の支出が生じることもあるでしょう。
 
そういった状況で、1年間に支払った介護費用と医療費が上限額を超えた場合には、その超えた部分が払い戻される高額介護合算療養費制度もあります。
 
年齢と収入によって最終的に戻ってくる金額は異なりますが、70歳以上で住民税非課税の方が医療費で30万円、介護費で30万円支払った場合、申請することで29万円が戻ってくるという具合です。
 
詳細については、加入している健康保険組合などへお問い合わせください。
 

介護は諸制度を知ることで負担を小さくできる。

介護においては、多額の費用を要することになりますが、そのような負担を抑えるための公的制度が整備されています。
 
しかし、こういった制度は申請しなければ適用されず、負担は軽減されません。介護を行う際は少しでも負担が軽くなるよう、諸制度について調べ、利用できるものはどんどん利用していくようにしてください。
 
介護にまつわる公的制度については、市区町村役場などへ相談するとよいでしょう。
 

出典

横浜市 高額介護サービス費等について
厚生労働省 高額介護合算療養費制度
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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