更新日: 2022.06.21 介護

「特別養護老人ホーム」はすぐに入れるの? 入所条件や費用など解説

「特別養護老人ホーム」はすぐに入れるの? 入所条件や費用など解説
高齢化社会と言われて久しい中、新聞などでは老々介護といった現実を目の当たりにします。快適な老後を過ごすための介護施設の一つとして特別養護老人ホーム(特養)が注目されています。
 
特別養護老人ホーム(特養)は要介護者でないと入所できない介護施設です。入所するにはどのような手続きが必要なのでしょうか。1ヶ月の費用はどれくらいで、入所期間を過ぎれば退所の必要があるのでしょうか。
 
その他特別養護老人ホームの利用に際してのメリット、デメリットについて説明します。
宮本建一

執筆者:宮本建一(みやもと けんいち)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホーム(特養)は、在宅での生活が困難となった要介護認定を受けた高齢者の生活施設です。特養に入所可能な方の詳細について、また入所の手続きについて説明します。
 

特養は要介護高齢者のための生活施設

特養は老人福祉法第25条の5に規定する特別養護老人ホームです。入所する要介護者に対し、特養が行うサービスは、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことです。
 

特養で必要な人員・設備についていて

人員基準及び設備基準は以下の通りです。
 

 

特養は要介護3以上の方が入所可能

2015年(平成27年)より、特養への新規入所者を要介護3以上の高齢者に限定しました(在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設として重点を置くため)。ただし、要介護1、2の認定者であっても、やむを得ない事情があり、特養でしか生活が困難であると認められた場合、市町村の関与のもと、入所は可能です。
 

(例)・認知症で日常生活に支障をきたす状況
   ・家族等により深刻な虐待が疑われることで、心身の安全・安心の確保が困難な状況など

 
なお、厚生労働省令和元年10月審査分による要介護度別の特養入所者の割合は次のようになっています。
 

 

入所の申し込み、手続き

入所申し込みについての手順については次の通りです。
 

1. 入所希望者は入所希望施設へ入所申込書など必要書類を入手します。
2. 入所入所申込書や介護保険証の写しなど入所の申し込みに必要な書類をそろえて入所希望施設へ申し込みます。
3. 施設側では、送付された書類をもとに入所審査を行います。施設は優先度の高い入所希望者から入所を決めます。
4. 入所が可能である連絡が入ると、入所予定日を調整します。

 
注意点として、入所者は特養で生活するため、住民票を特養の所在地に異動することが必要です。また、入所者は入所契約書や身元引受書など特養の入所時に必要な書類の提出を行います。
 

特養のサービス、費用について

特養ではどのようなサービスを受けられるのか、また、費用についてみていきましょう。
 

特養のサービス内容

特養でのサービス内容については以下のようなものがあります。
 

出典:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」より筆者作成
 

費用について

要介護度に応じた基本サービス費は次の通りです。なお、居住費や食費、日常生活費が別途かかります。一般的に、1ヶ月に特養で暮らすのにおよそ7~15万円かかるとされています。
 

 
ユニット型個室とは、個室同士で分かれてはいるものの、壁でセパレートされていない部屋をいいます。多床室とは、複数人で1室を利用するタイプの部屋です。
 

特養のメリット・デメリット

特養を利用するにあたってのメリットまたはデメリットにはどのような点があるのでしょうか。主な点は以下の通りです。
 

メリット

●入所期限がない
要介護認定者が入所して生活を送る場所として老人保健介護施設(老健)がありますが、老健は基本的に数ヶ月以内に退所することを前提としてします。特養では終身入所が可能です。
 
●民間の老人ホームより安い
民間の老人ホームでは、入居時に多額の費用がかかる場合があります。特養では初期費用が一切かかりません。

 

デメリット

●入所申し込みから入所まで時間ががかかる
民間の老人ホームのように入所時にかかる一時金は不要で、最期まで入所可能なため入所希望する人がたくさんいます。入所申し込みから入所まで相当な時間が必要です。
 
●医療措置ができないケースがある
特養は看護師の配置はされていますが、24時間ではありません。夜間など看護師の不在時に入所者の体調に異変をきたした際に医療措置ができない場合があります。

 

まとめ

特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険で利用可能な入所施設です。医師や看護師、介護士がいて、最期のみとりまで世話をしてもらえます。施設の申し込みから入所まで時間がかかることもありますが、民間の老人ホームのような入所時の一時金が必要ありません。リーズナブルな費用で入所が可能で、快適な老後を過ごすための介護施設の一つとして検討するのはいかがでしょうか。
 

出典

e-Gov法令検索 介護保険法
e-Gov法令検索 老人福祉法
厚生労働省 第183回社会保障審議会介護給付費分科会
厚生労働省 どんなサービスがあるの? – 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム
 
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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