更新日: 2022.07.13 セカンドライフ

「老人クラブ」はどんな活動をしているの? 入会条件や費用など解説

執筆者 : 宮本建一

「老人クラブ」はどんな活動をしているの? 入会条件や費用など解説
地域にある老人クラブは、おおむね60歳以上であれば誰でも参加できる団体です。健康寿命を延ばし、自立した、生きがいのある生活の実現を目指す親睦団体です。
 
老人クラブの活動内容や運営方法、老人クラブに入会するメリットや課題について説明します。
宮本建一

執筆者:宮本建一()

2級ファイナンシャルプランニング技能士

老人クラブについて


 
老人クラブは、地域を基盤とする団体です。まず、老人クラブの活動目的や運営財源などについて説明します。
 

老人クラブとは? 活動目的は?

公益財団法人全国老人クラブ連合会(全老連)によりますと、「老人クラブ」とは、地域を基盤とする高齢者の自主的な組織であると説明されています。主な活動目的は、以下の3点です。
 

●仲間づくりを通して、生きがいや健康づくり、生活を豊かにする楽しい活動を行う
●知識や経験を生かして地域の諸団体と共に、地域を豊かにする社会活動に取り組む
●明るい長寿社会づくり、保健福祉の向上に努める

 
老人福祉法においても、老人福祉の増進のための事業として老人クラブを位置づけしています。
 

会員になるには?

老人クラブの会員になる条件は、地域によりさまざまですが、おおむね60歳以上の高齢者が対象者です。老人クラブによっては、60歳未満であっても準会員や協力会員制度を取り入れて参加を受け付けている老人クラブもあります。
 

組織の規模や運営、財源について

老人クラブの組織は市町村規模でなく、常日ごろから声をかけ合い、徒歩で集まれる小さな地域の組織規模です。人数は30~100人が標準的とされています。
 
運営については、会員本位の自主的でかつ民主的な運営に委ねられています。活動の財源は、会員の「会費」が主となっています。会費は老人クラブの活動方針によって差がありますが、年1000~3000円が相場とされています。
 
全老連が2014年に実施した「単位老人クラブ実態調査」によりますと、個人の年会費は「1000円以上1500円未満」と回答したクラブは2215クラブのうち約6割を占めました。また、国や地方自治体の助成金や町会組織からも補助金などの支援を受けているということです。
 
図表1. 会員1人当たりの年間会費額(N=2215)

出典:全老連「単位老人クラブ実態調査」(2014年)より引用
 

全国老人クラブ連合会

市区町村や都道府県・指定都市、全国とそれぞれの規模で老人クラブ連合会が組織されています。2021年3月末日現在、全国におけるクラブ数は8万9498クラブ、会員数は471万2182人です。
 

老人クラブの活動内容

老人クラブは、地域においてどのような活動を行っているのでしょうか。主に次の2つに大別されます。
 

生活を豊かにする楽しい活動

健康の増進や介護予防活動のほか、趣味や経験を生かしたレクリエーション活動を行っています。具体的には、健康寿命のリーダー養成講座や、体力測定会などのほか、遠足や工作、陶芸といった趣味のサロン活動などが挙げられます。
 

地域を豊かにする社会活動

ボランティア活動や、世代交流による芸能の伝承など地域に根ざした活動を行っています。例えば、1人暮らし高齢者宅への訪問や、通学路の見守り活動、公園の清掃や手入れなどがあります。
 

老人クラブのメリットおよび現状

老人クラブ入会のメリットおよび老人クラブの現状について説明します。
 

メリット

老人クラブ活動には、次のようなメリットがあります。
 
・住んでいる地域に新しい仲間ができる
同年代の仲間ができやすく、孤立を防ぐことにつながります。
 
・健康維持や増進が図られる
活動に参加することにより、自宅に閉じこもるリスクを減らせます。
 
・安心感や充実感が得られる
仲間ができることにより連帯感が生まれ、活動により気持ちにハリができる。
 

現状

高齢化社会といわれて久しいですが、老人クラブ数および会員数は減少傾向にあります。
 
図表2. 老人クラブ数・会員数推移(各年3月31日現在)

クラブ数
(単位:クラブ)
会員数
(単位:人)
2016年(平成28年) 10万3281 587万9616
2017年(平成29年) 10万1110 568万6222
2018年(平成30年) 9万8592 548万8258
2019年(平成31年) 9万5823 524万5723
2020年(令和2年) 9万2836 498万8999
2021年(令和3年) 8万9498 471万2182

出典:公益財団法人全国老人クラブ連合会 活動資料より筆者作成
 
2016年から2021年までの5年で、1万強のクラブ、会員数では116万人以上が減少しています。
 

まとめ


 
老人クラブは小さな地域単位で運営されています。全国的に減少傾向にありますが、地域の役に立ちながら、明るく健康な老後を過ごす手段として、加入を検討するのもよいでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 老人福祉法
公益財団法人全国老人クラブ連合会
 
執筆者:宮本建一
2級ファイナンシャルプランニング技能士

ライターさん募集