更新日: 2022.06.29 介護

「サービス付き高齢者向け住宅」は自由度の高さが魅力? 入居する際の注意点を解説!

執筆者 : 勝川みゆき

「サービス付き高齢者向け住宅」は自由度の高さが魅力? 入居する際の注意点を解説!
人生100年時代といわれる今、高齢になってからも安心して暮らせる環境へのニーズは高まっています。
 
サービス付き高齢者向け住宅は、要介護度の低い元気な高齢者にとって住みやすい環境です。
 
本記事では、そんなサービス付き高齢者向け住宅について解説します。高齢になった時の住まいを考える際、選択肢の1つとして考えてみてください。
勝川みゆき

執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)

ファイナンシャルプランナー2級・AFP

サービス付き高齢者向け住宅とは?

サービス付き高齢者向け住宅は、「サ高住」とも呼ばれる60歳以上の高齢者(要介護認定を受けた60歳未満の方も入居可能)向けの賃貸住宅です。
 
「高齢者の住居の安全確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により創設され、2011年10月から登録がスタートした制度であり、指導・監督を都道府県や政令市、中核市などの自治体が行っています。
 

受けられる支援(サービス)

サービス付き高齢者向け住宅で最低限行われているサービスは、「生活相談」と「安否確認」です。
 
「生活相談」は、常駐する専門の職員が生活で困っていることなど相談にのり、必要な支援やアドバイスをします。「安否確認」は、日中は職員が定期的に居室を訪問し状況確認をするとともに、夜間は緊急通報システムなどで対応し、24時間安心して暮らすことができるようになっています。
 
さらに、バリアフリー構造の一定の面積と、台所、水洗便所、浴室などの設備が必須であり、食事の提供を行っている施設も多くあります。それに加え必要なサービスは、外部の施設に委託し受けることができます。要介護度に合わせた介護サービスや、清掃や洗濯などの家事の提供などをお願いすることも可能です。
 

一般型と介護型の違い

サービス付き高齢者向け住宅には、一般型と介護型があります。介護型は、介護保険法による特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付き有料老人ホームとなり、介護保険サービスの提供も行っています。
 
一般型では、介護は外部サービスを利用するため、要介護度が高い場合には、対応できないこともあります。しかし、介護型のサービス付き高齢者向け住宅は、要介護度の高い高齢者にも対応できるようになっています。
 

必要な費用

老人ホームへの入所はお金がかかると思っている方も多いと思います。老人ホームや介護施設の費用は、地域や受けられるサービス内容などによって、大きく変わります。
 
一般的なサービス付き高齢者向け住宅は、賃貸契約となるため、入居する際に敷金がかかることが多いです。敷金は大体、家賃2~6ヶ月分で数10万円かかります。月額利用料は、5~25万円程度で、それぞれの施設により大きく違います。国土交通省の「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」によると、家賃、共益費、サービス費(生活相談・見守り)を合計した月額平均費用は、約11万円程度です。
 
これに加え、介護サービスや食事の提供、家事の提供など、外部サービスを利用するとその分のお金が別途かかります。介護サービスが必要な場合は、要介護度に応じたサービスを選択し、受けることができます。
 
介護保険では、要介護度に応じてサービスの利用限度額が決まってきます。例えば、一般型のサービス付き高齢者向け住宅を利用する方で多い、要介護1の場合、1ヶ月当たりの利用限度額は16万6920円です。費用は1割負担(一定以上所得者の場合は2割または3割負担)のため、実際にかかる費用は1万7000円程度です。
 
利用限度額を超えた場合は、超えた分が全額自己負担となります。1ヶ月当たりの利用限度額は、要介護2で19万6160円、要介護3は26万9310円です。
 
介護型のサービス付き高齢者向け住宅の場合、介護を含めての費用となるため、一般型よりも高額となる場合が多いです。
 

入居の際の注意点

一般型のサービス付き高齢者向け住宅では、常に介護を受けられるわけではないため、認知症などの症状が進行したり、重い介護が必要になったりした場合、住み続けることが難しくなり退去せざるを得なくなることもあります。
 
その他の退去条件としては、月々の賃貸料が支払得なくなった場合や、他の入居者や職員、施設側にとって迷惑と感じられる行為が発生した場合などです。
 
それぞれの施設の受けられるサービス内容や費用、条件をしっかりと確認し、自分の健康状態に合わせたサービスを受けられる施設に入所することが大切です。
 

サービス付き高齢者向け住宅の今後

サービス付き高齢者向け住宅「情報提供システム」によれば、都道府県に登録される「登録情報」を集計すると、サービス付き高齢者向け住宅の登録件数は、2022年4月末で8068件(27万5197戸)となっており、前年の同じ月より178件(8046戸)増加しています。
 
高齢化社会に伴い、高齢者向け住宅へのニーズも高まっており、サービス付き高齢者向け住宅も年々増加しています。施設数が多いため、比較的入居しやすく、他の高齢者向け施設に比べ自由度が高いことから、サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ方も多くいます。
 
施設によって受けられるサービスや費用が大きく異なるため、好条件の施設は人気となり埋まってしまうこともあります。将来、入居を考えている方は、普段から広く情報収集をしておくことが大切でしょう。
 

出典

一般社団法人高齢者住宅協会 サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2022年4月)
国土交通省 サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会第6回配布資料「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」
厚生労働省 介護保険の解説 サービスにかかる利用料
 
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP