更新日: 2022.08.21 定年・退職
定年退職した後、年金・雇用保険・健康保険などはどうするの? 必要な手続きは?
本記事では、年金・雇用保険・健康保険のそれぞれについて、定年退職後の選択肢や手続き方法をまとめました。定年を迎える前に、手続きの流れをイメージしておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年退職後の年金の手続き
定年退職後の年金の手続きは、主に次の3パターンです。
●老齢年金を受給する→年金請求手続き
●国民年金の満額受給可能期間を補てんする→国民年金の任意加入手続き
●再就職する→厚生年金保険の加入手続き
手続き方法は、それぞれ次のとおりです。
■年金請求手続き
定年退職後、老齢年金の受給開始年齢になっても、老齢年金は自動的には支給されません。受給するには年金の請求手続きが必要です。
年金の請求手続きの流れは次のとおりです。
1.受給開始年齢になる誕生月の約3ヶ月前に日本年金機構、共済組合などから「老齢年金のお知らせ」や「年金請求書」が届く
2.必要事項を記入して、受給開始年齢の誕生日前日以降に提出する
年金請求書の提出先は年金事務所(国民年金のみの人はお住まいの市区町村役場)です。
■国民年金の任意加入手続き
60歳の時点で年金の受給資格期間(10年)を満たしていない場合や、満額受給できる期間(480月)に達していない場合は、65歳になるまで国民年金の「任意加入」が可能です。任意加入を希望する場合は、住所地の市区町村役場に基礎年金番号が分かるもの(年金通知書など)、預金通帳と金融機関への届出印を持参して手続きしましょう。
■厚生年金保険の加入手続き
退職後に再就職する場合、就職先が厚生年金保険の適用事業所であれば、厚生年金保険に再び加入できます。加入手続きは事業主が行うため、基礎年金番号が分かるもの(年金通知書など)を再就職先に提出しましょう。
定年退職後の雇用保険の手続き
定年退職後に再就職を目指す場合は、雇用保険の基本手当(いわゆる失業給付)を受給できます。受給の条件は、次の2つです。
●離職の日以前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上ある
●ハローワークで求職の申し込みを行い就職する意欲・能力があるが、失業状態にある
基本手当を受給するには、次の手続きを踏む必要があります。
1. ハローワークで求職の申し込みを行う
2. 雇用保険被保険者離職票を提出し、受給資格の決定を受ける
3. 雇用保険受給者初回説明会に参加し雇用保険受給資格者証、失業認定申告書を受け取る
4. 失業認定日までに1回以上(初回以降は2回以上)求職活動をする
5. 失業認定日に来所して失業認定を受ける
基本手当の受給期間は原則として離職から1年間です。ただし、定年退職後しばらく休養期間を置きたい場合は、離職日翌日から2ヶ月以内に申請すると、最長2年まで延長できます。
また、60歳以上で基本手当を受給して再就職をした先の賃金月額が、基本手当の算定基礎となった賃金日額の30日分と比べて25%以上減少したときは、再就職先の賃金月額の15%を限度に高年齢再就職給付金の対象となることがあります。支給要件は、次のとおりです。
●離職前の被保険者期間が5年以上ある
●基本手当の所定給付日数を100日以上残して就職する
定年退職後の健康保険の手続き
定年退職後の健康保険をどうするかについては、次の4つの選択肢があります。
●退職前の健康保険を任意継続する
●家族の健康保険の扶養に入る
●再就職先で健康保険に加入する
●国民健康保険に加入する
健康保険の任意継続とは、健康保険の保険者資格を喪失したときに、個人で継続加入できる制度です。任意継続した場合は保険料の事業主との折半がなくなり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額より算出した保険料を上限に、本人が全額負担することになります。
定年退職時に条件を満たす場合は、配偶者や子、兄弟などの健康保険の被保険者になれます。協会けんぽの場合の条件は次のとおりです。もし該当すれば、家族の勤め先で被扶養者になることをおすすめします。
●同居の場合:年収が180万円未満かつ被保険者の年収の2分の1未満
●別居の場合:年収が180万円未満かつ被保険者からの援助額より少ない
また、定年退職後に再就職をし、再就職先が厚生年金保険の適用事業所であれば、厚生年金保険加入と同時に健康保険にも加入することになるため、再就職先での加入手続きが必要です。
上記のいずれにも該当しない場合は、国民健康保険に加入する必要があります。健康保険資格喪失証明書被保険者などを用意して、14日以内に住所地の市区町村役場の国民健康保険窓口で加入手続きをしてください。
定年がくる前に必要な手続きを整理しておこう
定年退職をすると、それまで勤務先で処理されていた年金や雇用保険、健康保険などの制度から外れ、自身で手続きをしなければならないシーンが多くなります。どのタイミングでどのような手続きが必要なのかを事前に予習しておいて、そのときがきたら慌てずに手続きできるようにしておきましょう。
出典
日本年金機構 退職後の年金手続きガイド(パンフレット)
ハローワークインターネットサービス 基本手当について
大阪労働局 受給期間の延長
ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付
全国健康保険協会 退職後の健康保険について
全国健康保険協会 保険料について
全国健康保険協会 被扶養者とは?
千代田区 国民健康保険(国保)のしくみと手続き
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部