【上限20万まで!?】介護保険を使って「住宅改修」はどこまで可能か解説します
配信日: 2022.07.11
必要な書類を添えて申請し、工事の完成後に領収書の提出を行うと、介護保険が適用される改修費の上限、20万円の9割が支給されます。
ここでは介護保険で住宅改修が可能な種類や注意点などについて説明します。
執筆者:宮本建一(みやもと けんいち)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
介護保険の住宅改修とは?
介護保険法第45条で、手すりの取り付けその他の、厚生労働大臣が定める種類の住宅の改修を行ったときは、居宅介護住宅改修費を支給する内容が明記されています。
対象となる人や支給額はどのようになっているのでしょうか? また、どのような住宅改修が介護保険の適用範囲なのでしょうか?
支給対象となる人
介護保険で住宅改修を行うことのできる人は要支援1~2、要介護1~5の方です。つまり、介護認定をされた方は、その区分に関係なく支給対象となります。
ただし、自宅で生活を送っている方が対象となり、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)に入所している方、入院中で自宅にいない方は対象外となります。
支給額
介護保険を利用した住宅改修は、要介護度を問わず20万円が上限で、費用の9割が支給されます。後述する介護保険適用外の工事を行ったときには実費負担となるので注意が必要です。
介護保険の住宅改修費が支給対象となる工事は?
介護保険が適用される住宅改修にはどのようなものがあるのでしょうか。
対象となる住宅改修は以下のとおりです。
●手すりの取り付け
●段差の解消
●滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
●引き戸等への扉の取り替え
●洋式便器等への取り替え
●そのほか上記の工事に付帯して必要となる住宅改修
住宅改修の流れについて
要介護者が介護保険を利用して住宅改修を行う場合の手順について、相談から工事前後の申請・支給までの流れについて説明します。
相談から改修まで
・ケアマネジャーと相談
住宅改修を考えていることをケアマネジャーに相談します。相談内容をもとにケアマネジャーは住宅改修の必要性について検討します。
・リフォーム会社と打ち合わせ、改修プランの作成
ケアマネジャーが検討の結果、住宅改修が妥当であると判断した場合、リフォーム会社に介護保険利用の旨を伝えます。利用者はリフォーム会社に改修の要望を伝え、リフォーム会社は改修プランを作成します。
・住宅改修に必要な書類を市区町村に提出
利用者は住宅改修にかかる必要書類を準備し市区町村に申請します。
・住宅改修の実施
申請を終えると住宅改修業者はプランに沿って改修を実施します。やむを得ない事情がない限り、申請後に改修を行うことが一般的です。
必要書類
介護保険適用による住宅改修を行うには、事前に市区町村へ住宅改修の申請が必要です。
申請時に必要な書類として、
●住宅改修費支給申請書
●工事費見積書
●住宅改修が必要な理由書
●改修前の住宅の状況が分かる写真
●住宅改修施工計画書
●改修の予定状況を記した図面
などがあげられます。
市区町村によっては別途書類が必要な場合がありますので、詳細に関してはケアマネジャーに確認することをおすすめします。
支払い、支給について
介護保険適用の住宅改修について、お金の流れは以下のとおりです。
1. 住宅改修の終了
利用者は一旦全額負担となりますが、住宅改修業者へ工事代金を支払います。
2.市区町村へ領収書などの書類提出
利用者は、工事が終了したことを証明する書類などを市区町村へ提出します。
主な書類として以下のものがあります。
●領収書
●住宅改修費支給申請書
●居宅サービス計画書
●住宅の所有者の承諾書
事前申請同様、市区町村によっては別途必要書類があるケースがありますので、ケアマネジャーに確認することをおすすめします。
3.住宅改修費の支給
介護保険が適用される改修費の上限20万円の9割までが支給されます。
まとめ
介護保険適用の住宅改修は、要介護認定を受けている方すべてが対象で、上限金額は20万円、改修の種類は5種類あります。
介護保険適用の住宅改修には、工事前後での申請が不可欠です。ケアマネジャーを通さずに住宅改修を行うと、介護保険適用外工事で、工事代金は実費となります。
介護保険を適用する住宅改修を検討される場合は、必ずケアマネジャーに相談してからとりかかりましょう。
出典
e-Gov法令検索 介護保険法
名取市 介護長寿課
大阪市 住宅改修費の支給
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士