更新日: 2022.06.08 老後

遠隔地の両親介護にも便利な地域包括ケアサービス

遠隔地の両親介護にも便利な地域包括ケアサービス
超高齢者社会の進展と共に、介護保険の利用者は増え続けています。そのなかで、両親が地方に住み、子どもは都会で暮らす家族が、親の介護に直面するのはよくあるケースです。
 
今回は、厚生労働省が目指す、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」と「地域密着型介護サービス」について学んでみましょう。
 
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

地域包括ケアシステムとは

高齢になって介護が必要になったときに、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けたい」と思う人は多いのではないでしょうか。このような希望を実現する介護サービス体制として、「地域包括ケアシステム」と呼ばれるものがあり、下図のような形になっています。
 


図は(※1)をもとに筆者が作成
 
このような地域包括ケアシステムは介護保険制度によって運営されていますが、実務を担当する地方自治体の分担は以下のようになっています。
 

表は(※2)を元に筆者が作成
 
運営管理(指定・管理)が都道府県等なのか、市町村なのかによって、「居宅介護サービス」「施設サービス」「地域密着型介護サービス」に分類されています。
 
都道府県等が指定・管理する居宅介護サービスや施設サービスと、市町村が指定・管理する地域密着型介護サービスは、内容としては同じようなサービスを提供しています。
 
このうち、遠隔地の両親の介護が必要になった場合は、市町村が指定・管理する「地域密着型介護サービス」が適している場合が多いのではないでしょうか。
 
市町村が指定・管理する密着型介護ケアサービスは、具体的には次の9つの介護サービスがあります(※2)。


○定期巡回・随時対応型訪問介護看護【H24~】
○夜間対応型訪問介護
○地域密着型通所介護【H28~】
○認知症対応型通所介護
○小規模多機能型居宅介護
○認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
○地域密着型特定施設入居者生活介護
○地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
○看護小規模多機能型居宅介護

上記から分かるのは、定期巡回、夜間対応型や小規模多機能居宅介護などは、地域でのキメ細かいケアができるしくみになっていることが一つです。特に、小規模多機能居宅介護は、デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせたサービスです。
 
もう一つは、地域包括支援センター(自治体によって「高齢者支援センター」など名称は異なる場合がある)のケアマネージャーが、入所施設や訪問介護、病院、地域との連携をコーディネートする体制がつくられていることです。
 

遠隔地の両親等の介護を依頼する場合のメリット

仕事などのため生活の基盤は都会にあり、地方に両親が住んでいるという家族は相当多いと思われます。
 
両親が地元で要介護期を迎える場合は、以下のような点から、地域包括ケアシステムと、その中でも地域密着型介護サービスの利用を検討するのが良いのではないでしょうか。
 
1)地域包括支援センターが複数の介護サービスの窓口になるので、介護ケアを提供するさまざまな機関・団体の協力を得ることができる。

介護施設(グループホーム、小規模多機能など)、デイサービス、訪問介護、ボランティアなど。
 
2)遠隔地からでも、サービス内容の変更や状況の確認などを担当ケアマネージャーと連絡をとることで解決できる。
 
3)施設入所と比べ、自宅を住まいとしてデイサービスやショートステイを組み合わせたサービスを利用することで、支出を少なくすることができる。

 
一方、施設入所(都道府県等の施設サービスや有料老人ホーム等)は、施設に介護を委ねることができる反面、今までの日常生活から切り離されることが多いので、認知症症状の進行などにつながることもあります。
 
また、地域包括支援センターは、都道府県等が指定・管理する施設等も含めてコーディネートするので、この点においても、遠隔地から介護ケアを相談する場合は、地域包括ケアシステムを利用するのがおすすめです。
 
帰省した際には、地域密着型介護サービスについても、地元の地域包括支援センターを訪問して体制やサービス内容を確かめておくと良いでしょう。
 

まとめ

介護サービスの大きな枠組みの中で、地域包括ケアシステムと市町村が指定管理する地域密着型介護サービスの種類と利点についてまとめてみました。都会に住み、地方に両親などを残しているご家族は、一度くわしく調べてみてはいかがでしょうか。
 

出典

(※1)厚生労働省 地域包括ケアシステム
(※2)厚生労働省 介護分野をめぐる状況について P17
 

参考

厚生労働省 令和元年度 介護保険事業状況報告(年報)
厚生労働省 地域密着型サービスの概要
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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