更新日: 2022.06.29 セカンドライフ

運転免許証の自主返納、手続きはどうやってやる? お金はかかる?

執筆者 : 小久保輝司

運転免許証の自主返納、手続きはどうやってやる? お金はかかる?
近年、高齢ドライバーによる交通事故が社会問題化してきており、高齢者の中には運転免許証の自主返納を考えているという人もいらっしゃると思います。
 
そこで今回は「運転免許証の自主返納」について、具体的に分かりやすく説明します。
小久保輝司

執筆者:小久保輝司(こくぼ てるし)

幸プランナー 代表

30数年の営業経験と金融・経済の知識をマッチング納得いくまでお話しさせていただきます。

高齢者の車の運転に関する状況は

高齢者の人口(65歳以上人口)は、令和元年において約3600万人で総人口に占める割合は28%を超えています。そして70歳以上の人口は約3000万人です(※1)。
 
70歳以上の約4割の人(約1200万人)が運転免許証を保有しており、70歳以上の「運転免許証の保有率」は全運転免許保有者の14%強となります。
 
さらに、75歳以上の運転免許保有者数は583万人、80歳以上の運転免許保有者数は229万人となっており、年齢の高齢化とともに、運転免許証の保有者の高齢化も進んでいます。
 
「高齢免許保有者の交通事故(死亡事故)発生状況」を見ると、運転免許保有者10万人当たりの件数は減少傾向にありますが、令和元年で75歳以上401件、80歳以上は224件発生しています。
 
また、75歳以上の高齢運転者と75歳未満の運転者の死亡事故を比較して見ると、75歳以上の高齢運転者は「車両単独の事故」の比率が高く、反射神経の衰えなどにより出会い頭や正面衝突などの事故が多くなっています。
 
主な事故の原因は操作ミスで、約28%になります。具体的には、ハンドルの操作ミスが約14%であるほか、ブレーキとアクセルのふみ間違いによる事故は、75歳未満が0.5%であるのに対し、75歳以上は7%とかなり多くなります。
 

運転免許証の自主返納制度とは

「運転免許証の自主返納制度」とは、車の運転をやめた人や、運転に不安を感じる高齢ドライバーが自主的に運転免許証の全部または一部を返納する制度です。「全部取り消し」とは、免許証の全部を取り消し、免許を返納することです。
 
また「一部取り消し」とは、免許証の作成替えとも言い、大型免許を取り消して普通免許を新たに取得するなどの事を言います。
 
運転免許証の自主返納の手続きは、警察署や各運転免許センターに、必ず「本人」が申し出をする必要があります。ただし本人が返納手続きできない場合は、代理人を立てることができます。
 
自主返納手続きは、運転免許証を持参するだけで簡単に申請でき、手数料はかかりません。
 

運転経歴証明書とは

運転免許証を自主返納すると身分証明書がなくなるなどの不安があり、ためらっている人に対応するために、平成14年6月から「運転経歴証明書」が発行されることになりました(※2)。
 
平成24年4月には銀行等の本人確認書類として使用可能に、また令和元年12月には運転免許の失効者にも交付申請が可能になりました。ただし、運転経歴証明書の取得は、自主返納したときから5年以内に行う必要があります。
 
また、運転経歴証明書は、期限はなく公的な身分証明書として一生涯使えますが、運転経歴証明書の発行には手数料が1100円必要です。
 
運転免許証の自主返納件数と運転経歴証明書の交付件数は、令和元年に運転免許の失効者も運転経歴証明書の交付申請ができるようになったこともあり、急激に増加しました。
 
令和元年の自主返納件数は、約60万件(75歳以上は約35万件)を超え、運転経歴証明書の交付件数は約52万件(75歳以上は約30万件)と前年に比べ大分多くなっています(※3)。
 
運転経歴証明書を所持していると、(1)タクシー・バスの運賃割引(2)商品券の贈呈(3)百貨店の宅配料金の割引((4)美術館、飲食店の料金割引などさまざまな特典がありますが、自治体や事業者等により違いがありますので確認が必要です。
 

まとめ

操作ミスが多くなる75歳過ぎの高齢者は、個人で判断するだけでなく、運転免許更新時の高齢者講習のほかに、年に1度は自治体などが実施する安全運転講習などを受けることもおすすめです。
 
そして、運転免許証の自主返納については、個人の事情・家族の事情・地域の事情などがあり難しい判断になると思いますが、本人の意志も含め、家族で話し合うことや自治体などに相談することも必要です。
 

出典・参照

(※1)内閣府 令和2年交通安全白書
(※2)警察庁 申請による運転免許の取り消し(自主返納制度)と運転経歴証明書
(※3)警察庁 運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
 
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表

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