更新日: 2022.08.04 その他老後

埋葬は土葬も可能!? 墓地、埋葬等に関する法律を読み解く

執筆者 : 古田靖昭

埋葬は土葬も可能!? 墓地、埋葬等に関する法律を読み解く
お墓の購入を検討するとき、建てる場所や埋葬方法をどのように決めたら良いのか、迷うことがあるかもしれません。お墓を作る場所や埋葬方法に関する決まりを定めた法律として「墓地、埋葬等に関する法律」があります。
 
本記事では、お墓の購入を検討する際に知っておきたい法律のポイントを解説します。
古田靖昭

執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)

二級ファイナンシャルプランニング技能士

お墓はどこでも建てて良いわけではない

実は、お墓はどこに建てても良いというわけではありません。「墓地、埋葬等に関する法律」では、「死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設」としてのお墓(墳墓)は「都道府県知事の許可を受けた区域」に設置しなければならないと定められています。
 
つまり、どこでも好きな場所にお墓を建てられるというわけではなく、許可を受けた区域以外に墓地を設置し、埋葬することは法律上禁止されています。もし許可のない区域に埋葬した場合は、「死体遺棄の罪」で刑事罰が下る可能性があります。
 

火葬手続きの流れ

火葬するには、市区町村長から火葬許可証をもらわなければなりません。通常、死亡してから、「死亡届」用紙の右側部分の「死亡診断書」または「死体検案書」欄を医師などに記入してもらい、左側部分に必要事項を記入すれば、「死亡届」が完成します。
 
完成した「死亡届」を市区町村に提出し、その際に「埋葬・火葬許可申請書」を併せて提出します。書類が受理されると、火葬許可証が発行されます。
 
葬儀が終わって火葬するときに火葬許可証を火葬場へ提出し、火葬を終えると埋葬許可証が発行されます。
 

土葬が可能な自治体も

土葬は、法律上認められているものの、地方自治体の条例で禁止されている場合があり、日本全国でみれば土葬できる場所は限定的です。
 
土葬が可能な霊園は、土葬だけを受け入れているところもあれば、キリスト教など宗教ごとに土葬できる区画を設けているところもあります。
 

改葬は自由

改葬とは、古いお墓から新しいお墓に移すことです。遺骨だけを移動する場合や、墓石ごと移動する場合があります。
 
改葬には市区町村に「改葬許可申請書」を提出して手続きを行います。「改葬許可申請書」には、元の墓地の管理者が記入する必要のある項目があります。元の墓地の管理者には「埋葬証明書」を、新しい墓地の管理者には「受入証明書」をそれぞれ発行してもらいます。
 
必要書類が揃えば、新しい墓地がある市区町村に「改葬許可申請書」、「埋葬証明書」、「受入証明書」を提出することで「改葬許可証」が発行されます。改葬許可証が発行されると、新しいお墓に埋葬することが認められます。
 

お墓の購入費用相場

全国優良石材店の会の第34回(2021)全国統一全優石お墓購入者アンケートの調査結果によると、お墓の平均購入費用は160万1000円となっており、鎌倉新書の第13回お墓の消費者全国実態調査 (2022年)によれば、一般的なお墓の購入費用は158万7000円と近い金額となります。
 
また鎌倉新書の同調査によると平均の年間管理費は7907円でした。
 
価格水準は下落傾向にあるものの、お墓の購入費用が約160万円、年間管理費用が約8000円が相場となっています。その他にも僧侶などへのお布施やお車代、納骨費用などもかかるため、お墓を準備するにはさらに資金が必要となるでしょう。
 

もしもに備えてルールの確認を

お墓に関する法律である「墓地、埋葬等に関する法律」の内容を紹介してきました。いざ身内が亡くなると、葬儀などの手続きに追われるなかで、お墓の設置をめぐるルールについて調べる余裕はないかもしれません。もしものときのために、本記事で紹介した法律のポイントをあらかじめしっかり理解しておきましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 墓地、埋葬等に関する法律

e-Gov法令検索 刑法

一般社団法人全国優良石材店の会 第34回(2021)全国統一全優石お墓購入者アンケート調査結果発表

株式会社鎌倉新書 第13回お墓の消費者全国実態調査 (2022年)

 
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士

ライターさん募集