親の老後、相続や介護についてどう準備すればいい?

配信日: 2022.06.07

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親の老後、相続や介護についてどう準備すればいい?
親が年を取ってくるにつれ、相続や介護の問題が浮き彫りになっていきます。
 
ただ、親の生存中に相続をしたり、まだ元気なうちに介護について話をしたりするのは、なかなか気がひけるというという人もいるでしょう。
 
とはいえ、介護が必要な状態や、相続発生のタイミングはいつ起こるか分かりません。相続や介護について想定される問題点と、いざというときに困らないための対策にはどのようなものがあるのか、解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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相続の際に問題になりやすいのは?

相続で問題になりやすい代表的なケースは、遺産分割です。特に相続財産に不動産がある場合、その処分について問題になるケースが多くみられます。相続人同士(配偶者、子どもなど)でもめることもありますし、子ども同士でもめることもあります。
 
また、家族以外に生前にお世話になった人など、法定相続人以外に遺産を分けようとするケースも、問題に発展する可能性があります。
 

■相続における問題を避けるための準備には、どのようなものがある?

相続時に発生する問題を避けるためには、被相続人にあたる人に、自分の亡き後の遺産について相続人同士でどのように分けてほしいかという希望を、遺言書に残してもらうことが大切です。
 
遺言には、自筆遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります。一般的には、費用はかかるものの、家庭裁判所での検認が不要となる公正証書遺言で残す方法は、比較的スムーズに手続きが進められる傾向にあります。
 
また、法定相続人以外に財産を残したいと考えている場合は、「遺贈」という形になり、取得形態によっては、遺贈により財産を受けた人が相続税を払わなければならなくなります。
 
遺言を作成する場合については、遺(のこ)される人のことも考えながら内容を記す必要があるといえるでしょう。
 

介護で問題になりやすいこととは?

親が誰に介護をしてもらいたいのか、介護施設に入りたいのかという問題とともに、もし介護施設に入るならば、どのような施設を望んでいるのかなど、さまざまなことを親子で擦り合わせておくことは重要です。
 
また、介護をするうえで多額の費用が発生するという点も、忘れてはいけません。誰がどのように費用を負担するのかを具体的に決めておかないと、のちのち大きな問題に発展することもあります。
 
できれば自宅で介護を受けたいという希望があるならば、それに対応するための自宅内の設備や家族のサポート体制について準備をしておかなければなりませんし、介護施設への入居を希望するなら、希望に合う施設の選定や入居費用の工面などの準備をしなければなりません。
 

■介護問題を避けるための準備にはどのようなものがある?

まず、介護状態になった際、親がどのような介護を受けたいのかを把握しておく必要があります。
 
また、本人以外の家族がどの程度介護に参加できるのか、介護する側の事情や希望もあわせて検討する必要もあるでしょう。
 
親が自宅での介護を望むのであれば、介護が必要になった際に介護休業を取得できるよう準備しておく必要がありますし、必要に応じて公的な介護サービスを受ける段取りを進めておかなければなりません。
 
公的な介護サービスを受けるためには、介護認定を受ける必要があり、最終的な認定を受けるまで多くの手順を踏まなければならないため、時間がかかります。
 
介護の原因となる病気の内容にもよりますが、入院や病の発症、もしくは重症化などのタイミングで、介護認定が必要と判断した場合には、できるだけ早めに申請手続きを行っておくとよいでしょう。
 

意思の疎通ができるうちに話し合っておくことが大切

相続や介護の問題については、子どものほうからなかなか切り出しにくいものです。しかし、介護はいつ・どのようなタイミングで必要になるか分かりません。まずは、話し合いの場を持つことが大切です。もちろん、親の状況によって考えが変わる可能性があります。
 
親の思いがなかなかまとまらない場合であれば、エンディングノートの活用も有効です。エンディングノートには法的効力はありませんが、何度も書き直すことができるため、書き直していくうちに考えがまとまってくることもあります。
 
また、不動産など分割しにくい遺産があり、親の亡き後に誰も住む予定がないなら、売却して現金化する方法を考えてみてもよいかもしれません。
 
不動産を現金化し、それ以降もその家に住める方法としての「リースバック」や、自宅を担保にした融資制度である「リバースモーゲージ」などもあります。それぞれ特徴が異なるため、親が利用しやすい方法を選択するようにしましょう。
 
また、家を売却し高齢者向けの賃貸住宅や介護施設に移り住む方法もあります。高齢者向けであれば、医療機関と提携しているケースも多く、特に介護施設の場合には、何かあった際には必要な処置を取ってもらえるという安心感があります。
 

まとめ

少子高齢化、そして核家族化の進行により、高齢の親の近くに子どもが住んでいないケースも増えています。
 
しかし、介護や相続の際には、まずは配偶者や子どもが対応しなければなりません。特に介護の場合、配偶者が生きている間でも、“老老介護”によってそれぞれの体に負担がのしかかるという現状があります。
 
元気なうちに、介護や相続について親子で話し合い、より良い選択ができるように準備しておきましょう。公的な介護サービスは原則として現物給付ですので、それ以上のサービスを受けるならば、民間の介護サービスを利用するしかありません。
 
その場合には、費用が高額になる傾向が多く、事前にそのための費用を準備しておかなければなりません。
 
親に介護が必要になった際、親は何を望んでいるのか、また亡くなったあとにどのように財産を分けてほしいかを考慮し、今からできる準備は確実に行っておきましょう。
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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