更新日: 2022.08.21 その他老後
2022年時点で日本の高齢化社会、どのくらい進んでいるの? 高齢者の貯蓄額はどのくらい?
日本にはどのくらい高齢者がいて、どんな生活を送っているのか、今回は統計データから日本の高齢化社会について現状を確認し、老後のための準備を考えていきます。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
日本の高齢化率はどのくらい?
内閣府が公表している「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は令和3年10月1日時点で1億2550万人となっています。
このうち、65歳以上人口は3621万人で、総人口 に占める割合(高齢化率)は28.9%です。
さらに65歳以上人口のうち、「65~74歳人口」は総人口の14.0%、「75歳以上人口」は14.9%で、75歳以上の後期高齢者の方が65~74歳人口を上回っています。
また、男性よりも女性の方が長生きする傾向にあるため、65歳以上の高齢者の男女比は約3対4となりました。
高齢者の割合が増加していることに伴い、現在、65歳以上の方がいる世帯は全世帯の約半数となっています。
高齢者のお金と暮らし
次に、高齢者のお金と暮らしについてチェックしていきます。
同じく令和4年版高齢社会白書によれば、世帯主の年齢が65歳以上の2人以上の世帯では、令和2年で貯蓄額の中央値が1555万円となっています。2人以上の全世帯での中央値である1061万円と比較して、約1.5倍です。
さらに世帯主が65歳以上の場合、4000 万円以上の貯蓄がある世帯が17.3%(全世帯では12.1%)となっていました。
また、65歳以上の30.2%が収入を伴う仕事をしているほか、51.6%が過去1年間にスポーツや趣味、地域行事、ボランティアなどの社会活動に参加しています。
貯蓄や年金、そのほかの収入があるため、経済的な暮らし向きについて心配がない、と感じている65歳以上の方は68.5%(家計にあまりゆとりはないが、暮らしにはそれほど心配がないという場合も含む)となっており、約7割は充実したセカンドライフを送っていると考えられます。
これからの高齢者に必要なこと
高齢社会白書の内容から、日本の高齢化は今後しばらく続くと考えられます。
令和18年(2036年)に、日本の65歳以上の割合は総人口の33.3%となり、国民の3人に1人が高齢者となる見通しです。さらに、令和47年(2065年)には38.4%に達して、約2.6人に1人が65歳以上になると推計されています。
超高齢化社会に備えて、私たちはどんな準備をしていけばいいのでしょうか?
現役で働いている方は、以下のポイントをチェックしてみましょう。
●貯蓄をする
●資産運用を行う
●65歳を超えても続けられる仕事について考える
●健康寿命を延ばすための生活習慣の改善
●老後に1人暮らしができる程度の家事能力を身に付ける
●老後に暮らしやすい住居を検討する
現役世代の方は元気に働けるうちに、しっかりとお金を貯めて、資産運用を行い、経済的に余裕がある老後の暮らしを目指しましょう。
少し前に老後2000万円問題が話題になりましたが、将来受け取れる年金だけでは、ゆとりある老後の生活を送ることができません。
まずは65歳までに、2000万円を目標に老後資産を増やしていきましょう。
そして、充実した老後のためには健康も大切です。
若いころから正しい食生活や運動する習慣を身に付け、健康寿命を延ばせるように工夫していきましょう。人間ドックや定期健康診断を受けることも大きなポイントとなります。
また、最近では1人暮らしの高齢者の方も増加しています。
将来的に1人で老後を過ごす可能性があるということを視野に入れ、基本的な家事は自分で行えるようにしておくほか、暮らしやすい住居を検討することも大切です。
特に老後は、階段や段差が多い家、広すぎる家、近所に病院やスーパーがない環境などは、生活がしづらいと感じるようになるでしょう。
子どもが独立して家を出ている場合などは、60歳くらいになった段階で、状況に応じて引っ越しを検討するのもいいかもしれません。この場合はローンを組まずに、ついのすみかとなるような住居を購入するだけのお金が必要です。
充実した老後生活を送るためには、やはり経済的な余裕がポイントとなります。
まとめ
日本の超高齢化社会の流れは、しばらくは止まりません。
現役世代の方は、少しでも自分の力で豊かな老後が過ごせるように、お金や健康についてしっかりと考え、早めに準備や対策を進めておくようにしましょう。
出典
内閣府 令和4年版高齢社会白書
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者