更新日: 2022.08.16 セカンドライフ

リバースモーゲージってどんなもの? 注意点もあわせて解説

リバースモーゲージってどんなもの? 注意点もあわせて解説
自宅に住み続けながら、その自宅を担保に老後資金を借りる方法として「リバースモーゲージ」があります。どのようなものなのでしょうか? 注意点も併せて解説します。
仁木康尋

執筆者:仁木康尋(にき やすひろ)

日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、高齢者向けの貸付制度の1つです。自宅を担保に生活資金を借り入れ、自らの持ち家に継続して住み続けることができます。借受人が死亡したときに、担保となっていた不動産を処分して借入金を返済します。
 
各都道府県の社会福祉協議会や金融機関が取り扱っています。社会福祉協議会が取り扱うリバースモーゲージでは、借受人の死亡などの理由で契約が終了したときに、借入元金および利息の返済をします。
 
一方、金融機関が取り扱うものは、借受人が生存中は毎月の利息分のみ支払い、元金は借入人の死亡後に返済します。このように、取扱機関によって借受人の使途、貸付限度額、返済方法など異なっています。
 
今回は、東京都社会福祉協議会の「生活福祉資金貸付制度」(不動産担保型生活資金貸付)を例に、社会福祉協議会のリバースモーゲージについて解説します。
 

東京都社会福祉協議会のリバースモーゲージの概要

 

【資金の用途】

生活用資金に限定
 

【貸付対象者】

以下のすべてに該当


(1) 申込者が単独で所有している不動産(同居の配偶者が連帯借受人となる場合は、配偶者と共有している不動産も対象)に居住している世帯
(2) 世帯の構成員が65歳以上
(3) 世帯の構成が次のいずれかであること

(ア)単身の世帯
(イ)夫婦のみの世帯
(ウ)上記(ア)または(イ)に申込者もしくは配偶者の親が同居している世帯

 

【担保不動産(土地・建物)の要件】

(1) 賃借権等の利用権および抵当権の担保権が設定されていないこと
(2) 土地の評価がおおむね1500万円以上の一戸建て住宅
 

【貸付の内容】


(1)貸付限度額:担保となる土地評価額のおおむね70%
(2)貸付方法:月額30万円以内、原則3ヶ月ごと
(3)貸付期間:貸付元利金が貸付限度額に達するまで
(4)貸付金の利率:次の1または2のいずれか低いほうを基準に決定

1. 年3%
2. 当該年度における4月1日時点の長期プライムレート

 

【契約の終了】

(1)借受人が死亡したとき
(2)貸付契約を解約したとき
 

【返済】

契約終了後3ヶ月以内に貸付元利金を一括返済
 

注意点

利用にあたっては、以下の点に注意が必要です。
 

(1)不動産価値の下落

融資の限度額は、契約時の不動産の評価額によって決まります。その後は3年ごとに土地の再評価が行われます。将来、不動産価値が下がっていた場合は、それに従って融資限度額が見直しされる可能性があります。
 
また、借入金の返済時に不動産価値の下落により不足が生じた場合、相続人が負担することになります。
 

(2)存命期間と借入限度額

存命期間中にこの貸付限度額まで使いきってしまうことも考えられます。このような場合でも、契約終了(借受人が死亡)するまでは自宅に住み続けることはできますが、貸付は停止され貸付利子は契約終了まで発生し続けます。
 
貸付停止後契約終了までの期間が長期になると金利負担が増加し、不動産を売却しても元利金を返済しきれなくなることも考えられます。
 

(3)施設に入所することになった場合

貸付中に施設に入所や長期入院により自宅に住んでいない場合には、原則貸付停止または解約になります。
 

(4)夫(借受人)が死亡してしまった場合に、妻は自宅に住み続けられるか

貸付限度額まで達していない場合には、契約を承継する手続きを行うことで妻は自宅に住み続けることができます。なお、夫の死亡時にすでに貸付限度額まで達している場合には契約は終了し、自宅を売却して元利金を返済することになります。
 

まとめ

リバースモーゲージは、死亡後に住んでいる自宅を売却して元利金を返済する借り入れの方法です。自宅の不動産価値に応じて貸付限度額は決まっています。限度額に達すると貸付は停止されてしまいますので、検討する際には、存命期間と貸付限度額を考慮しながら家計の見直しもしておきましょう。
 

出典

東京都社会福祉協議会 不動産担保型生活資金 貸付のごあんない
 
執筆者:仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント

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