更新日: 2022.08.30 その他老後
親のお墓、どうする? メモリアルローンも検討すべき?
今回は親のお墓の購入のほか、その他の選択肢についても考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
お墓の購入にはどれくらいのお金がかかる?
親が死後に入るお墓がないという状況でどうするか考えたとき、おそらく最初に思い浮かべるのがお墓の購入です。
株式会社鎌倉新書が運営する「いいお墓」が実施した「【第13回】お墓の消費者全国実態調査(2022年)」の結果によると、一般的なお墓の平均購入価格は158万円で、直近5年間では165万円程度となっています。設置場所や区画の広さなどにもよりますが、お墓を購入する場合、平均的な価格から少なくとも80万円程度の出費は覚悟しておいた方がよさそうです。
親にお墓を購入するだけの資力があれば、自身で生前に購入したり、親の死後に子が遺産を使って購入したりすることができるので、費用についてはさほど問題とならないでしょう。しかし、そういった状況ではない場合、誰のお金で購入するのか、そもそもお墓を購入するべきなのかなど、いろいろ考えていくことになります。
お墓は必ず購入しなくてもいい
親が入るお墓がない状況で、必ずお墓を用意しなければならないのかと言われれば、その答えは「NO」です。
価値観が多様化し、お墓に対する考え方も変わってきた現在では、わざわざお墓を購入しなくても遺骨を引き取り、供養できるような方法があるからです。具体的には以下のような方法があります。
手元供養
遺骨を自宅などで保管して故人を供養する、手元供養を選ぶ方もいます。手元供養の例では、小さな骨壺(こつつぼ)を自宅の仏壇に設置するなどがありますが、自分で骨壺を用意すれば費用もほとんどかかりません。
散骨
散骨とは、海や野山などに砕いた遺骨をまく葬法のことです。
ただし、他人に迷惑をかけない社会的な常識の範囲で行うものであり、どこでも自由に散骨していいわけではありません。他人の私有地や公共の場所に散骨すると、感情面での理由や衛生上の問題からトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性のほか、条例で散骨を規制している自治体もあります。
そのため、基本的には散骨を請け負っている葬儀業者などへ依頼し、散骨の種類に応じた費用を支払って実施することになります。
永代供養
永代供養とは、お寺や霊園などが自身に代わって遺骨の管理などを行ってくれる供養の形態です。お墓を購入するよりも安く済むことが多い上、管理の手間もなく、お墓参りもできることがあります。
ただし、一定期間が過ぎると合祀(ごうし、他の方の遺骨と一緒に埋葬)されて遺骨を取り出せなくなったり、お墓参りには永代供養の形態による制限などがかかってきたりするため注意が必要です。
メモリアルローンについて
「親のために墓石を用意したい」「自分たちも入ることになるので購入しておこう」といった理由から、お墓の購入を考えてはいるものの、費用の面が気になるという方もいるでしょう。そういった場合は、メモリアルローンの利用についても検討してみてください。
メモリアルローンとは、お墓や仏壇の購入、葬儀の費用などで利用できるローンです。一括で費用を用意できない場合でも、メモリアルローンを組むことでお墓を購入することができます。
メモリアルローンは銀行など金融機関のほか、お墓の販売業者などでも取り扱っていることがあり、インターネット上での申し込みなど手続きが簡略化されているケースも多くなっています。詳細については金融機関などへご相談ください。
参考までに千葉銀行のメモリアルローンでは、借入金額の上限は500万円、担保と保証人も不要と、無理なくお墓の購入に必要なお金を用意できるようになっています。
親のお墓をどうするかは、まず家族での話し合いを
現在は価値観や供養の方法が多様化していることから、必ずしもお墓を購入しなければならないという時代ではありません。
ただし現実問題として、お墓の購入には相応のお金がかかります。お墓をどうするかについては、供養の方法やメモリアルローンの利用なども含めて親子で話し合い、それぞれの考え方や負担を加味して決めるようにしてください。
出典
いいお墓 【第13回】お墓の消費者全国実態調査(2022年)
千葉銀行 ちばぎんメモリアルローン
執筆者:柘植輝
行政書士