更新日: 2022.08.22 介護
介護保険の目的ってどんなもの? 負担割合はどれくらい?
介護保険で利用できる介護サービスにはどのような種類があり、利用した場合の自己負担の割合はどれくらいになるのか、介護保険について解説します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
介護を社会全体で支える時代
近年、日本では高齢化や核家族化、少子化が進み、高齢者のみの世帯も増えています。
介護を社会全体で支える仕組みを作ることを目的に、2000年に介護保険制度が創設されていますが、高齢者が高齢者を介護する老老介護や、親の介護のために子どもが仕事を辞めなければならない介護離職が社会問題になっています。
厚生労働省の「介護保険事業状況報告の概要」によると、2022年4月末時点での65歳以上の介護保険被保険者(第1号被保険者)は3590万人です。
何らかの介護サービスを利用していると考えられる要介護(要支援)認定者数は691万人(第2号被保険者を含む)で、第1号被保険者に対する認定者数の割合は約18.9%となっています。
介護保険で利用できる主な介護サービス
介護保険で利用できる介護サービスには多くの種類があり、例えば在宅介護の場合は、自宅で受けるサービスと通所で受けるサービスを組み合わせて利用することも可能です。
主な介護サービスとしては次のものがあります。
<自宅で利用するサービス>
訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリなど
<日帰りで利用するサービス>
通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(通所リハビリ)など
<短期間の宿泊サービス>
短期入所生活介護(ショートステイ)など
<施設系サービス>
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)など
<その他>
小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など
介護サービス費用の自己負担は原則1割だが、最高3割になる人も
介護サービスを利用する場合の費用の自己負担割合は、原則で1割となっており、残りの9割は介護保険でカバーされる仕組みです。
しかし、65歳以上で一定以上の所得がある人については、自己負担割合が2割または3割になります。
まず、次の2つの所得の要件に該当する場合、現役世代並みの所得があるとして、3割負担となります。
(1)合計所得金額(給与収入などから各種控除を引いた額)が220万円以上
(2)年金収入と年金以外の所得の合計が340万円以上(単身世帯)、または463万円以上(夫婦世帯の場合)
また、次の2つに該当する場合は2割負担となります。
(1)合計所得金額(給与収入などから各種控除を引いた額)が160万円以上220万円未満
(2)年金収入と年金以外の所得の合計が280万円以上340万円未満(単身世帯)、または346万円以上463万円未満(夫婦世帯の場合)
上記のいずれにも当てはまらない場合、原則の1割負担となります。
介護保険の自己負担割合については、要介護・要支援の認定を受けた人に原則7月に送付される「介護保険負担割合証」で確認できます。
なお、高額介護サービス費制度を利用すると、世帯の所得に応じて決められる月額の負担上限額を超えた分についても、介護保険から支給されます。
また、医療保険と介護保険の両方に自己負担が生じた場合は、高額医療・高額介護合算療養費制度により、合算後の負担額が軽減される仕組みがあります。詳しくは市区町村にご確認ください。
まとめ
介護保険料の負担は40歳から始まります。介護保険は介護を社会全体で支える仕組みであり、将来、自分が要介護状態になったときへの備えともいえるでしょう。
介護保険で利用できるサービスは幅広く、所得が多い世帯を除くと、利用者負担は原則1割となっています。
一方、65歳以上で所得が多い場合は、2割または3割負担となることから、気になる人は公的年金や企業年金の受給額について確認しておくといいでしょう。
出典
厚生労働省 介護保険制度について(40歳になられた方へ)
厚生労働省 介護保険事業状況報告の概要(令和4年4月暫定版)
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 公表されている介護サービスについて
厚生労働省 地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律のポイント
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員