老後に必要な資金ってどうやったら分かる? 算出方法を解説!
配信日: 2022.06.25
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
老後の資金の算出が必要となる理由
「老後に2000万円が必要だ」と一時メディアで騒がれていたように、老後に必要なお金については国をはじめ、さまざまな試算が行われています。しかし、そうした試算による金額が、自身の老後に必要な資金に合致するわけではありません。
健康状態やライフプラン、働き方、持ち家の有無など、老後の状況は人それぞれであり、本当に必要な老後資金の金額は個人によって変わってくるからです。
そのため、老後資金について考える際は各種の統計データなどを参考にしつつ、実際に自分の状況に応じた試算を行い、その金額に合わせて準備をしていくことが大切です。
老後に必要な資金の算出方法
老後資金の算出は特に難しいことではありません。
まずは現在の生活費を把握し、今後のライフプランなどから老後に必要な生活費を計算します。そして、年金など老後の収入や想定される退職金、現在積み立てている保険、預貯金など老後資金となる資産を確認し、それらを基にして老後までにどの程度の金額の準備が必要となるのか算出していきます。
現在の生活費を把握
老後に必要な資金の算出は、現在の生活費の把握から始めます。
家賃や食費など、月々の支出をおおまかな項目に分けて確認していきます。項目については細分化し過ぎると計算が大変になってしまうので、例えば子どもの教育に関わるお金はまとめて「教育費」など、ざっくりとした分け方でも問題ありません。
こまごまとした支出については「その他」や「雑費」などでくくってしまっても大丈夫です。項目分けが難しければ、市販の家計簿を利用するのもいいでしょう。
老後のライフプランを立てる
続いて、老後のライフプランを立ててみてください。
何歳で退職して、毎年旅行に行きたい、趣味にお金を使いたいなど、老後はどういった生活をしていきたいのか計画を立てます。
ライフプランについて考えると、例えば毎年旅行に行くならこれくらいの費用が必要だろう、趣味には毎月いくらくらい使いたいなど、必要な金額の目安が見えてきます。
また、何歳くらいまで生きるか老後の期間を想定して、その間は持ち家に住み続けるのか、それとも賃貸なのか、また介護施設に入居するケースなども考えておくと、より現実的な老後のライフプランが立てられます。
老後の生活費を試算
現在の生活費と老後のライフプランを基に、老後資金として必要となる金額を試算していきます。
例えば、子どもの教育費や完済予定の住宅ローンなど、老後は不要となるであろう支出は現在の生活費から差し引き、逆に医療費など増えることが予想できる支出については多めに考えていきます。
また、ライフプランを立てた際に、老後の生活に必要だと考えたお金についても支出に加算します。これらの計算結果から、老後として想定する期間で必要となる、おおよその生活費の総額を試算します。
公的年金など老後の収入と資産を確認
次に、働き方など現在と同じ就労状況が続いたと仮定して、老後に公的年金や私的年金による給付をいくらくらい受けられるか確認します。老後に就労することを検討している場合は、それによって得られる収入の目安についても試算しておきます。
また、老後に向けて準備している現在の預貯金について確認のほか、つみたてNISAや投資信託などの最終積立金額も現在の運用内容を基にシミュレーションし、老後資金の取り崩し方についても考えておく必要があります。
参考までに、厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和2年度末における厚生年金保険受給者の年金月額は平均で約14万6000円、国民年金のみの受給者で約5万4000円となっています。
なお、現在の公的年金の加入実績に応じた老齢年金額や、将来受け取る老齢年金の見込額については、ねんきん定期便やねんきんネットで確認することもできます。
ここまでの試算を基に老後に必要な資金を算出
最後に、老後として想定する期間に給付される見込みの年金総額、就労で得られる収入の総額、現在保有している資産総額などの合計から、老後の生活費総額を差し引きます。
ここでマイナスとなった場合は、その金額が老後のために準備が必要なお金となります。
まとめ
国などによる老後資金の試算は目安や参考にはなりますが、あくまでも統計であるため、自分にとって本当にそれが当てはまるとはかぎりません。
老後に必要なお金については、現在と老後の生活費、そして年金収入や貯蓄といった資産の金額など、実際に試算や確認を行ってみて初めて分かってきます。
老後にいくらお金が必要か、準備しておくべき老後資金について悩んだときは、ファイナンシャルプランナーなどに相談してみてください。
出典
厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
執筆者:柘植輝
行政書士