今回は親にお金の話を切り出す方法をメインに考えてみましょう。
親とお金の話をしたいけれど、きっかけが難しい
相談に来られる人の中でも最近は、親の相続の相談が増えてきています。「そもそも親がどのぐらい資産をもっているのか分からない」「親に介護が必要となったときにお金が足りるのかが心配です」「相続でもめることが想定されるから今からできることはありますか」など、アラフォー・アラフィフ世代にとって大切な問題の1つです。
このような人への回答は、「お盆休みや年末年始の休みを利用して、実家に帰って親とお金の話をする機会を作りましょう」となるのですが、やはり「親にお金の話を切り出す方法が分からない」という声もよく聞きます。
家族団らんの時間に、突然、親に向かって「今、お金に困っていない? 」とか「今、資産ってどれぐらいあるの? 」といったことを聞くのは難しいでしょう。
では、どのように切り出すのが良いのでしょうか。切り出し方は「知り合い」というワードを使うことです。
『この前久しぶりに知り合いと会って話題になったけど、その子の親が倒れて、介護費用がめちゃくちゃかかっているらしい。うちの家はそのようなときのお金の準備はできているの? 』
『この前久しぶりに知り合いと会って話題になったけど、その子の親が亡くなって、今、相続でもめているらしい。その子が、ちゃんと親が健康なときに話し合っておいた方がいいよ、って言っていた。うちも話し合わないといけないよ。』
いかがですか。これなら家族団らんの時間でも話題にできませんか。それでも親は子に心配をかけたくないため、聞き流すかもしれません。
そのときは、「さっきの知り合いの話を聞いて私も少し心配だから、手の空いたときでいいから、時間作ってくれない? 」と冷静に切り出しましょう。子が冷静に切り出せば、親も冷静に話を聞いてくれるはずです。
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終活を促すのが次の目標
親と冷静にお金の話をする機会ができれば、次の目標は「終活」をすすめることです。その終活の主な内容は、さまざまなものに対する「断捨離」です。具体的には次の通りです。
(1)日用品の断捨離、つまり物置に眠っているものの整理
(2)銀行等で未使用の口座の断捨離、つまり可能な限り銀行の数や口座数を減らすこと
(3)証券会社等で未使用の口座の断捨離、つまり可能な限り証券会社の数や口座数を減らすこと
(4)クレジットカードの断捨離、つまり可能な限り枚数を減らすこと
しかしながら、今までお金のことを切り出すのも大変だった親に、多くのことを求めるのは、親も子も疲れます。あくまでも次の目標だと思って、時間をかけて進めてください。
親とお金の話をすることは避けては通れないという認識をもつこと
日本社会で育ってきたなかで、親子間でのお金の話を遠ざけたくなる気持ちは分かります。しかしながら避けることで得をすることはなく、むしろ困る可能性の方が高いです。
例えば、親が子にお金の心配をさせたくないからと、今の資産の残高を知らせず、余裕があるような振る舞いをしていても、入院や手術等で大きなお金が必要なときに、親にお金がなければ、子が大きな金額のお金を負担することになります。
また逆に、子が親のお金の現実を知るのを避けていても、親に大きなお金が必要となったときに、結局は子が支払う必要が出てきます。
つまり、親も子も、お互いのお金の事情を突き合わせ、どこまでなら支払えるのか、支払えないのであれば、次にどのような行動を起こすべきなのか、といったことを準備しておくことが必要です。
そういう意味において、今年の夏は、その準備の最初の一歩として「親にお金の話を切り出す」ということから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士