更新日: 2022.06.29 その他老後

毎月の通信費「わからない」が最多!? 高齢者のスマホ事情、年間「4万8000円」の節約がカギに

執筆者 : 木元泰徳

毎月の通信費「わからない」が最多!? 高齢者のスマホ事情、年間「4万8000円」の節約がカギに
電話やメールのほか、カメラやナビなど、多機能なスマートフォンは、現代人にとってインフラといっても過言ではないほど欠かせないアイテムの一つです。
 
総務省が毎年実施している「通信利用動向調査」によると、20~29歳、30~39歳の層でスマートフォンの保有率は9割を超えます。30歳以降、年齢を重ねるほど保有率は低くなりますが、60歳を超えて、70歳、80歳の高齢者でも一定数はスマートフォンを保有しています。
 
高齢者のスマートフォン保有率と通信費から見えてくるものは何でしょうか。
木元泰徳

執筆者:木元泰徳(きもと やすのり)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

高齢者、驚きの普及率60%超

総務省の令和3年調査の「年齢階層別モバイル端末の保有状況」では、高齢者のスマートフォン保有率は、60~69歳が79.3%(令和2年調査67.4%)%、70~79歳が53.1%(同38.3%)%、80歳以上が19.2%(同11.0%)%となっています。
 
60代の人は、仕事で使用するためスマートフォンを所有することも想像できますが、70代、さらに80歳以上の高齢者も活用していることは驚きの結果といえるのではないでしょうか。
 
高齢者はどういった目的で、スマートフォンを利用するのでしょうか。モバイル関連の調査を実施するMMD研究所では、シニア層がスマートフォンを利用する目的を調査しています。
 
2018年に実施した調査によると、60代はインターネットのほか、メールやLINEの使用率が高い結果に。
 
70代も項目ごとの増減はありますが、電話、メール、LINEの使用率が高くなっています。高齢者はスマートフォンを、従来の電話のような連絡ツールとして活用しています。
 
なお、NTT東日本・西日本が提供する、従来の固定電話回線の利用率は、60代:53.2% 70代:66.2% 80代:69.6%です。スマートフォンの利用率が高くなっていても、従来の固定電話回線は引き続き便利なツールとして活躍しているようです。

家計の重荷に? 高齢者の通信費

続いて、高齢者の毎月の通信費を見てみましょう。
 
総務省の令和2年通信利用動向調査から、高齢者の通信費をまとめたのが図表1です。
 
図表1


出典:総務省 「令和2年通信利用動向調査報告書(世帯編)」より筆者作成
 
表を見て気づくのは、大手携帯電話事業者を利用している人と、格安スマホ事業者を利用している人の間で毎月の料金に差が生じていることです。
 
例えば、60代を例にすると、大手を利用する人と格安スマホを利用する人とで、4000円以上の開きが生じています。毎月4000円の差が生じれば、年間4万8000円、10年で50万円近くの差が生じ、高齢者の家計の健全度合いに影響を及ぼすと考えられます。
 
さらに興味深いのは、大手通信電話事業者を利用している人で最も回答率が高かったのが毎月の通信費が「分からない」と答えた点。
 
一方で、格安スマホ事業者を利用する高齢者は、分からないと回答する人の割合は各年齢で1割未満。格安スマホを使用する人は、マネーリテラシーが高く、毎月通信費としてどの程度の出費があるのかを把握できている実態が浮き彫りになりました。
 
高齢者の所得階層で最も多いのは150~200万円の層です。月々6000円を通信費に支払っているとすると、年間7万2000円。所得金額が200万円と仮定すると、所得金額のうち3.6%は通信費に支払っていることになります。所得の低い世帯ほど、通信費ならびに家計の把握が必要なのかもしれません。
 

家計改善に支出管理が必要なのは通信費でも同じ!

高齢者のスマートフォン所有率、さらに通信費の統計を見てきました。スマートフォンの所有率は60代で6割を超え、現代のインフラともいえるものですが、本体の購入費用や毎月の支払いは小さいものではありません。
 
高齢者家庭に限らず、家計が苦しいと感じる家庭では、毎月支払う通信費の把握と、契約事業者やプランの見直しが必要なのかもしれません。
 

出典

総務省 通信利用動向調査令和3年調査(令和4年5月27日公表)
総務省 通信利用動向調査令和2年調査(令和3年6月18日公表)
MMD研究所 【いまどきシニアのスマホ事情】第2回 一緒にできない50・60・70代
内閣府 令和3年版高齢社会白書
 
執筆者:木元 泰徳
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
 

ライターさん募集