更新日: 2022.08.25 定年・退職
定年退職したら選ぶのは「再雇用」と「再就職」のどっち?
定年退職後の生活費のために働くことを選択する人が増えており、定年後に働くことは決して珍しくありません。
その場合、「再雇用」と「再就職」という2つの選択肢があります。どちらを利用するべきか迷っている人も多いでしょう。
この記事では、定年退職後に「再雇用」と「再就職」のどちらを選ぶべきか解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
再雇用と再就職
60歳に到達し、定年退職を迎えた場合に「再雇用」と「再就職」という2つの選択肢があります。そもそも「再雇用」と「再就職」にはどのような違いがあるのでしょうか。
再雇用
再雇用とは、定年まで働いていた会社を一度退職し、新たに雇用契約を締結する制度です。定年前に働いていた会社のグループ会社で勤務することもあります。
社員が希望した場合、社員と会社が面談を実施し、再雇用の条件を相談して決まります。定年前は「正社員」で、定年後は「非正規」で働く人も多いようです。
定年前と同様の業務に従事することが多いようですが、雇用形態によっては給料が下がることもあります。
2013年に公的年金の受給開始時期が60歳から65歳に引き上げられました。引き上げた5年間分の収入を確保するために、企業に定年の廃止や再雇用制度の導入が義務付けられたことで、再雇用制度が広まりました。
再就職
再就職とは、定年退職後に別の会社に就職して働くことです。仕事を自分で探す必要があります。
●ハローワーク
●シルバー人材センター
●転職エージェント
●転職サイト
上記のようなサービスを使って、働く場所を探す必要があります。60歳以上の正社員を対象とする求人数には限りがあり、パート・アルバイトなど、非正規雇用の待遇で働く人が多いようです。
再雇用のメリット
定年後に再雇用を選択するメリットはなんでしょうか? 再雇用制度を選択すべき人とはどんな人なのか、みていきましょう。
定年前と同じ環境で働ける
再雇用の最大の特徴は、定年前と同じ会社で働けることです。グループ会社へ転籍することもありますが、多くの場合で同じ環境で仕事を継続できます。
再就職のようにまったく新しい仕事を始めて、一から覚え直す必要がありません。60歳を過ぎてから新しい仕事を覚えることに不安がある人におすすめです。
仕事と同様に人間関係も継続されます。同僚や上司も同じであることが多く、人間関係を始めから構築する必要がないので、心理的な不安も小さくなります。
仕事を探す必要がない
再雇用契約を締結しない場合、就職先を探して再就職する必要があります。現実的な問題として、60歳以上を対象としたオフィスワークの仕事は多くありません。
再雇用であれば、定年前の会社と再び雇用契約を締結するだけで済みます。仕事を探したり、面接を受けたりするといった時間や労力を省略することが可能です。
年金や保険を継続できる
再雇用で定年前の会社で勤務を継続すれば、転職期間がなく、給与の低下も最小限に抑えられます。
厚生年金の加入期間が長くなるので、厚生年金の受給額が増えることになります。いつかは引退するときがきますが、そのときに多くの年金を受け取れる点はメリットです。
また、雇用が継続される期間は会社の健康保険に加入できます。60歳を超えると病気やけがが増える傾向にありますが、継続して健康保険に加入していれば安心できます。
再就職のメリット
定年後に職場を変える再就職ですが、再就職を選ぶメリットはどこにあるのでしょうか? 再就職のメリットを理解し、自分に向いているかどうかを検討しましょう。
自分の意思で仕事を選べる
再雇用で働く場合、職場は前職と同様になります。しかし、再就職では、自分の意思で仕事に応募して、新しい職場で働き始めることになります。
定年退職は新しい挑戦であり、就きたかった仕事を始めるチャンスです。
定年前は現実的になってしまい、挑戦できなかった仕事に就けるかもしれません。また、新しい刺激や喜びを得ることによって、第二の人生が有意義になるかもしれません。
60歳を超えて正社員雇用の仕事を獲得している人もいます。「もう年だから」と諦めず、再就職に挑戦してみる意義はあるといえるのではないでしょうか。
人間関係がリセットされる
再就職をすると、職場が変わります。職場が変わるということは、仕事の人間関係がリセットされるということです。
仕事の満足度は、職場の人間関係に大きく依存しますが、今の職場に不満がある人は再就職して、人間関係をリセットすることで状況が改善するかもしれません。新しい職場で友人ができて、新たなコミュニティーに入ることができるかもしれません。
新しい人との出会いは人生を豊かにしてくれるでしょう。
65歳以降も仕事を継続できるかもしれない
再雇用では、労働者が希望すれば65歳まで雇用を継続する義務があります。
しかし、あくまでも「65歳まで」です。60歳で再就職した場合、65歳以降も雇用を継続される職場を選択すれば、長く腰を据えて働くことができます。
人生100年時代といわれる中で、安定して働き続けられる職場を獲得できる点は大きなメリットです。
確実に65歳以降も仕事を続けたいという人は、職場によっては再就職が選択肢になります。
再雇用と再就職、自分にメリットがあるのはどちらか、考えてみよう
定年まで働いていた会社を一度退職して、新たに雇用契約を結ぶ再雇用と、定年後に勤め先を変える再就職。双方、それぞれにメリットがあります。
自分が定年後に働くなら、どちらがより自分にとってメリットがあるのか、しっかり考えて選びたいですね。
出典
ディップ株式会社 ディップ総合研究所 60〜79歳定年後の就業実態調査
厚生労働省 高年齢者の雇用
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部